目的:「科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン2006年版」の利用状況およびこれに対する意見を日本膵臓学会会員を中心に調査した.方法:日本膵臓学会会員や評議委員を中心に2006年12月より2007年2月にかけ,2,807名に3,287枚のアンケート用紙を送り,記入の上,FAXで回答して貰った.結果:回答は168枚,回答率は5.1%であった.診療ガイドラインを知ったのは多くは学会であり,事前に行った公聴会は有用であった.ガイドラインは膵癌診療にも頻回に利用されているが,膵癌診療の知識の整理としても利用されていた.ガイドラインは5つの章よりなっているが,どの章も利用されていた.しかし,膵癌に関してはエビデンスレベルの高い論文が少なく,推奨度がCのものが多過ぎるとの意見もあった.結論:ガイドラインでは推奨度がCのものが多く,「明日への提言」を加えるなど工夫した.発刊後,保険に適用されたS-1などの記載を含め,今後の定期的改訂が必要とする意見が多かった.膵癌診療ガイドラインは現在,改訂作業に入っているが,得られた貴重な意見も反映されることを期待する.
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