2002年から2012年までに横浜南共済病院耳鼻咽喉科で口蓋扁桃摘出術を行った692例に対して, 術後出血に関する検討を行った. 口蓋扁桃摘出術術後出血 (post-tonsillectomy hemorrhage: PTH) を, 視診でわずかでも扁桃窩からの出血や凝血塊などを確認した場合, と定義した. PTH は692例中80例 (11.6%) に認め, 再手術症例は18例 (2.6%) であった.
これら PTH 症例に対し, 性別, 年齢, 原疾患, 術者の経験, 手術時間, 結紮糸の種類, 抗菌薬の投与日数で危険因子を検討した. PTH の危険因子として, 第一には成人, 第二には男性であった. 再手術の危険因子は, 第一は男性, 第二は成人, 第三は経験5年以下の術者であった. これらの結果から, 成人症例や男性症例は PTH や再手術の有意な危険因子であると考えられた.
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