膵臓
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24 巻, 5 号
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ガイドライン
特別寄稿
  • 中泉 明彦, 田中 幸子
    2009 年 24 巻 5 号 p. 594-602
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/02
    ジャーナル フリー
    大阪府立成人病センターで行っている膵がん検診の概要について述べた.膵嚢胞や膵管拡張を伴う膵がん検診経過観察例は一般市民に比べ約9.2倍膵癌発症のリスクが高いことが判明した.さらに膵癌発症のリスクは膵嚢胞を伴う膵管拡張群が最も高く,ついで膵嚢胞のみ群で高いことが判明した.経過観察中に発症した通常型膵癌は早期診断困難で,腹部超音波検査で腫瘤が検出できなかったか,膵液細胞診で確定診断ができなかったことに原因があった.2007年から開始した新膵がん検診ではMRCPやEUS-FNA,米国製セクレチンを導入し,早期診断を目指している.
症例報告
  • 大嶋 野歩, 和田 道彦, 高橋 英雄, 田村 亮, 池田 英司, 細谷 亮
    2009 年 24 巻 5 号 p. 603-609
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/02
    ジャーナル フリー
    患者は46歳男性で大酒家.発熱と腹満にて当科入院となった.腹部造影CTでは,骨盤内に達し,腹腔内全体を占める巨大な膵仮性嚢胞をみとめ,網嚢部の膵仮性嚢胞と交通していた.保存療法にて改善せず感染を伴って増大したため,経皮的ドレナージ術を施行した.効率のよいドレナージと嚢胞内洗浄療法を目指して2本のカテーテルを留置した.嚢胞は漸次縮小し,外科的治療の必要なくドレナージのみで消失した.また本症例では,脾静脈閉塞がみとめられたが,経過観察のみで軽快した.
    この様な形態の膵仮性嚢胞はまれであり,巨大な感染性膵仮性嚢胞の成因,ドレナージ方法の工夫,脾静脈閉塞の機序など,その臨床経過において教唆に富む症例と考え報告する.
  • 今給黎 和幸, 山元 隆文, 船川 慶太
    2009 年 24 巻 5 号 p. 610-615
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/02
    ジャーナル フリー
    症例は急性リンパ性白血病の11歳男児.寛解導入療法中にL-アスパラギナーゼ投与に伴う重症急性膵炎を発症した.膵尾部に約60mmの膵仮性嚢胞が遷延し,有症状であった.自然消退が望めないものは,出血や感染の合併症もあるため,ドレナージが必要と判断した.嚢胞は主膵管と交通を有さないものであったため超音波内視鏡ガイド下に経胃的に穿刺,ドレナージを施行した.約3ヶ月プラスチックステントを留置した.施行後血清アミラーゼ値の正常化,腹部CTにて嚢胞の縮小を認めた.成人同様,小児においても超音波内視鏡下経消化管的嚢胞ドレナージは有効であった.
  • 伊藤 達雄, 土井 隆一郎, 中本 裕士, 高橋 裕, 増井 俊彦, 今井 寿, 加茂 直子, 岩永 康裕, 川口 義弥, 高田 泰次, 上 ...
    2009 年 24 巻 5 号 p. 616-621
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/02
    ジャーナル フリー
    症例は58歳女性.膵炎を繰り返していたが,再燃したため精査を行ったところCTで膵頭部に腫瘍を指摘された.また,FDG-PETで腫瘍に一致してSUV10.7のFDGの集積を認めた.
    膵頭部癌の診断のもとに,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った.
    病理組織所見では,中∼低分化型の扁平上皮癌と中∼高分化型の腺癌の成分を認め,腺扁平上皮癌と診断された.
    膵腺扁平上皮癌は全膵腫瘍のうち0.9%を占める,まれな膵腫瘍である.通常型膵癌ではFDG-PETでSUVが10を超えることはまれであり,本例のように高値を示す場合は通常型膵癌以外の組織型を考慮する必要がある.
  • 井上 耕太郎, 土井 康郎, 高田 登, 吉仲 一郎, 原田 和則
    2009 年 24 巻 5 号 p. 622-627
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/02
    ジャーナル フリー
    35歳男性.検診超音波検査で膵嚢胞性病変が疑われた.CTでは境界明瞭な造影効果を有する充実性腫瘍で,MRIではT1WIでlow,T2WIでややhigh intensityで拡散能低下を示した.positron emission computed tomography(PET)では,腫瘍に一致して集積を認めた.膵癌の術前診断で膵体尾部切除術を行った.病理診断はsolid-pseudopapillary tumor(SPT)であった.SPTは若年女性に多く,被膜を有し,出血や壊死に伴う嚢胞性変化を特徴とする.本例は非典型例で術前診断が非常に困難であった.PETは強く悪性を示唆した.膵腫瘍の確定診断には近年US,CT,MRIに加えPETも重要視されるが,SPTのPET診断に関する検討は少ない.今回診断にPETを用いたSPTを経験したので,PET診断について考察し報告する.
Selected Expanded Abstract
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