サバ類太平洋系群のVPAの推定値とカタクチイワシ太平洋系群の年齢別漁獲尾数,親魚量の推定値を用い,チューニングVPAでサバ類によるカタクチイワシの捕食死亡率を推定した。自然死亡係数をサバ類の資源量の線形式で表し,推定期間中の平均値が使用されていた経験値と一致するように調節した。年間の捕食死亡率は1995年の0.06(95%CI: 0.03-0.09)から2018年の0.43(0.28-0.54)に増加したと推定された。
鹿児島湾で広く見られるイソモクとコナフキモク(ホンダワラ科)について,季節的消長と生育環境を調査した。指宿市山川の藻場で見られた両種は水深2 m前後の岩塊上に繁茂していたが,イソモクがより浅所に見られた。両種とも2月頃から生長するが,イソモクが6月頃に成熟するのに対し,コナフキモクは7月から8月頃に成熟し,イソモクの方がより早くに衰退した。しかし,イソモクは残存した付着器上や周辺に新たな幼芽が出現して越夏するのに対し,コナフキモクは直立部が枯死流失し,2月まで個体は見られなかった。
サクラマスにおける成長様式の地域間変異を明らかにするため,北海道の3地域(太平洋,日本海,オホーツク・根室海峡)の河川および港湾から放流された群を対象に,標識再捕獲調査を実施した。体サイズの経時的変化を地域間で比較し,成長様式の違いを検討した結果,太平洋の成長速度が最も速く,海洋生活期前半で日本海よりも太平洋の方が小さかった体サイズ差は,同期後半に解消された。