ムツゴロウ若齢魚の小型個体が冬期に選択的に死亡する減耗現象に与える低温度の影響を,越冬環境調査と急性の低温耐性実験から検討した。越冬中の若齢個体(主に 0, 1 歳魚)が発見された泥干潟の深さは,佐賀県六角川で 5.0~55.0 cm,熊本県唐人川で 4.5~39.0 cm で,いずれも体サイズと関連は無く,小型個体だけが致死温度まで低下する干潟表層部で越冬するわけではなかった。低温耐性実験(3℃, 5℃, 7℃)では,低温度条件ほど早期に死亡したが,全ての温度条件で死亡率にサイズ差は無かった。従って,死亡率のサイズ差は,越冬深度および急性の低温耐性では説明できないと考えられた。
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