近年,地球温暖化に伴う異常豪雨の頻発に伴い,大規模な流木流出を伴う複合災害が全国的な問題となっている。さらに,この流出した流木群の処理費用は,流域管理上,全国的に無視できないものとなっている。そこで本研究は,北上川水系(直轄6 ダム)を対象として,亜臨界水技術を用いた流木の資源化・利用の用途を開発し,低コストで自律的な流木管理モデルの構築を検討した。
最近20年間の流出流木量の解析より,洪水年平均約900m3(500トン)の流木を良質材(原木に近い丸太),通年平均約4, 100m3(2, 200トン)の流木を不良質材(林地残材)の二種類に区分した。そして,各々の特性に即した有効利用に係る実証試験と需給バランスの検討を行った。
亜臨界水解繊材(良質材)による黒毛和種肥育牛に対する木質飼料飼養試験においては,令和2(2020)年山形県内産牛枝肉共進会のチャンピオン賞を受賞するなどの肥育牛の良好な枝肉格付成績の結果を踏まえ,地元の畜産農家から木質飼料の良質性が認められれば,もしくは価格次第で,解繊木質飼料の地域ニーズは十分期待でき,技術面からは出口確保が可能であることが示された。一方で,需要量に対して流木(良質材)量が不足するため,安定供給に課題があることが推察された。
亜臨界水解繊材(不良質材)から抽出できるフルボ酸施用による栽培試験においては,技術面からはバラ科作物で出口確保の可能性が示された。また,バラ科作物の解繊フルボ酸液肥の需要量に対し42%供給でき,流木(不良質材)量により安定供給できる可能性が示された。バラでの病虫害抑止効果の再現性,バラ科作物等への展開が今後の課題である。
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