2001年から2020年に日本海で行われた沖合イカ釣漁船による操業を解析対象とした。1日1隻当たりのスルメイカの漁獲尾数(CPUE)に対してスペクトル分析を行ったところ,CPUEの時系列に約29日の周期性が認められた。月齢とCPUEの関係を調べたところ,CPUEは月齢0日以降上昇して月齢6日に最高となり,その後急激に低下して月齢15日に最低となり,月齢16日以降緩やかに上昇することが分かった。このCPUEの変動には夜間操業時の月が出ている時間の長さと時間帯が関係していると考えられた。
2021年6月から2023年8月に豊後水道西部で採集されたイトヨリダイの産卵盛期は6–7月であり,耳石の不透明帯は5–9月に形成される年輪であると考えられた。7月1日を年齢起算日として推定されたvon Bertalanffy成長式は雄FLt=438.3 {1-e-0.491(t-0.187)},雌FLt=307.6 {1-e-0.640(t-0.000)}となった。年齢別の平均尾叉長は2歳以上で雌よりも雄の方が有意に大きくなった。雄では3歳以上,雌では2歳以上で成熟する個体が現れることが示唆された。
小笠原諸島海域におけるアカハタの資源特性値を調べ,YPRとSPR解析を行った。本種の最高齢は32歳,von Bertalanffy式のL∞,K,t0の値は368 mm(全長),0.159(/年),-0.967(歳)であった。雌性先熟の性転換を行い,雄は4歳から出現した。雌雄比の50%到達年齢は10.8歳,雌の50%成熟年齢は7.0歳で,雄はどの年齢でも成熟していた。雌雄込みのFcurはF0.1よりやや大きいが,FmaxとF30%SPRより小さかった。漁獲圧の増加は,雄のSPR減少に強く作用した。
大阪湾アカガイの生活史解明のため,2016–2022年に漁獲されたサンプルを用いて年齢および成長特性を調査した。透明帯は8–11月に年1本形成されていた。天然個体と放流個体では透明帯の形成パターンが異なり,放流個体は実年齢より1–2本多い透明帯がみられた。成長速度は繁殖期とそれ以外,および3齢未満かそれ以上で異なっていた。推定された年齢は1–8齢であり,年齢–殻長相関表によって漁獲個体の半数は2齢と判明した。資源保護に向けて漁獲主体を3齢とする,すなわち漁獲制限サイズを70 mm以上に定めることを提言する。
ベニザケ養殖では,配合飼料にアスタキサンチン(Ax)を添加しても天然ベニザケ特有の深紅の身色にならないことが課題となっている。本研究ではオキアミの給餌や飼料への油脂添加による効果を検討した。オキアミを単独で,またはAxを添加した飼料と併用給餌することにより,サーモン・カラー・チャートや分光測色計による身色が改善した。また,飼料への油脂添加によりAxのみかけの吸収率が高まり,身色が向上した。しかし,いずれの効果も十分ではなかったため,Axの吸収・蓄積をより改善する技術開発が必要と考えられた。
長崎県沿岸では毎年のようにKarenia mikimotoiが赤潮化しており,発生頻度は海域によって異なる。2021年は長崎県沿岸の広範囲で本種赤潮が観測された。本種赤潮が頻発する九十九島や佐世保湾では越冬細胞が観察された。2021年の西海市面高,五島市富江および長崎市野母崎では,過去に本種赤潮の報告はなく,初記録である。プランクトン調査,海況,気象条件および粒子追跡モデル実験の結果から佐世保湾で出現していた本種が移流し,赤潮化した可能性がある。
水産現場で実用可能な鮮度測定器の開発を目指し,310 Hzから1.5 MHzまでの154種類の周波数を1.5秒で測定できる防水性を有した侵襲タイプのインピーダンス測定器を試作した。これを用いて,養殖ギンザケ278尾の頭部と背部のインピーダンス測定結果から機械学習モデルによりK値を推定した結果,訓練データの決定係数は頭部で0.796,背部で0.789,検証データの決定係数は頭部で0.754,背部で0.773であった。本手法によりギンザケのK値を従来よりも高い精度で推定できることが可能であるとともに,本手法は水産現場で実用可能であると考えられた。
本研究では,瀬戸内海安芸灘で採集されたカサゴの耳石横断面観察法による年齢査定をおこなった。年齢と全長の関係をみると,沿岸標本では平均年齢5.7歳(2–18歳)および平均全長18.8 cm(10.7–26.5 cm),沖合標本では平均年齢8.3歳(3–24歳)および平均全長18.4 cm(11.2–25.0 cm)が得られた。本研究(沖合標本)における10歳以上の個体の割合は31.7%に達し,他海域と比較して高齢個体が出現したことが明らかになった。
新規の養殖海藻種として注目されているホンダワラについて,幼胚冷蔵保存の可能性を検討し,保存可能期間および適正収容密度を明らかにするための実験を行った。京都府宮津湾で採取したホンダワラの幼胚を用いて冷蔵保存実験を行ったところ,本種幼胚は5°C,密度3.0×104個L-1(234個cm-2)以下で約1年1か月保存可能であった。また,3.0×104個L-1(234個cm-2)以下の密度では,密度の違いによって発芽率に大きな差がみられなかったことから,砂濾過海水を用いて本種幼胚を冷蔵保存する場合の適正収容密度は約3.0×104個L-1(234個cm-2)であることが明らかとなった。
日本水産学会誌第90巻3号(May 2024)264–271頁「ウスベニイトミミズMonopylephorus rubroniveusの飼育に適した餌の検討」に誤りがありましたので,訂正いたします。
誤: 267頁左 Table 4
Nutritional composition of experimental diet
正: 267頁左 Table 4
Nutritional composition of experimental diet (dry weight, %)
なお,J-STAGE公開版(https://doi.org/10.2331/suisan.23-00041)においては,上記の修正を加えた状態の版を公開しています。