目的 Gemcitabine(以下GEM)とS-1同時併用化学放射線療法におけるS-1の最大耐用量および推奨用量を明らかにする.
対象と方法 2004年2月から2006年8月までに局所進行膵癌Stage IVaかつ病理学的に腺癌と確定診断された症例.GEMは200mg/m
2で週1回6週間投与した.放射線療法は総照射線量50.4Gy照射した.S-1は経口内服で14日間連続投与後7日間休薬し,さらに14日間連続投与した.S-1の投与量設定はレベル1:50mg/m
2,レベル2:60mg/m
2,レベル3:70mg/m
2,レベル4:80mg/m
2とした.
結果 レベル1,2,3の各3症例でDLTは認めなかった.レベル4(S-1:80mg/m
2)の3例中1例に,DLTとなるGrade 3の血小板減少を認めたが,結果的にレベル4の計6例中5例にDLTの発現を認めなかった.以上から,S-1の最大耐用量(MTD:Maximum Tolerated Dose)および推奨用量(RD:Recommended Dose)は80mg/m
2とした.
結語 局所進行膵癌に対して,S-1:80mg/m
2,GEM:200mg/m
2,放射線療法50.4Gy照射が安全に施行できることを確認した.
抄録全体を表示