症例は49歳の女性.スクリーニングのFDG-PET検査で膵尾部に高集積を認めたため,精査目的に当科を紹介受診となった.CTおよびMRI検査では径1cmの充実性腫瘍が指摘された.腫瘍内に嚢胞や石灰化は認めなかった.血液検査上腫瘍マーカーや血中内分泌ホルモン値の上昇は認めなかった.PET検査では膵尾部の腫瘍の部位に一致した高集積を認めた.膵癌を否定できず,膵体尾部切除術を行った.病理組織学的検査では好酸性の胞体を持つ腫瘍細胞が充実性胞巣を形成し増生していた.免疫組織学的には
α1-antitrypsin,CD10,NSE,CD56が陽性,synaptophysin,chromogranin Aは陰性であり,solid pseudopapillary neoplasm(SPN)と診断された.小さなSPNは石灰化や嚢胞を伴わないことがあり膵癌との鑑別が困難である.また小さなSPNはPETで高集積を示すことがあるため,PETで高集積する小さな膵腫瘍の場合,SPNを鑑別診断として念頭におく必要があると考えられた.
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