口腔・咽頭科
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27 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
特別講演 ザンビアの食糧・生活事情と医療支援:私達一人ひとりができること
シンポジウム 睡眠呼吸障害の研究はどこまで来たか?
原 著
  • 木原 彩子
    2014 年 27 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    小児閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者に対するアデノイド切除術および口蓋扁桃摘出術が鼻腔抵抗値に与える影響について基礎的, 臨床的に検討を行った. 小児の鼻腔, 咽頭腔を再現したモデルを用いてアデノイド, 口蓋扁桃と鼻腔抵抗値の関係について検討したところ, ポステリオール法では上咽頭の影響を受けた鼻腔抵抗値, アンテリオール法では鼻腔の状態のみを反映した鼻腔抵抗値を測定可能だと判明した. アデノイド切除術, 口蓋扁桃摘出術前後の小児OSAS症例の鼻腔抵抗値とPSG結果を検討した結果, アンテリオール法, 鼻処置なしで測定した鼻腔抵抗値は小児閉塞性睡眠時無呼吸症候群の診断と手術効果予測の参考になる可能性があることが判明した.
総 説
  • 鈴木 雅明
    2014 年 27 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    閉塞性無呼吸の成因は解剖学的要因のみでなく, 呼吸中枢不安定性, 咽頭筋反応性, および覚醒閾値の4つの要因の相互作用関係により閉塞性無呼吸が生じているという考え方が近年提唱されてきている. 患者の睡眠中にCPAP圧をかけ, 圧を下げたり上げたりしながら各ポイントでの容積流量 (L/min) の値を計測することにより, 4つの要因の相互関係を解析しそれをグラフ化することにより, OSAS の発症, および重症度が予測できる Wellman の OSAS 病因モデルが注目されている. このモデルは特に肥満がなく解剖的狭窄が顕著でない OSAS 患者において, 手術にてAHIが十分下がらない理由を説明し得ると考えられ, 我々耳鼻咽喉科医 (sleep surgeon) に対して重要なメッセージを示唆している.
シンポジウム 今,明らかにされた扁桃とIgA腎症を結びつけるエビデンス
総 説
  • 高橋 和男, 湯澤 由紀夫
    2014 年 27 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    IgA 腎症は最も高頻度な糸球体腎炎で, 本邦の腎生検の約1/3が IgA 腎症と診断される. 腎生検後20年で約20-40%の症例が末期腎不全に陥る. 口蓋扁桃摘出術とステロイドパルス併用療法 (扁摘パルス療法) は本症の尿所見を改善し, 腎機能障害の進行を抑制する可能性が本邦を中心として多数報告され, さらにランダム化比較試験にて, 扁摘パルス療法はステロイドパルス単独療法より尿蛋白減少効果に優位性を認めた. また口蓋扁桃を中心とする粘膜免疫異常は糖鎖異常 IgA1 の増加, 糖鎖異常 IgA1 特異的抗体形成への関与が示唆され, 扁摘パルス療法の根拠として注目されている.
  • 高原 幹
    2014 年 27 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    IgA 腎症の病態に IgA 免疫複合体の腎糸球体への沈着が強く関与していることは疑いがない. しかし, 複合体沈着後の T 細胞の浸潤も腎炎の形成, 維持に重要であることも知られている. IgA 腎症での腎浸潤T細胞は20種のT細胞受容体 (TCR) VβファミリーのうちTCR Vβ6, 8の発現が高い事が報告されている. われわれは IgA 腎症扁桃 T 細胞の T 細胞受容体 (TCR) レパトア解析を行った. その結果, IgA 腎症の扁桃 T 細胞, 末梢血 T 細胞では TCR Vβ6の発現が増加していることが判明した.
    さらに扁桃における T 細胞上に発現する代表的なケモカインレセプターの発現を検討した結果, IgA 腎症扁桃では CXCR3 陽性 T 細胞の出現頻度が高いことを見出した. IgA 腎症では腎糸球体周辺の尿細管間質へ CXCR3 陽性T細胞が浸潤しており, その浸潤の程度と腎機能低下に相関があったとの報告がある. 従って, IgA 腎症の腎生検組織の CXCR3 陽性細胞数と扁桃での CXCR3 陽性細胞数を検討したところ, 正の相関が認められた.
    このことから, 扁桃の TCR Vβ6, CXCR3 陽性扁桃T細胞が, 体循環を経て腎臓に浸潤する可能性が示唆された.
ビデオパネルディスカッション 扁桃・アデノイド手術技術
総 説
  • 工藤 典代
    2014 年 27 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    口蓋扁桃摘出術は従来, 扁桃被膜の鑷子剥離と出血点の絹糸結紮で行っていたが, 現在は高周波凝固切開装置 (オートバイポーラ) を用い剥離と切離・摘出, 出血点の凝固を行っている. 前者を従来法, 後者を現法とし, 総手術時間 (摘出時間と止血時間) と出血量についての比較を, 扁摘経験による術者別に行った. その結果, 術者の経験を問わず, 手術時間も出血量もともに大きく短縮及び減少させることができた. 止血処置を要した術後出血は, 14年間の扁摘1,923例中, 25例 (1.3%) であった. アルゴンプラズマ凝固法を併用しはじめた年は4.1%であったが, 翌年以降には術後出血例は再び年間0から2例となり, 用いた手術機器による差は見られなかった.
手 技
パネルディスカッション 咽頭癌診断・治療のパラダイムシフト
総 説
教育セミナー 頭頸部癌治療のQOL向上のために:口腔ケア導入のススメ
総 説
  • 松浦 一登
    2014 年 27 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    専門的口腔ケアの導入により頭頸部癌治療の質が向上することが明らかとなってきた. 手術療法では術後合併症が明らかに減少し, 化学療法や (化学) 放射線療法では二次感染予防と疼痛緩和に寄与すると考えられるようになった. また, 国の医療政策としても取り上げられ, 診療報酬改定においては周術期口腔機能管理料等の新設が認められた. 歯科医もがん患者の口腔ケアに関心が高まり, 国立がん研究センターと日本歯科医師会によるがん患者歯科医療連携講習が始まった. 我々耳鼻咽喉科医・頭頸部外科医もこの問題について関心を持つべきである.
教育セミナー 口腔アレルギー症候群の現状:喉頭アレルギーとの異同
総 説
  • 片田 彰博
    2014 年 27 巻 1 号 p. 55-62
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    口腔アレルギー症候群 (oral allergy syndrome: OAS) は, 特定の食物を摂取した直後から口唇, 口腔, 咽頭粘膜に腫脹, かゆみ, ヒリヒリ感などの症状が出現する症候群である. OAS は花粉やラテックスの感作が成立した後に, 感作抗原に対して交差反応性のある抗原を含む食品を摂取することで発症する. そのため花粉症に合併することが多い. 診断には食物特異的 IgE とプリックテストが有用であり, 治療は原因食物を摂取しない抗原回避が第一である.
    一方, 喉頭アレルギーは喉頭粘膜でI型アレルギー反応が起こる疾患であり, 主な症状は咳嗽と咽喉頭異常感である. 臨床症状が類似しているため喉頭アレルギーと OAS は混同されやすいが, 両者の病態はまったく異なっている.
原 著
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