岩手県沿岸の 8 湾において 1998 年~2002 年の間
Alexandrium 属の出現種を同定するとともに,その培養株を用いて毒生産能を調べた。本海域ではこれまでも数種の
Alexandrium の存在が確認されているが,本研究では新たに
A. insuetum,
A. ostenfeldii,
A. pseudogonyaulax,
A. tamutum,
A. minutum の出現を認めることができた。新たに見いだされた種の毒生産能を調べたところ,
A. ostenfeldiiにのみ 7.5 fmol/cell 程度の GTX4 を主体とする毒成分の生産を認めた。しかし,本種の出現頻度および出現密度は低く,現状では本種が毒化の主原因となる可能性は低いと考えられた。一方,本研究の結果は既知有毒種の出現時期に形態上識別困難な無毒種が混在して計数される危険性を示し,毒化予測手法改善の必要性を示唆した。
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