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山名 裕介, 五嶋 聖治, 浜野 龍夫, 遊佐 貴志, 古川 佳道, 吉田 奈未
原稿種別: 報文
2011 年 77 巻 6 号 p.
989-998
発行日: 2011年
公開日: 2011/12/16
ジャーナル
フリー
北海道の青色型マナマコについて,体長
L と体幅
B から推定麻酔体長
Le (mm) を求める回帰関係を調べ,瀬戸内海[
Le=2.32+2.02・(
L・B)
1/2]と比較した。その結果,明らかな差が認められたことから次の回帰式を提案した:北海道オホーツク海[
Le=2.26・(
L・B)
1/2];日本海[
Le=2.17・(
L・B)
1/2];噴火湾[
Le=2.21・(
L・B)
1/2];津軽海峡[
Le=2.27・(
L・B)
1/2];青森県陸奥湾[
Le=5.82+2.02・(
L・B)
1/2]。また,マナマコの形態が北海道と本州で異なることを考慮し,次の共通式を提案した:北海道[
Le=2.21・(
L・B)
1/2];本州[
Le=5.30+2.01・(
L・B)
1/2]。
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佐野 稔, 前田 圭司, 高柳 志朗, 和田 雅昭, 畑中 勝守, 本前 伸一, 菊池 肇, 宮下 和士
原稿種別: 報文
2011 年 77 巻 6 号 p.
999-1007
発行日: 2011年
公開日: 2011/12/16
ジャーナル
フリー
なまこけた網漁業の漁業情報を用いてマナマコ資源量を推定するために,2008 年 6 月~9 月に北海道北部沿岸域の 4 地区で,DeLury 法,面積密度法により資源量を推定した。2 地区の CPUE は漁期開始後に急激に減少せず,DeLury 法はモデル適用条件を満たさなかった。一方,面積密度法では,全地区で漁場全面から直接得た大量のマナマコ分布密度データから資源量が算出されたため,抽出誤差が小さかった。したがって,マナマコ資源管理には,資源量推定精度と空間情報を活用できる点で面積密度法を推奨する。
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野田 幹雄, 大原 啓史, 浦川 賢二, 村瀬 昇, 山元 憲一
原稿種別: 報文
2011 年 77 巻 6 号 p.
1008-1019
発行日: 2011年
公開日: 2011/12/16
ジャーナル
フリー
多種混生のガラモ場に出現したアイゴ成魚を昼間水中銃で採集し,胃と腸の内容物の分析と餌としての大型褐藻類の評価をした。胃内容物の重量組成では大型褐藻類が夏に 45% と秋に 74% を占め,ホンダワラ類数種の選択的採餌が示唆された。動物も胃で夏に 18% と秋に 14% を占め,固着動物が優占し,腸内容物の分析では浮遊性動物も重要であった。また,固着動物及び小型甲殻類の各々と大型褐藻類の摂取量の間に相関はなかった。本種は動物性餌料を重要な栄養源としながらも,大型褐藻類自体の採餌のために藻場を利用すると考えられた。
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冨山 毅, 鈴木 孝男, 佐藤 利幸, 加藤 靖, 亀岩 翔太, 杉林 慶明, 大越 健嗣
原稿種別: 報文
2011 年 77 巻 6 号 p.
1020-1026
発行日: 2011年
公開日: 2011/12/16
ジャーナル
フリー
福島県松川浦において,サキグロタマツメタの分布や駆除実態を調査した。その結果,本種が他の水域からのアサリ移植種苗に混入していることを確認した。分布の初記録は 2002 年 5 月にみられ,その後 2004 年にかけて松川浦全域へ拡大した。2004 年から 2010 年にかけてサキグロタマツメタの分布密度は大きく低下しておらず,アサリ食害軽減のためには駆除努力を強化する必要があると考えられた。
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深尾 剛志, 北原 茂, 狩野 奈々, 山砥 稔文, 木元 克則, 小谷 祐一
原稿種別: 報文
2011 年 77 巻 6 号 p.
1027-1033
発行日: 2011年
公開日: 2011/12/16
ジャーナル
フリー
2007 年春季および 2008 年春季と秋季の諫早湾における,透明細胞外重合物質粒子(transparent exopolymer particles: TEP)の消長と,それに及ぼす要因について調査を行った。TEP 濃度と水温,塩分,クロロフィル
a 濃度には相関がみられた。また,植物プランクトン群集中における珪藻の存在比は,細胞数密度で平均 94% であり,TEP 濃度と相関があった。これらの結果は,春季と秋季の諫早湾における TEP 現存量は珪藻による産生が大きく寄与していることを示す。
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藤田 辰徳, 海野 徹也, 斉藤 英俊, 小櫃 剛人, 徳田 雅治, 奥 宏海, 吉松 隆夫, 石丸 恵利子, 陀安 一郎
原稿種別: 報文
2011 年 77 巻 6 号 p.
1034-1042
発行日: 2011年
公開日: 2011/12/16
ジャーナル
フリー
広島湾のクロダイについて筋肉成分の季節変化を調べた。脂質含量は秋季に上昇したが,年平均で 0.34% と低く,最低値は 3 月の 0.2%,最高は 10 月の 0.6% であった。旨みや甘味に関与する遊離アミノ酸は本種が美味な秋季から春先まで一時的な増加傾向を示したことから,呈味に影響を及ぼしていると考えられた。雑食性であるクロダイの安定同位体比の平均値は,δ
13C で−15.9‰,δ
15N で 16.6‰ だった。δ
15N,タウリン,高度不飽和脂肪酸が季節変化を示したことから,本種の食生態が季節によって変化している可能性が示唆された。
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川口 修, 平田 靖, 若野 真, 山本 民次, 陸田 秀実
原稿種別: 報文
2011 年 77 巻 6 号 p.
1043-1050
発行日: 2011年
公開日: 2011/12/16
ジャーナル
フリー
江田島湾を対象に,カキ養殖モデルを構築し,カキ筏から負荷される有機物量を「ヨクセイ」,「イキス」および「ノコシ」と呼ばれる養殖実施形態別に見積もった。これにより,カキ養殖によって海底に負荷される有機物総量は年間 13.5 kg P eta
−1 d
−1 であり,筏台数の多い「ヨクセイ」によるものが大きいことが明らかとなった。一方,筏単位では,「ノコシ」の負荷量が「ヨクセイ」の 1.5 倍と大きかった。また,「ノコシ」は負荷量/生産量比が最も大きいことから,環境に対する負荷が大きい養殖実施形態であると結論された。
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藤原 公一, 臼杵 崇広, 根本 守仁, 松尾 雅也, 竹岡 昇一郎, 田中 満, 中新井 隆, 北田 修一
原稿種別: 報文
2011 年 77 巻 6 号 p.
1051-1064
発行日: 2011年
公開日: 2011/12/16
ジャーナル
フリー
琵琶湖ではニゴロブナの発育や初期成長に必要なヨシ帯が衰退している。そこで,ヨシ帯に依存しない本種の放流技術を検討するため,耳石に ALC 標識を付けた本種稚魚を 6,7 月にヨシ帯に放流して追跡調査した。その結果 8~10 月の琵琶湖の水温が高い年ほど本種の成長は良好であった。本種は冬季に向かい水温が次第に低下すると水温躍層に沿って分布を広げ,同躍層上下の温度差が約 3.5°C を下回ると琵琶湖の深部湖底へ分布を拡大した。この時期に体重約 20 g(体長約 85 mm)の当歳魚を沖合へ放流すると高い生残が期待された。
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畑 直亜, 鈴木 敏之, 辻 将治, 中西 麻希
原稿種別: 報文
2011 年 77 巻 6 号 p.
1065-1075
発行日: 2011年
公開日: 2011/12/16
ジャーナル
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伊勢湾の
Dinophysis 属とムラサキイガイの下痢性および脂溶性貝毒を LC/MS 分析によって調べた。優占種の
D. acuminata は OA, DTX1, PTX2 および PTX2SA を,
D. caudata は PTX2 と PTX2SA を含有し,
D. rotundata は毒成分をほとんど含有していないと推定された。ムラサキイガイは PTX2 を毒性が無い PTX2SA に変換していると推察された。以上のことから,ムラサキイガイにおける毒性の蓄積は
D. acuminata の OA と DTX1 に起因するものと考えられた。
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寺井 章人, 豊原 容子, 佐藤 敦政, 豊原 治彦
原稿種別: 報文
2011 年 77 巻 6 号 p.
1076-1082
発行日: 2011年
公開日: 2011/12/16
ジャーナル
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六価クロムは強い毒性をもつことからその水質汚染が問題となっており,簡便な除去方法の開発が急務となっている。本研究では海藻を原料として作製した炭に注目し,その六価クロム除去能を調べた。36 種類の海藻について検討した結果,コンブ目チガイソ科の海藻を原料とした炭に強い六価クロムの除去効果が確認された。チガイソ科のワカメを原料とした炭を用いて調べた結果,六価クロムの除去効果はフコイダンによることが示唆された。ワカメ炭は各種市販セメント廃液中に含まれる六価クロム除去に有効であることが確認された。
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岡本 満, 齋藤 寛之
原稿種別: 報文
2011 年 77 巻 6 号 p.
1083-1088
発行日: 2011年
公開日: 2011/12/16
ジャーナル
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釣獲したサワラの船上における適正な処理方法を検討した。4 種の異なる致死条件(延髄刺殺,脱血,温度ショック,苦悶死)のうち,延髄刺殺区のサワラの背肉が最も破断強度が高く,身割れが小さかった。また,苦悶死区のサワラの肉が最も身割れが大きい傾向が認められた。致死条件によって K 値,乳酸量の差異は認められなかった。以上の結果から,延髄刺殺を行うことで筋肉破断強度の低下を遅延させるとともに身割れを防止できることが示唆された。
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平塚 聖一, 青島 秀治, 小泉 鏡子, 加藤 登
原稿種別: 報文
2011 年 77 巻 6 号 p.
1089-1094
発行日: 2011年
公開日: 2011/12/16
ジャーナル
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カツオ魚肉の貯蔵中における揮発性成分(VOC)の挙動を SPME-GC/MS 法により分析した。カツオ魚肉の VOC は普通肉よりも血合肉で多く,主成分はヘキサナールであった。5°C および 25°C で貯蔵中に,カツオ魚肉中の VOC は増加し,アルデヒド類の増加率は普通肉よりも血合肉で高かった。カツオ魚肉より調製したタンパク質と魚油を混合して緩衝液中で反応させたところ,血合肉タンパク質と魚油とを反応させた区でヘキサナールの生成率が高かったことから,カツオ血合肉の VOC の生成は両者の複合作用によるものと推察された。
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