口腔・咽頭科
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25 巻 , 2 号
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ランチョンセミナー 加齢と味覚障害
総 説
  • 池田 稔
    2012 年 25 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    味覚障害による受診患者数は年齢とともに増加し, 最近では60歳代に受診者数のピークがみられる. 特に, いわゆる65歳以上の高齢者の症例が増加しており, 本疾患は高齢化社会の進む中で今後も症例の増加が予想される. この高齢者の味覚障害の背景には味覚器の数や形態に対する加齢の影響も関与しているものと思われるが, それに加えて, 唾液分泌機能の低下や義歯使用などの口腔環境の変化, 全身疾患とそれに対する服用薬剤の影響など, 幾つかの重要な因子が高齢者の味覚障害の発現には関与しているものと考えられる. 味覚障害の治療は亜鉛内服治療が中心となるが, その有効性は高齢者においても変わらない.
原 著
  • 久松 建一, 工藤 逸大, 牧山 清, 高根 智之, 平井 良治
    2012 年 25 巻 2 号 p. 139-150
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    104名の21~73歳 (男性83名, 女性21名) の閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群 (OSAHS), 上気道抵抗症候群 (UARS) 疑い例, いびき, 日中の過眠を伴う睡眠時呼吸障害 (SDB) に対して鼻中隔矯正術, 粘膜下下鼻甲介骨切除術, 後鼻神経切断術, 中鼻甲介部分切除術を含む鼻腔整形術 (ER), コブレーションを用いたuvulopalatopharyngoplasty (cobUPPP) を単独, または3ヶ月後に段階的に追加施行した. 術後3ヶ月で簡易または終夜睡眠ポリグラフ検査 (PSG) 所見, Epworth Sleepiness Scale (ESS, 日中の過眠傾向の尺度), いびき, アレルギー性鼻炎症状の改善について検討した. SDBの責任部位をA鼻腔・上咽頭レベル, B. 口腔・中咽頭レベル, C. 舌・舌根・下咽頭レベルの3つに分けた.
    われわれはSDB病態に関与する因子は, (1)睡眠中の咽頭陰圧, (2)肥満に伴う睡眠中の吸気量増大の可能性, (3)狭い上気道形態, (4)上気道の脆弱性, (5)肥満などを推定している. ERは因子(1)の睡眠中の咽頭陰圧を軽減する可能性がある. cobUPPPは直接的に因子(3), (4)を改善する可能性がある. これらの2つの手術の段階的併用は更に高い有効率を示したが, 無効例が存在し, C. 舌・舌根・下咽頭レベルの関与が推定された.
    これらの事実はSDBの病態に上気道の複数の責任部位と因子が関与していることを示唆している.
  • 井田 裕太郎, 長船 大士, 松島 康二, 枝松 秀雄
    2012 年 25 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    クリニカルパスは代表的な疾患に対する標準的な入院治療方針として, 各診療科においての使用頻度が増加している. 耳鼻咽喉科領域では口蓋扁桃摘出術 (以下扁桃手術と略) は多くの施設で年間手術件数全体に占める割合が高率であるため, クリニカルパスの積極的な運用が期待される. 著者らの施設では扁桃手術は過去3年間に155例であり, クリニカルパス適用症例全体の14.8%であった. クリニカルパスの運用が一番多かった耳科手術の18.4%に次いで多く, 鼻科手術と同数であった. 扁桃手術の一般的な傾向として, 上級医の指導の下に研修医によって行われることが多く, 扁桃手術に対する入院治療の標準化や術後出血などのリスクに対する安全性確保のために一定の指針となるクリニカルパス導入が有用と考えられる. またチーム医療の観点から, 入院治療の一定化, 周術期の感染予防対策, 看護師との医療協調などにも有効である.
  • 岩井 大, 島野 卓史, 馬場 奨, 金田 直子, 岡崎 はるか, 完山 理咲, 小西 将矢, 宇都宮 敏生, 友田 幸一, 福森 崇之
    2012 年 25 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    Forestier病は全身の靱帯・腱付着部の硬直・骨化を示す強直性脊椎骨増殖症 (diffuse idiopathic skeletal hyperosteosis) の1つである. 頸椎で生じたものでは喉頭や咽頭・食道を圧迫して咽喉頭違和感や呼吸障害・嚥下障害をきたす. 進行例には切除術が選択されるが, 十分な病変切除がされたにもかかわらず, 手術効果が即座に出ない例も認められ, 症状発生には, 病変の物理的な喉頭・食道圧迫だけでなく, 局所での浮腫や繊維化を含めた炎症の機序が考えられている.
    我々は今回, 本疾患の5例に対し手術的治療を行った. 病変部の正確な切除と上・下喉頭神経などの温存を図ったが, 症例1・2では不十分な手術成績であった. そこで, 手術に際し骨病変切除で生じる椎骨と骨膜間の死腔を減少させるため骨膜を寄せて縫合する処置を追加し良好な成績を得た. こうしたことから, Forestier病の手術に際し, 椎前部の死腔縮小処置が局所の炎症を低下させ, 術後の症状回復を早めるのではないかと考える.
  • 竹内 啓, 石尾 健一郎, 原 誠
    2012 年 25 巻 2 号 p. 165-171
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    Coblator® II Surgery Systemを用いたCoblation Tonsillectomyの術後疼痛が軽い理由は, 熱による組織変性が扁桃窩表層をカバーしているためと推測し, 摘出扁桃組織に細胞死が生じた範囲を熱浸達度としNADH-diaphorase染色を用いて計測した. 結果は平均0.99mmであった. 扁桃窩組織にも同変化が生じ表層をカバーして痛みを軽減していると考えている. HE染色ではpseud viable cellの判定が困難で, 正確な細胞生死の評価を行うにはNADH-diaphorase染色が有用であり, HE染色を用いた報告例と比べ実際は深部にまで熱が影響していることが分かった.
  • 土屋 昭夫, 相澤 直孝, 佐藤 邦広, 高橋 姿
    2012 年 25 巻 2 号 p. 173-177
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    線維素性唾液管炎は, 唾液腺導管内に線維素塊が形成されて導管の閉塞をきたし, 反復性に唾液腺腫脹をきたす疾患である. 腫脹時に唾液腺を圧迫すると, 導管から多数の好酸球を含む線維素塊の排出を認める. アレルギー性疾患を合併することが多く, そのため発症の原因としてアレルギーの関与が考えられている.
    今回われわれは, 反復する耳下部腫脹を主訴に当科を受診し, 線維素性唾液管炎と診断された3例を経験したので報告する. 3例ともにアレルギー疾患の合併があり, 2例ではステノン管からの排出物に好酸球を認めた. 全例で抗アレルギー剤の効果を認めたが, 1例を除き症状は残存しており, ステロイド治療の追加を検討している.
  • 大西 克樹, 妻鳥 敬一郎, 今村 明秀, 原田 博文, 中川 尚志
    2012 年 25 巻 2 号 p. 179-182
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は21歳男性. 発熱, 咽頭痛を主訴に受診. 採血上, 肝機能の悪化を認め, 伝染性単核球症を疑われ, 紹介となった. 当院受診時, 口蓋扁桃への白苔付着を認め, 採血上AST・ALT, LDHの高値を認めた. また, 頸部リンパ節の腫脹を認め, EBウイルス抗体陽性の所見より, 伝染性単核球症と診断し, 入院のうえ, 対症療法を開始した. 加療開始後約1週間で咽頭痛の軽快, 炎症所見の改善を認めたが, 全身倦怠感の増悪, 脾腫, 黄疸が出現した. 第22病日には急激な血小板数の低下を認めたため, この原因はEBV初感染による血球貪食症候群の併発であった. 化学療法や免疫抑制療法を開始するも, 改善せず, 不幸な転帰をとった.
  • 大岡 久司, 朝子 幹也, 村田 英之, 八木 正夫, 友田 幸一, 木村 穣, 濱野 宣行, 西 憲一郎, 新宮 興
    2012 年 25 巻 2 号 p. 183-189
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    閉塞性睡眠時無呼吸症例に対するUPPP手術の周術期は, 閉塞性無呼吸の増悪や窒息など気管切開を要する場合や, さらに中枢性無呼吸の出現, 麻酔や麻薬または二酸化炭素の貯留いわゆるCO2 ナルコーシスによる呼吸抑制, また換気障害による致死性心不全を引き起こすなど苦慮することが少なくない. 近年術後ICU管理や (nasal) CPAP換気が重要視されているが, さらに換気量の管理可能なbiPAPによる換気がより有用と考え当院ではCPAPの代わりにbiPAPを使用している.
    また以前よりnasal CPAP脱落症例に対して鼻腔通気を改善させることで再導入し得た経験から, 我々は鼻治療を優先的に行っている. 今回, 術前より鼻治療の工夫によりnasal CPAPコンプライアンスを改善でき, さらに術後biPAPが周術期管理に有用であった症例を経験した. 薬剤による呼吸抑制やCO2 ナルコーシスなどリスクを減少させ, より安全に周術期を終えられたと考えた.
  • 野村 文敬, 杉本 太郎, 清川 佑介, 岸本 誠司
    2012 年 25 巻 2 号 p. 191-195
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    当科における中咽頭側壁原発扁平上皮癌の臨床的検討を行った.
    対象は1999年1月から2011年3月までに当科を受診し, 初回治療を施行した98例で, 進行癌が75例と多数を占めていた. 2007年より進行癌に対しドセタキセル, シスプラチン, 5-FUの3剤を用いた化学放射線同時併用療法 (CCRT) を積極的に行った. 全症例の5年粗生存率は64.4%であった. 進行癌において, 手術治療, 放射線治療, CCRTの3年粗生存率はそれぞれ77.8%, 71.2%, 84.6%であり, 統計学的有意差は認めないがCCRTは他の治療法と比較して治療効果が高い傾向を認めた.
  • 山田 卓生, 増田 聖子, 鮫島 靖浩, 湯本 英二
    2012 年 25 巻 2 号 p. 197-202
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    舌に発生したsolitary fibrous tumor (hemangiopericytoma) の1例を報告する.
    症例は67歳女性. 初診時, 舌尖に5cm弱の弾性硬の粘膜下腫瘤を認めた. 富血性腫瘍が考えられたため, 前日に栄養血管を塞栓したうえで摘出術を施行した. 病理組織学的検査にてsolitary fibrous tumor/hemangiopericytomaの診断であった.
  • 増田 聖子, 鮫島 靖浩, 湯本 英二
    2012 年 25 巻 2 号 p. 203-206
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    88歳女性. 高度認知症のため食事の際に開口しない状態であり, 介護士がペースト食を経管栄養注入用プラスチックシリンジに充填して口腔内に押しだす方法で食事を与えていた. この時シリンジの先端が口腔底に当たり小さな裂傷が生じた. 数時間後に口腔底の血腫, 咽喉頭の浮腫が生じ, 急速に重篤な気道狭窄がおきた. 緊急気管切開および抗菌薬の投与を行ったが, 3日後に口腔底~顎下部の膿瘍形成がみられ, 切開排膿およびドレナージを行った.
    口腔底外傷は軽傷でも重篤な気道狭窄や深頸部膿瘍をきたすことがあり, 十分に注意する必要がある. また認知症患者の食事介護においては, 使用する器具に配慮が必要であると考えられた.
  • 森 智昭, 嶋根 俊和, 金井 英倫, 門田 哲弥, 寺崎 雅子, 三邉 武幸
    2012 年 25 巻 2 号 p. 207-211
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    目的: 分子標的薬療法では, 分子標的薬の作用する標的の発現の有無を確認することで治療の有効性の予測が期待される. 乳癌では現在分子標的療法の有効性が期待されている13\,14. 乳癌に発生する導管癌との組織学的形態的特徴類似性が報告されてる唾液腺導管癌でも同様に分子標的療法の有効性が期待されるため, 分子標的療法の標的分子であるHuman epidermal growth factor 2 (HER2), Epidemal growth factor (EGFR), Androgen receptor (AR) の発現が認められるかどうかを検討した.
    症例: 当科で手術を施行した唾液腺導管癌4例に対して染色を行い, 各染色の判定基準に基づいて陽性, 陰性を判定した.
    結果: HER2は4例中4例で発現を認めた. EGFRでは4例中2例で発現を認めた. ARでは4例中3例で発現を認めた.
    考察: HER2, EGFR, ARともに半数以上で発現を認めた. 他臓器において陽性例で治療が有効であったとの報告を考えると, 唾液腺導管癌でも今回の3種類の標的に対する分子標的療法の有効性の可能性が示唆された.
  • 濱本 隆夫, 平川 勝洋, 竹野 幸夫, 立川 隆治, 樽谷 貴之
    2012 年 25 巻 2 号 p. 213-216
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    近年, 身の回りには種々の化学製品が多くなり, それらに接触する機会が増えるとともに, アレルギー性接触性皮膚炎が問題となっている. 医療分野, 特に歯科治療では金属なくして治療を行うことは考えられず, 用途, 種類も多岐にわたる. 歯科治療に用いられる金属材料は通常生体には問題はないとされていても, その量, 種類によってはアレルギーを引き起こす可能性があることが知られている. 今回耳下腺腫脹の原因検索に難渋し, 歯科金属アレルギーが原因であると推測された症例を経験した. 口腔病変をともなう患者を診察する際には金属アレルギーについても留意を払わねばならないと考える.
  • 森川 太洋, 成田 憲彦, 徳永 貴広, 意元 義政, 藤枝 重治
    2012 年 25 巻 2 号 p. 217-222
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    深頸部膿瘍は耳鼻咽喉科が扱う重篤な疾患の一つであるが, 一般的に成人での発症が多く, 小児には比較的稀とされている. 臨床症状の取りにくい小児では急激な経過をたどり, 時に重症化する場合もあり, 早期診断と早期治療 (抗菌薬投与および切開排膿) が求められる.
    今回, 過去10年間に当科で加療した小児深頸部膿瘍症例10例について, 膿瘍存在部位, 切開排膿の有無, 使用抗菌薬, 細菌培養検査等の項目につき調査し, 抗菌薬投与開始時期と入院期間の関連についても検討した. その結果, 主訴発現から早期に抗菌薬を投与されている症例で, 入院期間が短い傾向にあった. 的確な診断による迅速な抗菌薬投与が早期治癒において重要であると思われた.
  • 金城 秀俊, 喜友名 朝則, 真栄田 裕行, 新濱 明彦, 鈴木 幹男
    2012 年 25 巻 2 号 p. 223-228
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    60歳, 男性. 呼吸困難を主訴に前医受診した. 咽後膿瘍と診断され, 広域抗生剤投与したが症状は増悪し, 気管切開後に当院紹介となった. 頸部は全体的に腫脹, 咽頭後壁 (扁桃レベル) に膿の排出を認めた. 血液検査でWBC: 12.9×103/μl, CRP: 27.69mg/dlと炎症反応の高値を認め, 単純CTで上咽頭から輪状軟骨レベルに至る後壁に膿瘍腔を認めた. 緊急手術の適応と判断し硬性内視鏡を用いた経口ドレナージを施行した. 培養検査よりMSSAが検出されたためにバンコマイシンを投与した. 治療の結果, 患者は軽快し転院となった.
手 技
  • 清水 顕, 伊藤 博之, 鈴木 衞, 吉田 知之
    2012 年 25 巻 2 号 p. 229-234
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    TORSは2005年Weinsteinらによって初めて報告された. 2009年米国FDAの承認後, 米国を中心に急速に広がった. 2009年11月に日本でda Vinci手術支援ロボットの薬事承認がなされたが, 頭頸部領は未承認である. 当科では2011年より経腋窩法甲状腺手術の臨床試験を開始した. 今回はTORS臨床応用のため手術モデルを使用しシミュレーションを行った. 日本で認可されている8mmデバイスとDavis開口器を改良し中咽頭腫瘍にたいする手術が可能か検討した. 今回の検討の結果, 米国でのTORS初期推奨症例である中咽頭腫瘍に対する手術は本邦でも施行可能であると判断した. 今後, 更に改良を加え, 適応範囲を拡大, 臨床応用する予定である.
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