口腔・咽頭科
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30 巻 , 2 号
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シンポジウム 唾液腺悪性腫瘍の分子病理から見た治療法の展望:予後向上を目的とした新たな展開を中心に
総 説
  • 青井 典明, 川内 秀之
    2017 年 30 巻 2 号 p. 149-154
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

      唾液腺癌に対する治療は手術加療が基本であり, 高悪性癌症例において術後治療として放射線治療が適応となる. 唾液腺癌は比較的まれであり, 数多くの組織型およびその亜型が存在するため, 追加治療を考慮するためには, 腫瘍ごとに悪性度の評価が必要となる. 乳癌領域と同様に, 腫瘍の増殖能を示す Ki-67 labeling index は唾液腺癌でも予後との関連が報告されており, 悪性度を示す有用なマーカーと考えられるが, 腫瘍内の Ki-67 染色の heterogeneity のため, 再現性に乏しくカットオフ値については今後の検討が必要である. 切除不能な遠隔転移を生じた場合の選択肢の一つに分子標的薬の可能性がある. 現在頭頸部癌領域に使用可能な分子標的薬はセツキシマブのみであり, その標的分子である EGFR は組織型を問わず多くの症例で発現している. 他領域で使用されるトラスツズマブについて, その標的分子である HER2 は発現する組織型が限られてくるが, いずれも他の抗悪性腫瘍薬との併用にて有効であった報告が散見される. 抗アンドロゲン剤は唾液腺導管癌において単剤で有効であった報告がある. 今後の症例の蓄積に期待するところである.

シンポジウム 粘膜免疫の臨床応用:鼻咽腔,口腔,腸管の粘膜を利用した炎症性疾患の制御機構の理解
総 説
  • 寺田 哲也, 河田 了
    2017 年 30 巻 2 号 p. 155-157
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     粘膜免疫機構は人体最大の免疫臓器であること, 粘膜免疫はその特性から防御と寛容の特殊な2面性を持つことが極めて重要である. 例えば, ワクチン接種の中心は注射型であるが抗体誘導は全身性に IgG 抗体が誘導され, 感染の主な場所である粘膜に誘導されるわけではない. 方や経粘膜的にワクチン接種させると全身性にIgG抗体が誘導されるだけでなく, 投与 粘膜面 (感染の最前線) に IgA 抗体を誘導させることもできる.

     非自己であるが, 無害である食事摂取タンパク質に免疫応答を起こすことは無い. 巧みな寛容誘導機構が存在し, その寛容機構の治療応用が, 粘膜免疫機構を利用した経口免疫寛容である.

シンポジウム 口腔・咽頭癌のマネージメント―治療の変遷と予後評価を中心に―エキスパート・オピニオン
総 説
  • 松浦 一登, 今井 隆之, 浅田 行紀, 森田 真吉, 西條 聡
    2017 年 30 巻 2 号 p. 159-164
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     中咽頭癌は本邦, 欧米を問わず増加傾向にあり, とりわけ HPV 関連中咽頭癌の増加が著しい. 本法では約 5割, 欧米では約 7割の中咽頭癌症例に HPV 感染が認められる. 発症のリスク因子として喫煙と飲酒が指摘されてきたが, 現在の中咽頭癌治療においては HPV 感染が重大な関心事である. とりわけ HPV 陽性中咽頭癌の予後が良好であることが明らかとなり, 喫煙歴と組み合わせることで予後を予測できるようになった. 今では, 中咽頭がんは 3種類 (HPV(+)SCC, HPV(-)SCC, 非SCC) に分けられると考えられ, 治療強度を見極めるために様々な臨床試験が進行中である. これらの結果を踏まえて, リスク分類別に QOLを考え, 過不足ない治療を行うことが重要である.

シンポジウム 睡眠呼吸障害とその周辺領域アップデート
総 説
  • 中田 誠一
    2017 年 30 巻 2 号 p. 165-169
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

      鼻閉状態の鼻腔はそれ自体が抵抗管の役割を果たし, その出口部分である咽頭に強い陰圧がかかり虚脱し無呼吸を起こす. つまり鼻閉は咽頭部での無呼吸を起こすトリガーになりうる. 鼻閉の強さを客観的に表す検査に鼻腔通気度検査がある. 現在では圧導出が容易で再現性の高いアンテリオール法が一般的で標準法として採用されている. 鼻腔通気度計における鼻腔抵抗値は正常成人の平均的両側鼻腔抵抗値は0.25±0.10 Pa/cm³/sとされている. 一方, 鼻が正常な小学生1年から6年における両側鼻腔抵抗値は 0.30-0.41 Pa/cm³/sであり, いずれも成人の平均値とくらべ若干高い傾向を示している. 鼻中隔彎曲矯正術などの鼻閉を改善させる鼻腔手術は睡眠時において無呼吸低呼吸指数を改善させることはできないが, 睡眠の質は改善している. この鼻腔手術において無呼吸低呼吸指数は改善するものもあれば, 悪化するものもあり, ばらつきがある. その中で改善するタイプは鼻腔手術によって, 鼻呼吸が増加し, 口呼吸が減少している例である.

原 著
  • 地村 友宏, 川畠 雅樹, 永野 広海, 黒野 祐一
    2017 年 30 巻 2 号 p. 171-174
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     Guillain-Barre 症候群 (以下GBS) の亜型で稀なもののひとつに acute oropharyngeal palsy (以下 AOP) があり, 今回我々は軟口蓋麻痺を初発症状とした AOP の 1 例を経験した. 症例は16歳の男性で, 両側軟口蓋の挙上不良, 開鼻声を呈した. 急性発症の末梢神経疾患が考えられ, GBS の亜型である可能性も疑い, 抗ガングリオシド抗体を調べ, 抗 GQ1b-IgG 抗体, 抗 GT1a-IgG 抗体の上昇をみとめ, AOP と診断した. その後, 経過観察のみで徐々に症状は改善し, 約 1 ヵ月後に症状が消失した. 耳鼻咽喉科医の口腔咽頭診察において, GBS の亜型疾患を念頭に置くことが重要と考えた.

  • 佐藤 恵里子, 佐伯 忠彦, 橋本 大
    2017 年 30 巻 2 号 p. 175-184
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     2002年1月から2015年12月までに当科で治療を行った大唾液腺腫瘍165例について臨床的検討を行った. 平均年齢は58.7歳で, 男性が86例, 女性が79例であった. 病理組織像では良性が143例 (86.7%), 悪性が22例 (13.3%) であり, 良性は多形腺腫, ワルチン腫瘍の順に多かった. 悪性は腺様嚢胞癌, 悪性リンパ腫, 腺癌 NOS の順に多かった. 治療は163例に手術を行い, 術後補助療法として放射線治療を9例, 化学療法を8例に施行した. 術後合併症では顔面神経麻痺が耳下腺で7例 (5.3%), 顎下腺で7例 (21.9%) に, 唾液瘻が耳下腺で7例 (5.3%) に, フライ症候群が耳下腺で2例 (1.5%) にみられた. 悪性リンパ腫を除いた悪性腫瘍症例の 5 年疾患特異的生存率は全体で73.7%であった.

  • 大塚 雄一郎, 根本 俊光, 國井 直樹, 花澤 豊行, 岡本 美孝
    2017 年 30 巻 2 号 p. 185-190
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     顎下腺移行部唾石は多くの耳鼻咽喉科施設で顎下腺全摘術が, 一部で内視鏡手術が行われている. しかし顎下腺全摘術は侵襲が大きく, 内視鏡手術には Ho-YAG レーザーが必要でイニシャルコストが高い. 一方, 口内法手術は顎下腺全摘術よりも低侵襲で内視鏡手術のように高度な機器を必要としない. 我々は15名・16側の顎下腺移行部唾石に対して口内法手術を行った. 全例摘出可能で重大な長期合併症は認めなかった. 手術後早期に舌のしびれと発熱を9例, 顎下部腫脹を12側, 開口障害を3例, 軽度喉頭浮腫を1 例, 咽頭側索浮腫を1 例に認めたがいずれも一過性であった. 顎下腺移行部唾石の口内法手術は低侵襲で安全かつ低コストの手術といえる.

  • 島津 倫太郎, 山本 美保子, 峯崎 晃充, 倉富 勇一郎
    2017 年 30 巻 2 号 p. 191-195
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     咽喉頭酸逆流症 (laryngopharyngeal reflux disease: LPRD) の病態生理の解明を目的に, これまで我々は胃酸逆流モデルラットを用いて咽喉頭および下気道の組織学的変化を検討・報告してきた. 今回, 同じモデルラットの口腔および咽頭における病理組織学的変化を検討した. 術後10週では歯冠の平坦化と歯周組織への炎症細胞浸潤を認めた. また術後20週にはさらに歯牙酸蝕が進行し, エナメル質の溶解と象牙質の露出が観察できた. 歯周組織と舌根部への炎症細胞浸潤も認めた. この結果から慢性的な胃酸逆流は歯牙酸蝕, 歯周炎および舌炎の増悪因子の一つであることが示唆された.

  • 黄川田 乃威, 稲垣 太郎, 永井 賀子, 上田 百合, 縣 愛弓, 服部 和裕, 塚原 清彰
    2017 年 30 巻 2 号 p. 197-201
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

      劇症型溶血性連鎖球菌感染症 (STSS) は極めて致死率の高い感染症である. 本邦で15例目となる頭頸部 STSS を報告する. 症例は46歳, 男性, 右顎下部の皮疹を掻把翌日, 頸部腫脹が出現, 2日目に当科救急搬送となった. 搬送時ショックバイタルで, 著明な炎症反応上昇と急性腎不全を認めた. CT 所見と合わせ, 頸部蜂窩織炎・縦隔炎, 敗血症性ショックと診断した. 経頸部的縦隔開放術と気管切開術を施行し, PIPC/TAZ を投与した. 術野より提出した細菌培養検査にてA群 β 溶血性連鎖球菌を検出, 軟部組織壊死および播種性血管内凝固症候群も認め, STSS と診断した. 速やかな抗菌薬投与及び外科的処置により, 救命することができた.

  • 大塚 雄一郎, 根本 俊光, 國井 直樹, 花澤 豊行, 岡本 美孝
    2017 年 30 巻 2 号 p. 203-207
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     線維素性唾液管炎は1879年に Kussmaul が最初に報告した. 反復性の唾液腺腫脹と唾液管から線維素塊やゼリー様物質が排出されることを特徴とする疾患である. 唾液中に多数の好酸球がみられることやアレルギー疾患の合併例が多いことから, アレルギー性唾液腺炎と同一疾患とする見解もある. 症例は喘息で加療中の7歳女児. 食後の両側顎下腺腫脹を訴えた. 右ワルトン管から線維素塊の排出を認め, 唾液中好酸球は陽性であった. 血中好酸球は7.4%, 唾液腺造影でワルトン管の狭小化と顎下腺陰影の淡化を認めた. 線維素性唾液管炎と診断して抗ヒスタミン薬を投与し, 顎下腺腫脹はコントロールされた. 小児の線維素性唾液管炎は2003年まで報告がなかった.

  • 土井 彰, 田村 耕三, 福本 晶, 小桜 謙一, 高野 浩章, 中須賀 彩香, 赤木 博文
    2017 年 30 巻 2 号 p. 209-213
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     高知医療センター耳鼻咽喉科で2005年3月から2016年3月まで扁桃摘出術 (以下, 扁摘と略す) を施行した掌蹠膿疱症24例について性別, 初発年齢, 扁摘年齢, 喫煙の有無, 術後転帰を検討し, 再発要因を考察した.

     性別は男性 3例, 女性21例で, 初発年齢は平均37.8歳, 扁摘年齢は平均45歳であった. 初診時の喫煙例は15例, 禁煙中 4例, 喫煙無 5例であった. 皮膚症状寛解例のうち 2例が皮膚症状再発で当科を受診したため直ちに皮膚科・歯科を紹介した. 齲歯と歯周病は 2ヵ月以内に治癒した. 6年後も軽症ながら皮膚症状は残っている.

     寛解後の再発例の存在は, 掌蹠膿疱症の原因が扁摘後に口蓋扁桃から他の場所にシフトする可能性を示す. 喫煙が原因シフトに関係している可能性がある.

  • 北村 剛一, 矢富 正徳, 服部 和裕, 岡吉 洋平, 塚原 清彰
    2017 年 30 巻 2 号 p. 215-220
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     閉塞性睡眠時無呼吸症 (OSA) に対する治療は, 経鼻的持続陽圧呼吸療法 (NCPAP) が一般的ではあるが, 海外では積極的に外科的治療が行われている. OSA の狭窄部位は 1 ヵ所とは限らず複数の部位が狭窄している場合も少なくない. 今回我々は, 軟口蓋部と舌根部の狭窄に対し UPPP と舌扁桃切除術の併用手術を施行し, その治療効果と合併症につき検討したので報告する. 対象は, 2012~2016年までに併用手術を行った19例である. 評価項目は, ESS, AHI, 睡眠構築, 術後の合併症である. 術前に比べ術後の ESS, AHI および睡眠効率, REM, Stage 1, Stage 2 は有意に改善した. 術後合併症では, 術直後は, 喉頭蓋腫脹と咽頭違和感が多かった. 術後 1ヵ月後には19例中 4例で味覚障害を訴える症例がみられた. 複数部位の狭窄に対する併用手術も OSA の治療の選択肢の一つであると思われるが, 術後合併症のリスクなどを考慮の上, 手術を行うのが望ましいと思われた.

  • 河内 理咲, 小林 良樹, 大岡 久司, 神田 晃, 朝子 幹也, 岩井 大, 安場 広高
    2017 年 30 巻 2 号 p. 221-225
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     近年, 呼気中一酸化窒素 (FENO) が喘息などの気道炎症性疾患において臨床応用されている. FENO は, 主に炎症やストレスによって気道上皮, 特に副鼻腔で産生される NO を反映しているため, 鼻腔の NO 濃度にも影響する. 鼻腔の閉塞や気流の変化が関与する閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) においても, FENO, 特に鼻腔 NO がその病態を反映することが推測される. 本検討では, OSAS が疑われた68症例を対象として鼻腔 NO の評価を行った. 経口 FENO に加えて経鼻 FENO も測定し, その差を鼻腔 NO と定義した. 鼻腔 NO は呼吸イベント指数 (REI) 30以上の severe 群で有意に高値であったが, CPAP 治療導入後に低下した. 鼻腔 NO 上昇と OSAS の病態との関連が示唆され, 病勢マーカーとして臨床応用できる可能性がある.

  • 清川 佑介, 野村 文敬, 杉本 太郎, 朝蔭 孝宏
    2017 年 30 巻 2 号 p. 227-232
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     舌根部に発生する神経鞘腫は比較的稀である. 我々は, ELPS (endoscopic laryngo-pharyngeal surgery) による腫瘍切除を施行した舌根部神経鞘腫の一例を経験した.

     39歳男性. 偶然舌根部腫瘍を近医で指摘され当科に受診した. 舌根を基部として外向発育する腫瘍を認めた. 2年後に咽頭違和感と呼吸困難感を自覚したため再診した. 腫瘍の増大による咽頭腔の狭小化を認めた. MRI やPET-CT 所見では良性腫瘍と考えられた. 全身麻酔下に ELPS にて腫瘍切除を施行した. 術後の合併症なく退院した. 病理組織学的検査では神経鞘腫と診断されたが, 術後の神経脱落症状は認めなかった.

     舌根部腫瘍に対する術式は, 頸部外切開や口内法など様々であるが, ELPS は舌根部後方外向発育する腫瘍に対してよい適応であると考えられた.

  • 野島 雄介, 生駒 亮, 松浦 省己, 長岡 章平, 長田 侑, 折舘 伸彦
    2017 年 30 巻 2 号 p. 233-238
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     口腔咽頭アフタを来たす疾患としては感染症が多いが, 膠原病を含む自己免疫性疾患など全身疾患に伴う口腔咽頭アフタも存在する. 今回我々は, 抗菌薬に反応しない口腔咽頭アフタを認め, 最終的に不全型ベーチェット病と診断した一例を経験した. ベーチェット病は, 口腔内アフタ, 皮膚症状, 外陰部潰瘍, 眼症状を主症状とする慢性炎症性疾患である. 予後は一般に良好であるが, ぶどう膜炎が発症した際には失明率が高いことから早期診断が望ましい. 本例のように抗菌薬が無効であり, ステロイド投与開始で症状の軽快, 投与中止で症状の増悪を繰り返す症例ではベーチェット病を鑑別に挙げ, 適切に他科と連携をとり診断, 治療に当たる必要がある.

  • 中田 貴大, 山田 啓之, 三谷 壮平, 羽藤 直人
    2017 年 30 巻 2 号 p. 239-244
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     軟口蓋穿孔の原因は多岐に渡り, 診断に苦慮することがある. 今回われわれは副腎皮質ステロイドの投与で診断に苦慮した軟口蓋穿孔の1例を経験したので文献的考察を加え報告する. 症例は35歳女性. 左耳痛と難聴を主訴に近医を受診, 急性中耳炎として加療を受けるも改善しなかった. 軟口蓋穿孔も出現したため副腎皮質ステロイドの漸減投与が行われ精査加療目的に当科紹介受診となった. 当科にて細菌検査や病理組織検査を繰り返すも確定診断には至らず, 軟口蓋穿孔の改善も認めた. しかし当科受診 3ヵ月後に行った気管支鏡検査にて肺結核, 上咽頭結核, 結核性中耳炎と診断された. 抗結核薬を投与され症状は軽快し, 1年半経過した現在, 症状の再燃を認めていない.

  • 内田 哲郎, 永井 裕之
    2017 年 30 巻 2 号 p. 245-249
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     口蓋扁桃摘出術 (以下, 扁摘と略) 後の術後出血率は出血の定義等により0~50%と幅広く, 超音波メスやコブレーター等の Hot Knife を用いた手術に多いとされる. 中でも術後一週間前後に多い後期出血を減らす術後の具体策は乏しいのが現状である. 術後24時間以上経過した後期出血の定義は唾液への血液混入等, 治療を要しない軽微なエピソードも含めて厳密に評価したところ, 当院で行った超音波メス扁摘術後の45.8%で後期出血を認めた. その後, トラネキサム酸の術後 1g投与を12日間行ったところ, 8%と有意に減少した. トラネキサム酸の術後長期間内服投与による後期出血低減効果が示唆された.

  • 相原 勇介, 佐藤 宏樹, 岡本 伊作, 清水 顕, 高瀬 聡一郎, 平澤 一浩, 塚原 清彰
    2017 年 30 巻 2 号 p. 251-256
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     頸動脈小体腫瘍は頸動脈小体から発生する傍神経節腫である. 根治法は手術だが, 出血や, 頸動脈損傷, 下位脳神経障害などのリスクを伴う. 症例は38歳女性. 画像検査で48mm 大の頸動脈小体腫瘍と診断した. 術当日の血管造影で, 総頸動脈造影で著明な腫瘍濃染を認めた. Feeder の一つであった上行咽頭動脈を塞栓後, 手術を施行した. 腫瘍は Shamblin 分類の Group IIIの腫瘍で, 血流豊富であった. 超音波凝固切開装置, 血管マイクロクリップを用いることで出血はコントロール可能であった. 手術時間3時間52分, 出血量322mlで, 術後合併症は認めなかった. 機器の工夫にて安全かつ比較的少ない出血量で手術可能であった.

  • 冨岡 亮太, 岡崎 賀子, 勝部 泰彰, 高瀬 聡一郎, 島田 理恵, 縣 愛弓, 塚原 清彰
    2017 年 30 巻 2 号 p. 257-260
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     レミエール症候群は嫌気性菌による咽頭感染症が内頸静脈の血栓症を引き起こし, 肺・関節などの転移性感染巣や, 敗血症を引き起こす疾患群である. 起因菌として嫌気性菌である Fusobacterium 属が同定されることが多く, 元来健康な若年者に発症し, 死亡率が高い. 今回, 早期診断が可能であったレミエール症候群を経験したので報告する. 症例は22歳男性, 発熱, 右頸部腫脹を自覚し, 意識障害も出現したため当院受診となった. 造影 CT にて右内頸静脈血栓像を認め, 血液培養にて Fusobacterium necrophorum が同定されたためレミエール症候群の診断となった. 早期の診断にて救命可能であったが, 診断の遅れは致死的な結果を招く疾患であり, 日常診療においても念頭におくべきである.

  • 犬塚 義亮, 冨藤 雅之, 荒木 幸仁, 田中 伸吾, 中森 祐里和, 塩谷 彰浩
    2017 年 30 巻 2 号 p. 261-267
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     下咽頭梨状陥凹瘻に対する根治治療として, 従来から外切開による瘻管摘出術が行われており, 近年経口的瘻孔焼灼術の報告も見られる. 当科において, 咽喉頭領域における内視鏡手術TOVSによる経口的瘻管摘出術を, 小児例を含む2症例に対して施行した.

     TOVS による瘻管摘出術は, 瘻管摘出および粘膜縫合を行って感染経路を遮断することで根治性を得られると考えられ, かつ経口的手術のため低侵襲であり審美面でも有利である. また頸部に高度の瘢痕化が予想される症例においても瘻管の咽頭開口部を同定しやすく, 手術操作にも支障がないという利点もある. 短い瘻管が本手術の適応であるが, 成人のみならず小児例までその適応を拡大しうることが示された.

ノート
  • 中山 明峰, 佐藤 慎太郎, 有馬 菜千枝
    2017 年 30 巻 2 号 p. 269-274
    発行日: 2017/06/10
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

     近年, OSAS に対する CPAP の長期使用率が不良であることが数多く報告され, 再度手術が見直されるようになった. OSAS に対する新たなる手術適応について当施設の私案を報告し, AHI の意義について再考する.

     過去の手術では AHI の数値が半減したことに満足した報告が多かった. AHI の数値のみではなく, 睡眠障害に立った視点の手術適応が必要である. 当施設での手術適応のポイントとして, 1. 治療全体において, 手術はどの部分に効果を示すのか, などと充分な情報を提供すること, 2. 上気道狭窄に対して他覚的観点を持った手術方法が必要であること, 3. OSAS は上気道狭窄のみでなく, ほかの因子が隠れていること, などに気をつけている.

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