口腔・咽頭科
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31 巻 , 2 号
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シンポジウム1 耳鼻咽喉科の味覚障害治療 —新たなる希望—
総説
  • 前田 英美, 任 智美, 西井 智子, 梅本 匡則, 阪上 雅史
    2018 年 31 巻 2 号 p. 149-154
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー
    味覚障害の障害部位は,受容器,末梢神経,中枢神経,心因性に分類される.このうち受容器障害が最も多い.その病態は亜鉛欠乏による味細胞の新生遅延であるため,亜鉛内服療法が有効となる.現時点で味覚障害に対して保険適用のある亜鉛製剤は存在しないが,2017年3月に酢酸亜鉛が「低亜鉛血症」の治療薬として保険適用を取得したことで,味覚障害診療の拡大が期待される.当科における亜鉛内服療法の有効率は80.2%であった.ただし,亜鉛補充効果が得られない症例もあり,漢方薬や抗うつ薬等が奏効することもある.亜鉛内服療法以外の治療法やそのアプローチ方法について,症例で検討するとともに治療アルゴリズムを提案する.
  • 西田 幸平, 小林 正佳, 竹内 万彦
    2018 年 31 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー
    味覚障害患者数は高齢化の進展とともに増加が予想されるが,味覚診療の普及は進んでいない.その原因として,診断に時間がかかること,診断基準が複雑であること,治療選択肢が限られることなどが挙げられる.今回は味覚障害診断に必要な検査項目について味覚伝導路を基に整理した.また,味覚検査のうち,濾紙ディスク法は特に所要時間の長い検査であり,その簡略法である舌前方法および全口腔法について検討し,有用性を確認した.最後に味覚障害診療の簡便なスクリーニング方法について提案する.今後,口腔咽頭科学会が中心になり,診断方法,診断基準をまとめていく必要がある.
シンポジウム2 嚥下障害診療 Up to date
総説
  • 熊井 良彦
    2018 年 31 巻 2 号 p. 161-163
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー
    摂食嚥下障害で誤嚥が疑われる症例には,病態を詳細に評価することができる嚥下造影検査,嚥下内視鏡検査が広く一般的に行われる.これらの検査に嚥下圧検査を組み合わせて実施することで,前二者の検査では得られない圧力データも取得でき,より正確な嚥下障害の病態の理解が可能となる.嚥下圧検査の主流となりつつある高解像度マノメトリー(HRM)の概要について述べ,さらにHRMの実際の臨床応用により嚥下圧の観点からの嚥下障害の正確な病態評価,リハビリテーションや嚥下機能改善手術などの治療法のエビデンス確立のための研究,VF嚥下機能検査以外による食塊移送の臨床評価などが可能となる.
  • 木村 百合香
    2018 年 31 巻 2 号 p. 165-170
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー
    我が国では,世界にも類を見ない速度で超高齢社会化が進み,嚥下障害診療の需要も急増している.サルコペニアはフレイルの身体的要因の中心的要素であるが,サルコペニアによる嚥下障害は,低栄養を助長し,フレイルを進行させるという悪循環を来たす.変性性認知症による摂食嚥下障害は,咽頭期の障害が軽度であっても,先行期・口腔期の問題により誤嚥や窒息を来す可能性があるため,留意が必要である.高齢者の嚥下障害に対する嚥下機能改善手術の適応は限定的である一方,誤嚥防止術は安全性が高い手技が確立しており,適応判断にあたっては全人的なアプローチを行う.
  • 益田 慎
    2018 年 31 巻 2 号 p. 171-173
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー
    乳幼児の摂食嚥下障害に対応する際には,リスク管理として窒息の予防が重要となる.窒息を防止しながら摂食嚥下の発達を促すという観点から乳幼児の摂食嚥下障害に介入する際,姿勢を調整した上で舌運動をコントロールする必要があるという点は高齢者の摂食嚥下障害への介入と差はなかった.知的障害のある乳幼児に限って検討すると,介入方法については典型発達例と比較して大きな差異を認めなかった.しかし,最終的に摂食できる食形態で分類すると典型発達群と知的障害群に差を認めた.知的障害の有無は準備期に影響を与えると考えられた.
教育セミナー2 唇裂・口蓋裂と耳鼻咽喉科
総説
  • 經田 香織, 山﨑 憲子, 寺口 奏子, 宮澤 徹, 三輪 高喜
    2018 年 31 巻 2 号 p. 175-178
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー
    口蓋裂児のチーム治療における言語聴覚士(speech therapist:ST)の役割は,正常な言語,特に正常なスピーチを獲得させることであり,その基礎となる正常な鼻咽腔閉鎖機能(velopharyngeal function:VPF)の獲得と正常な構音を習得させることである.その為STは,乳幼児期より聴覚管理と言語管理を行う.VPF不全や構音障害が生じたら,外科的治療や補綴で形状的,機能的な改善を図ったのち,正常構音の獲得を目指し言語訓練を行う.訓練予後は,手術時期や裂の程度,瘻孔,VPF,歯列,発達,訓練意欲,家族の養育態度などが影響する.正常なスピーチの獲得には口腔顔面の形態・運動機能とVPFが大きく関与するため,多職種によるチームアプローチが必須である.
教育セミナー5 耳下腺腫瘍の治療
総説
  • 河田 了
    2018 年 31 巻 2 号 p. 179-182
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー
    耳下腺癌は頻度が少なく,組織別,病期別の治療方針が確立されているとは言い難い.そのため,一定の方針で治療を行っている施設は少ないと思われる.当科では1999年9月から2017年12月までの約18年間に加療を施行した耳下腺癌新鮮症例は181例であり,一定した診断,治療方針で臨んできた.主な組織型は粘表皮癌が47例,多形腺腫由来癌が27例,腺様嚢胞癌が21例,唾液腺導管癌が14例であった.耳下腺癌の悪性徴候とされる,自発痛/圧痛を認める症例は全体の52%,術前顔面神経麻痺を認めた症例は19%であった.術前の穿刺吸引細胞診と術中迅速診断によって正しい悪性度が診断できたのは,穿刺吸引細胞診で約1/3,術中迅速診断で約2/3の症例であった.局所切除の方針は,腫瘍の大きさ(浸潤程度),位置(特に顔面神経との位置関係),悪性度によった.頸部リンパ節に対しては,転移陽性例および高悪性例に対して全頸部郭清術,低/中悪性の転移陰性例には選択的頸部郭清術を施行した.ステージ別の疾患特異的5年生存率はステージⅠ(19例)が100%,Ⅱ(56例)が97.6%,Ⅲ(17例)が71.3%,Ⅳ(53例)が53.1%であった.病理組織学的悪性度別の疾患特異的5年生存率は,低/中悪性(90例)が95.8%,高悪性(55例)が47.1%であった.HER2やARは高悪性癌ほど発現率が高く,抗HER2あるいは抗AR療法の可能性が示唆された.
教育セミナー7 口腔・咽頭癌とウイルス
総説
  • 吉崎 智一
    2018 年 31 巻 2 号 p. 183-186
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー
    通常Epstein-Barrウイルス(EBV)はBリンパ球に終生潜伏感染し,上皮はウイルス増殖の場であるため,感染細胞は破裂して死に至る.したがって咽頭組織で発癌に至るには潜伏感染に移行することが必須である.上咽頭癌においてはp16遺伝子が欠損もしくは不活化されていることが多く,この感染様式のスィッチのカギを握ることが推察されるようになった.臨床的には,ウイルス関連癌の方が非ウイルス関連癌よりも高転移性である一方,化学療法,放射線療法に高感受性であり,結果として予後がよい.組織学的には著明なリンパ球浸潤を伴い,PD-L1ならびにPD-1の発現が高く,免疫チェックポイント阻害剤の効果も期待される.
原著
  • 川畠 雅樹, 馬越 瑞夫, 松元 隼人, 永野 広海, 大堀 純一郎, 黒野 祐一
    2018 年 31 巻 2 号 p. 187-192
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー
    我々はこれまでに扁桃周囲膿瘍を造影CTにおける膿瘍の形態からOval型とCap型に分類し,下極Cap型は病悩期間が短く,喉頭へ炎症が進展し急性喉頭蓋炎を発症しやすいことを報告してきた.今回は,下極型扁桃周囲膿瘍症例のOval型とCap型における年齢,性別,検出菌,膿瘍径の違いについての検討を行った.
    その結果,下極Cap型では,比較的女性の割合が高く,Streptococcus anginosus groupの検出頻度が高かった.下極Oval型と比較し,下極Cap型では病悩期間が短いものの,膿瘍径は大きい傾向にあった.
  • 池田 文, 宮口 潤, 土田 宏大, 片桐 克則, 志賀 清人
    2018 年 31 巻 2 号 p. 193-196
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー
    舌下腺癌は比較的稀な大唾液腺腫瘍であるが,進行癌となる症例がしばしば認められる.しかし,若年者での発症は稀であり,本症例のように進行例であるために下顎骨離断を含めた手術を要する症例は過去の文献では認めなかった.当科で経験した若年者舌下腺原発粘表皮癌進行例について文献的考察を加えて報告する.
  • 松島 可奈, 仲野 敦子, 有本 友季子, 茶薗 英明, 岡本 美孝
    2018 年 31 巻 2 号 p. 197-201
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー
    乳児血管腫は小児血管性腫瘍の中では最多の疾患であり,治療としては近年プロプラノロールの内服治療が第一選択となりつつある.今回我々は,急速に増大する両側耳下腺腫脹を認めた乳児例を経験した.精査目的に針生検を施行した結果乳児血管腫の診断となり,プロプラノロールの内服治療を開始した.本症例は心血管奇形を含む多発奇形を有しており,PHACE症候群疑い例と考えられた.PHACE症候群では頭蓋内血管奇形を合併することがあり,循環動態の変化等に特に留意する必要がある.本症例には頭蓋内合併奇形を認めず,治療経過中明らかな副作用は認めず安全に治療を遂行できた.治療開始8ヵ月後のMRI検査にて血管腫は著明に縮小した.
  • 徳永 貴広, 加藤 幸宣, 成田 憲彦, 藤枝 重治
    2018 年 31 巻 2 号 p. 203-207
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー
    薬剤性歯肉増殖症は薬物の服用に伴って現れる歯肉の増殖であり,原因薬物として抗けいれん薬,免疫抑制薬,カルシウム拮抗薬が知られている.我々は悪性腫瘍との鑑別を要した薬剤性歯肉増殖症の一例を経験したので報告する.症例は68歳男性.上・下歯肉の腫脹に対し前医の生検および画像診断で悪性腫瘍が疑われたため,当科紹介となった.腫脹は歯肉全体に及んでおり,再生検を行ったところ悪性所見は認めず,問診でニフェジピンを内服していることが判明したため,薬剤性歯肉増殖症を疑った.内服薬剤の変更および歯科でのプラークコントロール指導などの歯周基本治療を行ったところ,腫脹は改善したため,薬剤性歯肉増殖症と確診した.
  • 阿河 光治, 阿河 知巳, 石川 絵里子, 浦本 直紀, 吉崎 智一
    2018 年 31 巻 2 号 p. 209-215
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー
    局所進行頭頸部癌に対する初回治療として,放射線療法に対するセツキシマブの上乗せ効果は第Ⅲ相試験(Bonner study)で示されている.本研究では当院治療例27例を後方視的に解析した.男女比:22対5.年齢中央値:74歳.病期:stage Ⅲが3例,stage Ⅳが24例であった.奏効率は92.6%であったが,生存期間の中央値は15ヵ月であった.入院期間の中央値は53日で,重回帰分析で入院期間と相関が認められたのはそれぞれ経鼻胃管挿入とCV catheter挿入であった.入院期間の短縮には栄養介入による粘膜炎の管理が重要であると考えられた.
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