インターネットアンケート調査により,2015年の日本の釣り人数を推定した。釣り人数は海面487.5万人,内水面336.0万人,釣り堀・管理釣り場177.7万人であった。釣り堀・管理釣り場を除く自然水面についてみると,釣り人の割合は海面59.2%,内水面40.8%であった。内水面の上位8魚種の釣り人数はヤマメ・アマゴ118.8万人,イワナ88.7万人,ニジマス82.4万人,アユ77.6万人,フナ76.7万人,ブラックバス66.6万人,コイ56.1万人,ウグイ35.5万人であった。
暖流系大型アワビ類稚貝の生息場造成手法を検討するため,神奈川県長井地先の造成試験区において,天然稚貝の出現・成長,無節サンゴモ被覆度等に関する調査を行った。約2年の調査期間中,試験区に投入した基質では天然転石に劣らない生息環境が創出・維持された。大型アワビ類当歳貝は2017年と2018年の春に出現し,基質表面積当り密度はメガイアワビで最大6.2尾・m−2に達した(2017年5月)。2017年のメガイアワビ当歳貝において殻長20 mm手前で顕著な成長停滞が見られ,餌料不足が一因と推測された。
ため池の外来魚駆除に使用される強アルカリ剤である消石灰の魚毒性を調べた。石灰暴露試験に用いた4種(外来2種および在来2種)の間で6時間致死濃度に大きな違いはなかった。石灰水への池泥の添加は致死濃度を有意に上昇させたが,致死pH(約12.0)には影響しなかった。池泥を添加した致死濃度石灰水は調製後2週間でも高いpH値を示したが,同じ石灰水の50倍またはそれ以上の希釈液は調製後ただちに中性を示した。これらに基づき,殺魚剤としての消石灰の特性とため池の外来魚根絶のための石灰散布技術について議論した。
近年,校務の多忙化や熟練教員の退職により,水産高校の技能教育における技能伝承に課題が出てきている。技能伝承には2つの課題があり,1つは教師間の技能伝承,もう1つは教師から生徒への技能伝承の問題である。その解決策のひとつは,熟練教員の技能を教材化することである。本稿では熟練教員の技能の暗黙知を形式知化し,映像教材を製作する方法を構築した。また,映像教材の効果を検証した結果,熟練教員による技能伝承と同等の教育効果を得ることができた。
新規漁業就業者増加に資するため,漁業就業支援フェア参加者に対してアンケート調査を行い,223名の回答を得た。記述統計分析とロジット・順序ロジット回帰分析を行った。ロジット回帰分析の結果,漁業・養殖業体験を強く希望する参加者は,若く,子供がおらず,体を動かす仕事を志向し,また,海・川・湖関連活動の趣味などがある人々と推察された。これらのことから,この結果を加味した漁業就業支援フェアのプロモーションの改善,さらに釣具やスキューバダイビング関連企業とコラボレーションしたプロモーションが有効と推察された。
ヒイラギの腸管内の古細菌叢についてクローンライブラリー法で調べた。ヒイラギ5個体について古細菌に特異的プライマーを用いたPCRおよび定量PCRを行った結果,2個体から102 cells/gの密度で古細菌が検出された。そこでクローンライブラリーを構築し,古細菌叢を調べた結果,Nitrosocosmicus属やNitrososphaera属のアンモニア酸化古細菌が多く検出された。本報告は,アンモニア酸化古細菌が沿岸魚類の腸管から検出された最初の事例である。
日本水産学会誌第81巻1号(January 2015) 97-106頁「魚醤油発酵時のヒスタミン蓄積に関わる原因菌の同定および乳酸菌発酵スターター接種によるヒスタミン蓄積抑制効果について」に誤りがありましたので,訂正いたします。
誤:100頁左
ヒスチジン脱炭酸酵素遺伝子(hdc)の検出 (中略)また,増幅されたDNA断片の大きさは陽性対照のものと同じ約650 bpで,
正:100頁左
ヒスチジン脱炭酸酵素遺伝子(hdc)の検出 (中略)また,増幅されたDNA断片の大きさは陽性対照のものと同じ約540 bpで,
誤:101頁
Fig. 3
正:101頁
Fig. 3