水利科学
Online ISSN : 2432-4671
Print ISSN : 0039-4858
ISSN-L : 0039-4858
68 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
一般論文
  • 田所 正, 渡辺 有, 佐々木 亮人, 辻本 哲郎
    2024 年68 巻1 号 p. 1-29
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2025/08/26
    ジャーナル フリー
    近年多発する豪雨災害から住民の生命と財産を守るためには,観測された降水量や水位のデータを迅速かつ正確に伝えることが重要になっている。しかし,厳しい自然条件下に置かれている観測所には,さまざまな障害が発生しやすい。 筆者らは,国土交通省や都道府県が,河川の計画・管理や防災・危機管理等のために全国に配置している水文観測所を対象に,データの品質向上に取り組んでいる。2023年6 月に本誌において,河川の水位計データの異常値検出システムを開発した結果を報告した1)ところであるが,本研究では地上雨量計データの特徴を踏まえた異常値検出モデルを開発し,実用化を図った結果を報告する。 近隣の観測データやレーダ雨量計データと比較し短期的に発生する異常値を検出する「IDW モデル」を開発し,リアルタイムに24時間監視するシステムに導入した。さらに,長期的に発生する異常値を検出する「DMC モデル」や「MC モデル」も開発し,ストックデータの精度向上のための品質照査実務に試験的に導入した。
  • 中村 徹立, 小山 直紀, 山田 正
    2024 年68 巻1 号 p. 30-82
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2025/08/26
    ジャーナル フリー
    「流域治水関連法」の制定に伴い,全国で法的根拠に基づく流域治水1)2)3)4)の取り組みが始まった。流域治水には多くの事業メニュー5)が考えられているが,各事業メニューがもつ治水効果に対する特性は定量的には必ずしも明らかにされていない。また,各複数の流域治水事業メニューが河川事業の具体計画にフィードバック6)される場合はあるが,流域治水の事業メニュー群から客観的にメニューを選定していく考え方は確立されていない。このため,本研究では,まず,全国で検討・推進・実施されている流域治水事業メニューをそれらがもつ機能別に体系的に分類した。そして,機能分類別の事業メニューに関して中・小河川のモデル流域を想定して,治水特性を定量的に分析した。さらに,これらの事業メニューを組み合わせることによる効果についても同様に検討した上で,30~1000年確率洪水への寄与についても分析した。本研究は,流域治水に関する事業メニューを体系化した初の試みであり,この結果をもって,中小河川における流域治水の目的から事業メニューの組み合わせを検討できるように整理したものである。
  • 蛇島 伸吾, 山田 正
    2024 年68 巻1 号 p. 83-101
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2025/08/26
    ジャーナル フリー
    CO2削減の一方法として,陸地から遠く離れた貧栄養海域において,「海洋施肥」を行うことで植物プランクトンを育成し,海洋の大気中のCO2吸収メカニズムの一つである「生物ポンプ」を活性化させることが考えられる。しかし,その方法が意図したとおりの効果をもたらすかを検証する手段が必要である。そこで,人間による海上施肥を取り入れた海洋モデルを,シミュレーターの一つである「CommonMP」を用いて作成し,海上施肥による生態系の生成と,その経済性の観点から事業存続の可能性を探った。
「雪の研究」シリーズ
  • 野口 正二, 阿部 俊夫
    2024 年68 巻1 号 p. 102-119
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2025/08/26
    ジャーナル フリー
    秋田県長坂試験地と森林総合研究所山形実験林を対象として,冬期の樹冠通過降水量を測定した。スギ林における降水の樹冠通過率(樹冠通過降水量/ 林外降水量)は,樹冠開空度の値に応じて増加する傾向があり,対数式(y=19. 3・log(x)+54. 3)に対して中程度の相関を示した(r=0. 657)。落葉広葉樹林(タニガワハンノキ)の樹冠開空度の値はスギ林の値より大きく,樹冠通過率は,スギ林の同様な樹冠開空度に対して小さい値であった。長坂試験地と山形実験林の近傍にあるAMeDAS 観測所の長期データから,厳冬期において気温上昇の長期的なトレンドが認められ(p <0. 001),降水形態の変化が示唆された。降水形態の違い(降雨・降雪)によって樹冠通過率が異なると考えられるが,本研究では明確でなかった。
ニホンジカシリーズ
  • ─現状,新たな取り組み─
    三浦 晋仁
    2024 年68 巻1 号 p. 120-134
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2025/08/26
    ジャーナル フリー
    北海道にのみ生息するエゾシカは,1990年代から爆発的に増え始め,森林や草地にある特定の植物を食べ尽くし,小動物や昆虫が生息する環境を歪め,その結果としてᷛを求め人の生活圏に入り込んでいる。 本誌では,十数年前にも北海道森林管理局が取り組んだ内容を紹介しているが,現在の北海道,市町村などの行政機関の取り組みとともに報告する。それぞれの行政機関では,継続的な対策を進めており,今後も連携しながらエゾシカの個体数の減少や農林業被害の軽減に努める。
  • 伊吾田 宏正
    2024 年68 巻1 号 p. 135-147
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2025/08/26
    ジャーナル フリー
    エゾシカは平成以降,爆発的に増加し,農林業被害や交通事故などを含む人間とエゾシカとの軋轢が常態化している。鳥獣保護管理法に基づくエゾシカ管理計画では,個体数を緊急的に減少させる取り組みを行ってきたが,目標水準を達成できないまま4 半世紀が経過した。一般社団法人エゾシカ協会は2018年に「エゾシカ管理のグランドデザイン」(以下,グランドデザイン)を公表し,地域が主体となったエゾシカの資源管理やシカ捕獲認証制度を活用した人材育成の推進を提案した。本稿では,グランドデザイン5 年目の評価を行い,エゾシカ管理の今後のあり方について考察する。
  • ~小林式誘引捕獲法の実効性について~
    小林 正典
    2024 年68 巻1 号 p. 148-160
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2025/08/26
    ジャーナル フリー
    治山事業におけるシカ被害対策として,法枠工施工地(枠内緑化箇所)において竹を利用したシカの侵入防止工法を開発した。対策を施した箇所は,シカの侵入がほぼなくなり植生が回復していることが確認できた。 シカの捕獲対策では,くくり罠わなとᷛを組み合わせ,初心者でも効率よく効果的にシカを捕獲する手法(小林式誘引捕獲法)を考案し,森林管理署等が実施する捕獲事業に採用されているほか,自治体や一般の狩猟者等にも普及活動を行っている。また,捕獲個体の埋設については労力がかかることやクマやイノシシ等の動物を誘引しやすいことから,大型排水管を活用した残渣減容化を試験的に行っている。実施箇所では,90頭のシカが厚さ約1.1m まで減容化できることが分かった。
feedback
Top