日本水産学会誌
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76 巻, 2 号
選択された号の論文の37件中1~37を表示しています
報文
  • 棗田 孝晴, 鶴田 哲也, 井口 恵一朗
    2010 年 76 巻 2 号 p. 169-184
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/13
    ジャーナル フリー
    本研究は,環境省レッドリスト(2007)に記載された絶滅のおそれのある汽水・淡水魚類 226 種と非該当種 132 種を対象とし,生息場所,体サイズ,食性などの 20 変数に着目して,国内広域分布種から絶滅危惧種へと移行した魚種の生態的特性の抽出を試みた。国内広域分布種 109 種のうち 41 種(37.6%)が絶滅のおそれのある種としてリストアップされていた。ロジスティック回帰分析の結果,人間活動における各魚種への干渉や馴染みの程度を示す,人間との距離が,普通種から絶滅危惧種への移行予測に有効であることが示された。
  • 内田 浩太郎, 川村 軍蔵, 加世堂 照男, 尾上 敏幸, MIGUEL VAZQUEZ ARCHDALE
    2010 年 76 巻 2 号 p. 185-191
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/13
    ジャーナル フリー
    エゾアワビの吻と触角の化学受容器を光学顕微鏡と走査電子顕微鏡で観察した。吻には化学受容器と思われる“味蕾様”の器官が高密度に認められた。頭部触角,上足触角および外套触角のいずれにも先端に繊毛をもつ乳頭突起で覆われていて,これらの触角にマコンブ片を接触させた時のみエゾアワビは補食反応を示した。水槽実験で供試個体はマコンブの匂いによって索餌行動が解発されたが匂源に誘引されなかった。これらより,エゾアワビは触角と吻による味覚と嗅検器による嗅覚をもつが,嗅検器は匂源検出器でないと結論された。
  • 山本 圭介, 時村 宗春, 塚本 洋一, 銭谷 弘
    2010 年 76 巻 2 号 p. 192-203
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/13
    ジャーナル フリー
    東シナ海および黄海の沖合域の底棲性魚類組成の季節変化を明らかにするため,1986~1991 年の間に 5 回の着底トロール調査を行った。5 回の調査の総出現種数は 26 目 121 科 334 種であり,最優占種はカタクチイワシであった。底層水温は秋季に高く,春夏季と冬季に低く,底層塩分は春夏期と冬季に高く,秋季に低かった。出現種数,種多様度,調査点別出現種数と調査点別生物量の中央値は秋季(10~12 月)に最高値を示した。調査点別出現種数の水平分布はすべての季節で東シナ海南部で多く,北に向かって減少した。
  • 梅木 千真, 吉井 盛詞, 齋藤 真敏, 今間 典子, 徳田 昌則
    2010 年 76 巻 2 号 p. 204-209
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/13
    ジャーナル フリー
    ホタテガイ中腸腺(ウロ)に含まれるカドミウム(Cd)の分離除去方法として,亜臨界水処理法の確立を図った。ウロを含む試料を亜臨界水処理し,液相と固相に分離した試料について,それぞれ ICP 測定を行い Cd 濃度を定量した。
      150°C 以上の処理を行なうと,液相中の Cd 濃度は,4 倍希釈試料において 1 mass ppm 以下に低下し,Cd は固相へ濃縮した。本現象は処理温度及び試料の pH に強く依存し,pH 4.5 が最適であった。処理温度の上昇に従って Cd が濃縮した固相重量は減じ,200°C 処理を行なった場合には,原料湿重量に対して 20 mass% 以下となった。
短報
日本水産学会勉強会
  • 勝川 俊雄, 岩崎 寿男, 牧野 光琢, 山川 卓, 清野 聡子, 永田 光博, 良永 知義
    2010 年 76 巻 2 号 p. 216-248
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/13
    ジャーナル フリー
    2007 年 2 月以来,日本経済調査協議会の水産業改革高木委員会提言「魚食をまもる水産業の戦略的な抜本改革を急げ」や,内閣府規制改革会議の「規制改革推進のための第 2 次答申」「中間とりまとめ―年末答申に向けての問題提起―」などの公表が起点となり,水産業改革のための議論が業界関係者を中心に活発化した。日本水産学会企画広報委員会では,このような動きに関する情報を学会員の間で広く共有して今後の活動の参考にするとともに,そこで展開されている議論の内容や論点を正確に把握することを目的として,標記の勉強会を実施した。本稿は,その第 2 回目の講演および討議の記録である。
ミニシンポジウム記録
宮古湾をモデルとした資源の増殖と管理の試み~栽培漁業の基礎研究から効果の実証まで~
板鰓類資源の保全と管理における現状と課題
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