症例は57歳男性.平成16年3月下旬より腹痛が出現し近医を受診した.急性膵炎の診断で当院救急センターに搬送,入院となった.入院時のCT grade分類ではgrade4で,TP5.4 g/d
l,PO
2(room air)59.7 mmHgと重症急性膵炎と診断された.蛋白分解酵素阻害剤,抗生剤点滴等の治療を行い症状軽快し一旦退院となった.CTにて膵尾部に長径6 cm大の内部に充実成分を伴う多房性嚢胞性病変を認め,経時的に縮小傾向は認めなかった.ERCPにて主膵管の拡張と主膵管と嚢胞との交通を認め,交通した嚢胞内に粘液と思われる透亮像を認めた.MRCPでは主膵管と拡張分枝膵管(嚢胞)との交通を認めた.混合型intraductal papillary mucinous neoplasm(IPMN)と診断し,7月中旬,体尾部脾臓合併切除を施行した.腫瘍は病理診断で腺癌と診断された.重症急性膵炎の原因としてIPMNも念頭におき検索することが重要であると考えられた.
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