口腔・咽頭科
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7 巻 , 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 鳥居 邦夫
    1995 年 7 巻 3 号 p. 245-254
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    われわれは摂食時に口腔内に遊離してくる栄養素等の小分子量の物質を味覚として認識することにより, 食物を上手に選択して生存に必須なエネルギー源, 電解質源, 蛋白質源を, それぞれ甘味, 塩味, うま味として過不足の生じないように食べ, そして味が好ましくない毒物や腐敗物の摂取を拒否している.
    グルコースはエネルギー産生系の中心的な基質であり, 主として炭水化物を分解し, そして肝などで糖原性アミノ酸などから生合成されて得ており, 体温の維持と行動の熱源として利用される.運動等による熱源不足そして糖尿病発症により甘味嗜好性が惹起される.
    体液の恒常性維持, 特に血中電解質濃度や体液量は神経系, 内分泌系により厳密に調節されている.主要なナトリウムが欠乏すると強い食塩嗜好性が発現する.又, 本態性や高アルドステロン性高血圧症患者では, 唾液中Na濃度が上昇し, 並行して塩味閾値も上昇, 強い塩味嗜好性を示す.
    うま味物質はアミノ酸 (特にグルタミン酸) と核酸関連物質であり調味料として我国で発見された.うま味物質は動植物の組織に普遍的に分布し, 蛋白質摂取と密接に関わっていると考えられる.個々のアミノ酸はそれぞれ異なる味をもち, 特定アミノ酸の欠乏においては人も動物も味を手がかりに定量的に選択摂取することが出来る.味覚は又, 消化吸収を調節し生体恒常性維持に役立っている.
  • 小林 武弘
    1995 年 7 巻 3 号 p. 255-263
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    扁桃炎における=適切な抗菌化学療法剤の選択について考察した.薬剤の抗菌力以外に扁桃炎の治療効果に影響をおよぼす因子として, 細菌バイオフィルム形成, β-lactamase産生菌の存在, クラミジア感染症, 薬剤の扁桃組織移行などがあげられる.各種薬剤の抗菌力と扁桃移行を比較検討することにより扁桃炎の治療薬を考察すると, 扁桃炎の起炎菌としてA群β溶連菌が今なお重要であることからβ-lactamaseを含んだペニシリン系薬剤か, β-lactamaseに安定性の高い新セフェム系薬剤が第一選択薬と考えられる.
  • 岸本 厚, 酒井 正喜, 森 淳, 西村 忠郎
    1995 年 7 巻 3 号 p. 265-272
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    細菌性扁桃炎と扁桃周囲膿瘍の現況につき報告した.急性扁桃炎患者と健常者の細菌叢を比較し主な起炎菌をS.pyogenes, H.influenzae, S.aureusと決定した.年次, 地域別による急性扁桃炎の検出菌を検討した.S.pyogenesは最も多く検出されたが年次, 地域により変動を認めた.S.pyogenesの薬剤感受性は良好であったが, H.influenzae, S.aureusはβ-ラクタマーゼ産生株の増加によりABPCの耐性化が進行していた.扁桃周囲膿瘍の検出菌を検討した.咽頭痛発現から細菌検査施行までの期間が早期な症例にS.pyogenesが多く検出され, 嫌気性菌は1週間以上の症例に多かった.
  • 松本 あゆみ, 稲村 達哉, 岸本 麻子, 木下 卓也, 井野 千代徳, 山下 敏夫
    1995 年 7 巻 3 号 p. 273-278
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    開口時の異常を主訴として当科を受診する症例は多いが, このたび極めて珍しい下顎骨筋突起の骨軟骨腫を経験したので報告した.症例は17歳男性で, 約2ヵ月前から持続する開口時の頬部痛を主訴に来院した.外傷など既往歴, 家族歴に特記すべきrのなく視診上にも異常は認められなかったが, 右頬部に開台時に出現する『ゴリッ』という異常音と硬い腫瘤を認めた.鼻単純X線写真, CTおよびMRIから右下顎骨筋突起にマッシュルーム様腫瘤を認め, 口内法にて腫瘍を摘出し, その病理組織像から骨軟骨腫と診断された.術直後より症状は完全に消失し現在に至っている.
  • 竹市 夢二, 馬場 駿吉, 鈴木 賢二, 松浦 秀博, 亀井 壮太郎
    1995 年 7 巻 3 号 p. 279-285
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    口唇の再建は欠損組織の充填のみならず整容面や機能面にも考慮した再建が必要である.私たちは1990年以来, 口唇裂等に用いる小皮弁をのぞいて, 皮弁による口唇再建を全18例22皮弁を行っている.再建に使用した皮弁はEstlander-Abbeflap, 広背筋皮弁, Rotation flap, Nasolabial flap, Fan flap, 頬粘膜弁などである.口唇再建の第一選択は色調質感を考慮し近傍の皮弁を用い, 広範切除例放射線照射例に遠隔皮弁を用いるべきである.顔面神経麻痺例には大腿筋膜張筋腱による両側口角つり上げ術を併用し機能面でも良好な結果を得た.
  • Toshio Yoshihara, Michiko Satoh, Kiyoe Mizutani, Megumi Morita, Tetsuo ...
    1995 年 7 巻 3 号 p. 287-294
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Twenty six patients with bilateral enlargement of the submandibular glands were evaluated with respect to clinical and histological features. The clinical diagnosis was Kütner's tumor in 4 patients, sialodochitis fibrinosa in 2, sialadenosis in 14, malignant lymphoma in 3, amyloidosis in 2 and sialolithiasis in 1. Three patients are described in detail, 1 with sialadenosis, 1 with malignant lymphoma and 1 with amyloidosis. In case 1 sialadenosis was associated with anorexia nervosa. Histological examination of the salivary glands showed pale and swollen acinar cells. In case 2 (malignant lymphoma) the submandibular glands were characterized by firm swelling resembling Kuttner's tumor. They were replaced by infiltrating lymphocytes which were immunoreactive for pan T. The blood serum test was positive for HTLV-I. The firm swellings in case 3 were due to amyloidosis. Biopsy showed thick amorphous materials stained with Congo-red located around the blood vessels.
  • 村田 英之, 枝松 秀雄, 山下 公一
    1995 年 7 巻 3 号 p. 295-299
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    副咽頭間隙に発生することが稀な扁平上皮癌を報告した.58歳女性, 難治性の右滲出性中耳炎の精密検査中に副咽頭間隙に腫瘍が発見された.腫瘍は被膜で被われ, 石灰化を伴っていたため良性腫瘍を疑い手術を行なったが, 病理組織診断は低分化型扁平上皮癌であった.腫瘍の位置が頭蓋底に近かったため, 下顎骨離断+口腔咽頭切開にて腫瘍を摘出した.術後, 原発巣を検索したが異常は見られず, 化学療法と照射を追加し経過を観察中で, 術後1年1ヵ月間に, 再発ならびに他に原発腫瘍も見られない.副咽頭間隙に発生する腫瘍はほとんど良性で, 癌腫は稀である.副咽頭間隙腫瘍は症状の発現に乏しいためにかなりの大きさを有する症例が多いが, 今回の症例は腫瘍が被膜で被われていたことで周囲組織に与える影響が少なく, 症状の発現が遅れたと思われた.また, 副咽頭間隙は解剖学的にも複雑な構造を呈しているので手術アプローチの決定には術前の画像診断にて周囲組織との関係を充分に考える必要があると思われた.
  • 山崎 たくみ, 吉原 俊雄
    1995 年 7 巻 3 号 p. 301-306
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    近年結核は社会環境の充実, 生活水準の向上, 科学療法の進歩に伴いその罹患率は激減し, 予後も改善されてきた.耳鼻咽喉科領域における結核の発症は少ないものの日常診療において常に念頭におくべき疾患である.今回私達は耳下腺良性腫瘍の一つである耳下腺adenolymphoma (ワルチン腫瘍) に結核を合併した一例を経験した.その組織像は二層性の好酸性の円柱上皮細胞と広汎な壊死像, 周囲の肉芽形成を認め, 一部にラングハンス巨細胞が認められた.また処理期に入っていたため, その数は極めて少ないが蛍光法, 並びにZiel-Nelsen染色法で長桿状の結核菌がみとめられた.ワルチン腫瘍に肉芽反応やラングハンス巨細胞を伴うものとしては、1) 結核によるもの、2) サルコイドーシスによるもの、3) シアログラフィーにおける造影剤に対する反応があげられる.今回経験したのは1) によるものであり外科的切除と術後の抗結核剤の投与にて経過観察中である.
  • 末永 智, 黒野 祐一, 堀 文彦, 茂木 五郎
    1995 年 7 巻 3 号 p. 307-312
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当科開設以来13年間に経験した口腔咽頭悪性黒色腫4症例を紹介する.年齢は45歳から75歳まで, 性別は男女各2例で, 原発部位は, 硬口蓋2例, 咽頭2例であった.DTICを中心とした化学療法にて効果のあった1例を除き, 他3例に対して初回入院時にCO2レーザー手術を施行した.初回入院時に化学療法のみしか行なわなかった症例が最も予後が悪く, 悪性黒色腫の治療においては化学療法に加えCO2レーザー等による外科的切除が有用であると考えられた.免疫療法としてインターフェロンの局注を併用した症例は, 初診より1年経過した現在も経過良好であり, 今後, 悪性黒色腫の治療において免疫療法は注目すべき治療法と思われた.
  • 村岡 道徳, 兵頭 哲裕, 加茂 理英, 若見 暁樹, 中井 義明
    1995 年 7 巻 3 号 p. 313-320
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    副咽頭間隙は解剖学的に腔として存在するものではなく, 筋膜間の仮想の空間である.この空間は前方は内・外側翼突筋, 後方は乳様突起と頸椎, 内側は咽頭収縮筋, 外側は下顎骨外側枝と耳下腺深葉被膜などによって囲まれており, 上は頭蓋底から下は舌骨大角の高さにおよぶ.副咽頭間隙に発生する腫瘍は以前は報告は少なかったが, CTおよびMRIなど診断技術の発達に伴い十分検索出来るようになり近年は発見の可能性が高まり報告例も増加しつつある.私達は5症例 (2症例が多形腺腫, 1症例が神経鞘腫, 1症例は神経性腫瘤疑, 1症例が奇形腫.) を経験したので検討を行い報告した.腫瘍の存在部位と進展範囲, 大血管との関係, 腫瘍と周囲組織との癒着の程度を見るためにも画像診断の重要性にも言及した.手術方法は口内法, 頸部切開法, 経耳下腺法, 下顎骨切断による頸部咽頭切開法など種々あるが, 基本的には適切な手術視野が得られる最も良い手術方法を用いるべきと思われた.
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