口腔・咽頭科
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29 巻, 1 号
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第27回日本口腔・咽頭科学会シンポジウム 咽頭癌に対する経口腔的アプローチによる手術の適応と限界
原 著
  • 佐々木 徹, 川端 一嘉, 三谷 浩樹, 福島 啓文, 日高 竜太, 上里 迅, 佐藤 由紀子
    2016 年 29 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     目的: 下咽頭癌に対する経口的切除術の重要性は高まっているが, 現在その適応は明確ではない. 本研究は経口的切除術と頸部郭清術の適応基準設立の一助となることを目的としている. 方法・対象: 対象は2005-2009年にがん研有明病院で根治手術を行った Tis, T1, T2, any N の下咽頭癌52病変. 腫瘍の厚さとリンパ管侵襲, リンパ節転移, 原病死に関して検討した. 結果: 腫瘍の厚さ ≥2mmでリンパ節転移の出現が有意に増加し, 腫瘍の厚さ ≥5mmで原病死が有意に増加した. 腫瘍の厚さ ≥5mmの症例は有意に生存率が低下した. 結語: 腫瘍の厚さ ≥5mmの場合, 原病死の確率が高く予防的頸部郭清術を検討するべきであると考えられた. 咽頭と頸部創が交通する危険がある場合, 経口的切除術ではなく外切開による下咽頭部分切除術を施行するべきと考えられた.
教育講演 解剖から見た扁桃周囲膿瘍・深頸部膿瘍
総 説
教育講演 唾液腺腫脹をきたす非腫瘍性疾患
総 説
  • 氷見 徹夫, 高野 賢一, 亀倉 隆太, 坪松 ちえ子, 阿部 亜由美, 山下 恵司
    2016 年 29 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     唾液腺腫脹を伴う疾患は日常的に遭遇する疾患から非常にまれな疾患まで多彩である. 鑑別診断を容易にするため, 一側性と両側性腫脹を示す疾患の概略を述べ, 次に, 両側性腫脹を示すいわゆる非腫瘍性のミクリッツ症候群を示す疾患と IgG4 関連疾患であるミクリッツ病とキュットナー腫瘍についての最新の知見を紹介した. 感染性疾患では HIV 関連唾液腺疾患についても言及した. 唾液腺腫脹を示す非腫瘍性疾患は原因不明あるいは病態も明らかになっていない疾患が多いため, 歴史的変遷も含め最近の考え方を解説した.
シンポジウム 睡眠時無呼吸・いびきへの対応 最前線
総 説
  • 中田 誠一
    2016 年 29 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     今回は軽度から中等度閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) の患児たちへの治療オプションを CHAT study から検討した. 5歳以上の小児 OSAS の場合, 1年以内で自然治癒する場合もあるので, 家族とのより詳細なインフォームドコンセントが必要である. アデノイド切除術及び口蓋扁桃摘出術 (以降 adenotonsillectomy と表記) 後の自然経過はアデノイドの再増殖がキーポイントである. アメリカにおいては adenotonsillectomy 後にも睡眠呼吸障害が残存する患児にたいして様々な治療が行われている.
     adenotonsillectomy の周術期の合併症を回避する方策として術前に鼻炎が起きているかどうか? 重症の OSAS であるかどうか? 挿管困難などの可能性がないかどうかについては麻酔科医と話し合っておくことが肝要と考える.
  • 鈴木 雅明
    2016 年 29 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     睡眠無呼吸症の診断ツールとしての簡易モニターの役割が欧米では急速に増加してきた. 耳鼻科医に求められる成人睡眠検査のあり方として1. 簡易モニターにて基準値未満であった場合終夜睡眠ポリグラフ (PSG) 精査を行う, 2. 術前・術後評価は可能な限り PSG 精査を行う, 3. 簡易モニターにおいても生波形の視察判定が必要である, 4. 職業ドライバーに対しては簡易モニターのみで診断・治療を行わない, 5. CPAP 開始後残存眠気がある, また呼吸イベント指数が高い患者に対して PSG やタイトレーションを行う, 6. 中枢性無呼吸が疑われる患者に対しては PSG 精査を行うことが挙げられる. また成人睡眠時無呼吸治療の最近の動向についても解説する.
  • 駒田 一朗, 宮崎 総一郎, 西山 彰子
    2016 年 29 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     睡眠時無呼吸の頻度は高齢になるほど増加する. 50歳未満では睡眠時無呼吸の死亡率が高くなるという報告がある一方, 高齢者では死亡率は高くないとする報告がある. 高齢者の睡眠時無呼吸の重症度や日中の眠気が生命予後に影響を与えるとの報告もある. 高齢者では手術加療や口腔内装置選択の適応例が少なくなるため CPAP に依存することが多いと予想される. 睡眠時無呼吸は認知障害と関連があるとの報告が近年増えており, CPAP 治療により認知機能が改善し, 脳画像での改善がみられることが報告されている. 高齢者の睡眠時無呼吸の対応にあたっては生命予後以外に認知機能改善や認知症予防の観点から対応する必要がある.
臨床ミニセミナー 診断と治療のコツ:耳下腺腫瘍手術:顔面神経の同定と保護
総 説
臨床ミニセミナー 診断と治療のコツ:嚥下障害:輪状咽頭筋切断術の手技と適応
総 説
  • 千年 俊一
    2016 年 29 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     近年, 超高齢社会を迎え脳血管障害などによる嚥下障害患者は増加傾向にあり, 低侵襲な嚥下機能改善手術が注目されつつある. 経口的に行う内視鏡下輪状咽頭筋切断術 (ECPM) の需要はますます高まるものの, ECPM の手技は確立されてはおらず, その手術適応においては未だ標準化されていないのが現状である. 当科では, ECPM の術式を基本とし輪状咽頭筋を確実に切除し食道入口部粘膜を広く形成する, いわゆる ECPM 変法 (内視鏡下輪状咽頭筋切除術) を行い術後早期からの経口摂取による栄養状態の改善と比較的良好な患者満足を得てきた. 適切に症例を選択すれば, 胃瘻中心に栄養摂取していた患者が手術後に普通食の経口摂取が可能になる場合も多い. 本稿では当科で行う ECPM の手技と手術適応を解説し, その治療効果に言及した.
臨床ミニセミナー 診断と治療のコツ:経口的咽頭癌切除術:inside out anatomy から見た手技のコツ
総 説
  • 冨藤 雅之, 山下 拓, 荒木 幸仁, 塩谷 彰浩
    2016 年 29 巻 1 号 p. 63-69
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     咽喉頭領域に対する経口的手術は病変に対して必要最低限の切開, 切除で済むという点で低侵襲な手術法として近年着目されつつある術式であるが, 喉頭展開の方法, 喉頭展開した際の咽喉頭内腔からの解剖学的構造について予め知る必要がある. 本稿では当院における咽喉頭癌100例以上の内視鏡的切除術 Transoral Videolaryngoscopic Surgery の経験と摘出咽喉頭検体やカダバーを用いた知見をもとに咽喉頭内腔から見た解剖について解説を行った. 中咽頭レベルにおいては咽頭の筋組織, 顔面動脈, 舌動脈の走行について解説し, 喉頭下咽頭レベルにおいては骨, 軟骨の見え方, 筋組織, 上喉頭動脈, 総頸動脈, 上喉頭神経, 反回神経の走行について解説を行った.
臨床ミニセミナー 診断と治療のコツ:口蓋扁桃摘出術:術後出血の予防と対応
総 説
  • 生駒 亮, 折舘 伸彦
    2016 年 29 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     2002年から2012年までに横浜南共済病院耳鼻咽喉科で口蓋扁桃摘出術を行った692例に対して, 術後出血に関する検討を行った. 口蓋扁桃摘出術術後出血 (post-tonsillectomy hemorrhage: PTH) を, 視診でわずかでも扁桃窩からの出血や凝血塊などを確認した場合, と定義した. PTH は692例中80例 (11.6%) に認め, 再手術症例は18例 (2.6%) であった.
     これら PTH 症例に対し, 性別, 年齢, 原疾患, 術者の経験, 手術時間, 結紮糸の種類, 抗菌薬の投与日数で危険因子を検討した. PTH の危険因子として, 第一には成人, 第二には男性であった. 再手術の危険因子は, 第一は男性, 第二は成人, 第三は経験5年以下の術者であった. これらの結果から, 成人症例や男性症例は PTH や再手術の有意な危険因子であると考えられた.
ランチョンセミナー 頭頸部癌治療における周術期口腔機能管理 (口腔ケア) の役割
総 説
  • 植野 高章
    2016 年 29 巻 1 号 p. 77-82
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     近年, がん治療における周術期口腔機能管理が, 誤嚥性肺炎や口腔粘膜炎の軽減に効果があることが報告されている. とくに頭頸部領域悪性腫瘍の治療では, 治療前の徹底した口腔衛生管理が術後創部感染予防, 誤嚥性肺炎予防, 口腔粘膜炎軽減につながる. 放射線治療においても, しばしば問題となる放射線性顎骨骨髄炎の予防に, 照射前後の計画的な口腔衛生管理が効果的である. 広範囲顎骨摘出後の再建手術に3次元実体模型を用いた再建用金属プレートのプレベンディングにより手術手技の効率化や術後の咀嚼能力向上が期待できる. 本稿では大阪医科大学附属病院における頭頸部がん治療への口腔機能管理の役割について述べる.
ランチョンセミナー Cetuximab 使用時に浮かび上がってきた課題と対策
総 説
  • 松浦 一登
    2016 年 29 巻 1 号 p. 83-89
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     Cetuximab は頭頸部癌治療に世界で初めて導入された EGFR を標的とする IgG1 モノクローナル抗体薬であり, 日本においても2012年12月21日に承認された. 高齢者や腎不全患者など標準治療を行えない患者に対しては, 積極的に本治療法を取り入れてきた. しかし症例を積み重ねるにしたがって, 本剤特有の問題点 (インフュージョンリアクション, 放射線性皮膚炎, 間質性肺炎など) が浮かび上がってきた. 新規薬剤であるほど未だ経験したことない副作用・合併症があるため, 時には敢えて用いないという判断も必要である. リスクに対応するためには耳鼻咽喉科・頭頸部外科医のみで患者のマネージメントを行うのではなく, 他科・多職種でチームを作ることが必要である.
イブニングセミナー ドライマウスの診かた
総 説
  • 山村 幸江
    2016 年 29 巻 1 号 p. 91-98
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     ドライマウス患者の多くは高齢者で, 唾液腺の加齢に服薬と咀嚼機能低下等が複合して関与する. 亜鉛欠乏も味覚障害のみならず口内痛や唾液量減少にも関わる.
     ドライマウスへの対応としてガムをかむなどの唾液分泌を刺激する習慣付けは有用である. 歯科的治療も咀嚼機能保持および齲歯と歯周病の予防・治療のために重要である.
     内服薬では M3 ムスカリン作動薬は唾液腺機能が残存する場合は有効だが, 唾液腺以外のムスカリン受容体も刺激するため副作用による服薬中断例が少なくない. 副作用軽減の工夫として服用量を徐々に増やす漸増法, 同容量を多数回に分ける分割投与, 水溶させた薬剤をうがいに用いるリンス法, 飲料に混合する服用法がある.
教育パネル 専門医が知っておくべき扁桃病巣疾患の新展開
総 説
  • 堀田 修, 田中 亜矢樹, 谷 俊治
    2016 年 29 巻 1 号 p. 99-106
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     慢性上咽頭炎は肉眼的に判定することは困難とされ, 耳鼻咽喉科医の認知度は低い. しかし, 同部位の慢性炎症による局所症状は一般的には軽微であるがその解剖学的特性により, 慢性上咽頭炎は免疫系・自律神経系・内分泌系に影響を及ぼし, その結果として様々な全身症状を惹起する. 原病巣である慢性上咽頭炎が耳鼻咽喉科領域であり, 二次疾患である全身疾患が他科領域となるため, 1960年代に注目された後, 医療の細分化の潮流の中で, 一旦は医学界の表舞台から姿を消したが, 近年, 再び復活の兆しがある. 中でも慢性疲労症候群, 過敏性腸症候群などの機能性身体症候群における慢性上咽頭炎の関与は重要であり, 充分な上咽頭処置により全身症状の軽快が得られることが多い. それ故, 適切な慢性上咽頭炎診療の再興は将来, 日本の医療に大きなインパクトを与える可能性を秘める. その為には微細な経鼻的内視鏡的所見や具体的な処置方法を含む, 今日の医学に即した「慢性上咽頭炎診療マニュアル」の作成が切望される.
  • 原 真理子, 守本 倫子
    2016 年 29 巻 1 号 p. 107-110
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     PFAPA 症候群は, 周期性発熱を主症状とし, アフタ性口内炎, 咽頭炎, 頸部リンパ節炎を随伴する. 比較的新しい概念の疾患であり, 詳しい病因や病態は分かっておらず, 診断に迷うことも少なくない. 薬物療法にはプレドニゾロン頓用があり, 著明な解熱効果が得られる特徴をもつ. 外科的治療法では, 口蓋扁桃摘出術が有効であり, 当科の治療成績でも高い有効率が示された. 病態仮説には, 自然免疫の活性異常や末梢組織での T 細胞活性などが提唱されている. また, 扁桃炎の随伴が多く, 口蓋扁桃摘出術が有効であることから, 本疾患と扁桃組織との間には何らかの関連性があると推測される. 現在, 扁桃組織の遺伝子とタンパク質の網羅的解析を進めている.
  • 高原 幹
    2016 年 29 巻 1 号 p. 111-114
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     SAPHO 症候群51症例に対し扁桃摘出術を施行し, 35例 (68%) の患者で疼痛が消失, 47例 (92%) の患者で有効以上の効果が得られた. また, 術後3ヵ月までに91%の患者で関節痛の改善がみられた. また, SAPHO 症候群の病態の一つに掌蹠膿疱症と同様に扁桃リンパ球の病巣へのホーミングが関与している可能性が示唆された. SAPHO 症候群の関節痛に対する扁摘の効果は非常に高く, 扁桃病巣疾患のひとつと考えられた.
原 著
  • 岩佐 陽一郎, 工 穣, 宇佐美 真一
    2016 年 29 巻 1 号 p. 115-120
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     最近, コブレーターを用いた低侵襲な手術方法の有用性が国内外で報告されている. 今回我々は, 口蓋扁桃摘出術, アデノイド切除術後の舌扁桃の代償性肥大に伴う閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対してコブレーターを用いて舌扁桃切除術を行った一例を経験した. 症例は13歳女性. 基礎疾患にダウン症あり. 舌扁桃肥大による閉塞性睡眠時無呼吸症候群と診断し, 全身麻酔下にコブレーターを用いて舌扁桃切除術を行った. 舌扁桃切除術の問題点として出血のコントロールが挙げられるが, コブレーターを用いる事により良好な止血と十分な切除効果を得ることができた. コブレーターは舌扁桃切除術に有用な手術器具であると考えられた.
  • 岡崎 雅, 那須 隆, 岡崎 慎一, 千田 邦明, 野田 大介, 小池 修治, 欠畑 誠治
    2016 年 29 巻 1 号 p. 121-125
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     当科における中咽頭扁平上皮癌一次治療26例の臨床検討を行った. 飲酒や喫煙歴を有する古典的背景を持つ症例が多かった. ステージⅢ, Ⅳ の症例が合わせて81%を占めた. 治療内容では TPF 交替療法を行った症例が16例と過半数を占め, 病期分類別の3年生存率はステージⅢ, Ⅳ で75%,68%であった. TPF 交替療法の DFS は66.7%であり, 中咽頭癌の治療方法の一つとして許容できるのではないかと考えられる.
  • 髙橋 希, 高野 賢一, 大國 毅, 黒瀬 誠, 近藤 敦, 氷見 徹夫
    2016 年 29 巻 1 号 p. 127-132
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     耳下腺に発生した癌肉腫の1例を経験したので報告する. 症例は40代女性, 右耳下腺の腫脹を主訴に来院. 造影 CT で右耳下腺内に石灰化を有する腫瘍性病変を認め, 穿刺吸引細胞診では Class V であった. T2N0M0 cStage II の耳下腺悪性腫瘍と診断し, 右耳下腺全摘および同側頸部郭清, 術後放射線療法を施行. 病理学的には癌腫成分が唾液腺導管癌, 肉腫成分が骨肉腫である癌肉腫と診断された. また背景には多形腺腫成分が確認され, 多形腺腫由来癌であると考えられた. 病理診断では断端陰性であったが, 術後1年6ヵ月で仙骨に転移を認め, 放射線照射を追加した. その後化学療法を施行されるも, 新たな転移巣が認められている.
  • 福本 晶, 土井 彰, 小桜 謙一, 田村 耕三, 今井 利, 赤木 博文
    2016 年 29 巻 1 号 p. 133-137
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     症例は32歳男性. 幼少期に von Willebrand 病 Type2 型の診断を受けている. 咽頭違和感の継続と両側口蓋扁桃腫大のため当院紹介となった. この症例に対してコブレーターによる扁桃摘出術を行った結果, 出血も少なくすみ, 血液製剤の使用も最低限に抑えることが可能であった. 本邦でも普及しつつあるコブレーターの特性を含め, 止血困難が予測される血液疾患の症例に対して扁摘を行う際の注意, 血液製剤の使用について考察する.
  • 深瀬 滋
    2016 年 29 巻 1 号 p. 139-145
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/06/23
    ジャーナル フリー
     著者が1993年8月から2015年8月までに経験したガマ腫は139例であり, その型別の内訳は, 舌下型65例, 顎下型61例, 舌下顎下型13例であった. 顎下型および舌下顎下型74例のうち15例 (20.3%) は, 舌下型ガマ腫であったものの手術 (主に開窓術) 後に, 顎下部にガマ腫が出現したものであった. ガマ腫は舌下腺からの唾液漏出の結果生じた偽嚢胞である. 唾液漏出が止まらなければ再発する. 手術瘢痕等により唾液の流出経路が変化した結果, このような事態が生じるものと考えられた.
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