頭頸部悪性黒色腫は比較的稀な予後不良の疾患である.今回我々は,ヒトPD-1に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体であるニボルマブを使用した舌根部原発悪性黒色腫例を経験したため報告する.
症例は63歳男性で頸部痛,嚥下および呼吸困難を主訴に前医を受診した.口腔咽頭腔に充満する腫瘍を認め,生検にて悪性黒色腫と診断され治療目的に当科に紹介された.手術不能例と判断してニボルマブ投与の方針とした.腫瘍は著明な縮小を認めたが,過去に未報告の免疫関連有害事象(immune-related adverse event:irAEs)と考えられた気管軟骨炎が出現した.ニボルマブ使用時は様々なirAEsの出現の可能性を念頭に入れ,他科との連携による対応が必要と考えられた.
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