膵臓
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26 巻 , 4 号
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症例報告
  • 松本 逸平, 白川 幸代, 新関 亮, 外山 博近, 浅利 貞毅, 後藤 直大, 山下 博成, 田中 正樹, 木戸 正浩, 楠 信也, 堀 ...
    2011 年 26 巻 4 号 p. 511-516
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は51歳女性.検診の腹部USで膵腫瘤を指摘され紹介となった.EUSでは膵頭体部移行部に内部に嚢胞成分を有する10mmの低エコー腫瘤を認め,ダイナミックCTでは腫瘤は指摘できず5mmの嚢胞のみを認めた.ERPでは膵管像に異常はなく膵液細胞診はclass IIIであった.IDUSでは10mmの腫瘤内に5mmの嚢胞を認めた.以上より術前診断は確定できず,膵内分泌腫瘍,Solid-pseudopapillary neoplasm,浸潤性膵管癌(膵癌)などの疑診にて膵中央切除を行った.術中迅速病理検査は膵癌であったため,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術に術式を変更した.病理診断は中分化型管状腺癌でpTS1(15mm)pT1 pN0 cM0 fStage Iであり,嚢胞部分は拡張した腫瘍腺管であった.嚢胞を伴う小膵癌の診断は困難であるが,常に念頭に置き診療にあたることが重要と考えられた.
  • 檜垣 栄治, 後藤田 直人, 小西 大, 高橋 進一郎, 加藤 祐一郎, 木下 平
    2011 年 26 巻 4 号 p. 517-523
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は75歳女性.2002年に右腎細胞癌に対して右腎摘出術を施行し,その後左腎転移に対し左腎部分切除術,甲状腺転移に対して甲状腺亜全摘術が施行された.2008年に近医で多発膵転移を指摘され当院紹介となった.腹部CTでは膵全体にわたり大きさ5~45mm大の転移巣を多数認めたが,膵外には明らかな転移巣を認めなかった.転移巣は膵全摘術にて全て切除可能と判断し同術式を施行した.切除標本の肉眼所見では膵全体に計17個の病変を認め,病理組織学的所見から病変は全て腎細胞癌の膵転移と診断された.術後14カ月目に甲状腺に再再発をきたし残葉切除を施行,術後24カ月現在,他に再発なく元気に外来通院中である.腎細胞癌の膵転移は根治切除が可能であれば長期予後が期待できる.自験例のような多発例に対しては膵全摘も有用な選択肢の一つであると考えられた.
  • 澤田 成朗, 吉岡 伊作, 黒木 嘉人, 関根 慎一, 松井 恒志, 堀 亮太, 奥村 和之, 吉田 徹, 長田 拓哉, 魚谷 英之, 嶋田 ...
    2011 年 26 巻 4 号 p. 524-530
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は60才代女性.2007年5月膵体尾部癌の腹膜播種に伴う腸閉塞の診断にて腸閉塞解除目的に開腹術を施行した.術中腹水細胞診にてClass V,腸閉塞の責任病変である小腸を部分切除し,病理診断は転移性腺癌であった.術後S-1+Gemcitabineの化学療法を合計13サイクル施行した結果,腫瘍はCT上縮小したが,腫瘍マーカーは10サイクル目以降やや増加傾向に転じた.2008年8月再手術を施行.播種性病変は認めず術中腹水細胞診はClass Iであった.横行結腸,胃の部分切除を伴う脾合併膵体尾部切除術を施行した.病理診断では浸潤性膵管癌,pT4pN0M0 Stage IVaであった.2009年10月に施行したFDG-PETにて子宮体部に異常集積を,更に右尿管閉塞に伴う右水腎症を併発し後腹膜へ広がる再発と判断した.初発後3年3ヶ月経過した2010年7月に永眠された.切除不能膵癌症例の予後向上において化学療法から外科的切除へ向かう新たな治療展開につき適応と時期の検討の必要性を示唆する症例であった.
  • 亀田 亮, 小林 智, 上野 誠, 宮川 薫, 大川 伸一, 山本 直人, 森永 聡一郎, 亀田 陽一
    2011 年 26 巻 4 号 p. 531-537
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/09
    ジャーナル フリー
    69歳男性.糖尿病の精査中に膵頭部腫瘤を指摘された.膵生検を施行し膵頭部癌と診断した.CT上で主幹動脈浸潤等は認めなかったが両肺底部に約5mm大の小結節を認めた.肺転移の可能性を否定できなかったため切除不能膵癌と判断しGemcitabine(GEM)単剤による全身化学療法を開始した.GEM療法を11コースまで施行したが,肺病変は不変であり良性変化の可能性が高いと考えた.主幹動脈浸潤や転移を疑う新たな病変の出現を認めず,根治的切除可能と判断し膵頭十二指腸切除術を施行した.術後病理検査では膵頭部腫瘤の大部分には線維化がみられ,その一部に癌腺管の残存を認めた.腫瘍部分には浸潤癌も認められたが,上皮内癌を含む上皮内腫瘍の成分が少なくなかった.線維化領域には化学療法施行前は腫瘍腺管が広がっていたと考えられ,GEMにより組織学的に著明な抗腫瘍効果が得られたと考えられた.文献的考察を含めて報告する.
  • 瀧井 道明, 福田 彰, 増田 大介, 小倉 健, 蘆田 玲子, 有坂 好史, 井元 章, 樋口 和秀
    2011 年 26 巻 4 号 p. 538-543
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は35歳の女性で切迫早産にて当院産科に入院中であった.妊娠35週6日から急に全身倦怠感と上腹部痛が出現して,急性肝不全,播種性血管内凝固症候群(DIC)の徴候が認められた.腹部超音波検査ではbright liverではなかったが,急性妊娠性脂肪肝と診断されて同日緊急帝王切開術が施行された.しかし,翌日左上腹部痛が増強し,アミラーゼの急上昇が認められた.腹部CTでは膵全体の腫大と膵周辺への炎症の波及が認められた.予後因子3点を満たしたので重症急性膵炎と診断された.保存的治療の経過は良好であり,膵炎診断後18日後には軽快退院となった.
    本症例は妊娠時急性膵炎の成因となりうる著明な高脂血症は認められなかった.急性妊娠性脂肪肝は腹腔動脈の攣縮が原因とされる.本症例で合併した急性膵炎も膵臓の栄養動脈の血管攣縮による膵虚血が成因の一つとして考察された.
  • 須藤 広誠, 岡野 圭一, 柿木 啓太郎, 前田 典克, 大島 稔, 柏木 裕貴, 山本 尚樹, 赤本 伸太郎, 藤原 理朗, 谷内田 真一 ...
    2011 年 26 巻 4 号 p. 544-548
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.20年前より慢性膵炎の急性増悪を繰り返していた.激しい上腹部痛が出現したため,近医を受診した.腹部dynamic CT検査で膵全体に多数の結石と著明な主膵管拡張を認め,さらに動脈相で膵体部に脾仮性動脈瘤を認めたため当院紹介受診となった.脾仮性動脈瘤の膵仮性嚢胞内出血を考え,腹腔内穿破の危険性を考慮して,入院当日に脾動脈塞栓術を施行した.その後は貧血の進行を認めず,全身状態の安定を待ち,塞栓術後17日目にFrey手術を施行した.経過は良好で術後20日目に独歩で退院された.
    仮性動脈瘤破裂は慢性膵炎の危険な合併症の一つであり,また慢性膵炎は他に基礎疾患を有していることも多く,術後の合併症予防の観点からも十分な術前検査の後に手術を行うことが望ましい.手術に先行したIVR(Interventional radiology)を用いた脾動脈塞栓術により,緊急手術を回避でき,状態が安定した中で手術が可能であった.
  • 長尾 祐一, 皆川 紀剛, 松山 篤二, 山口 幸二
    2011 年 26 巻 4 号 p. 549-554
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.近医の超音波検査にて膵尾部の嚢胞性病変を指摘され,当科を紹介受診された.精査にて,膵尾部に50mm大の多房性嚢胞性病変,嚢胞と膵の境界部分に20mm大の充実性腫瘤を認めた.浸潤性粘液性嚢胞腺癌(MCC)もしくは,膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC)を考え,2010年9月膵体尾部・脾切除,横行結腸部分切除を施行した.切除標本では膵尾部に多房性嚢胞を認め,嚢胞の膵体部側に白色調充実部分を認めた.組織学的には,充実部分は中分化型腺癌の所見で,嚢胞壁は厚い線維性隔壁で,上皮はすべて異型細胞で覆われていた.一部では骨化形成も認めた.典型的な卵巣様間質は認めず,主膵管との交通も明らかではなかった.骨化形成を伴った浸潤性MCCが疑われるが確定診断に至らなかった.
  • 浜内 諭, 比佐 岳史, 大久保 浩毅, 塩澤 哲, 植田 瑞穂, 高松 正人, 古武 昌幸, 石亀 廣樹
    2011 年 26 巻 4 号 p. 555-562
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は60歳代,男性.2年6ヶ月前に急性膵炎にて入院となり,保存的加療にて改善した.膵炎改善後の精査では主膵管拡張(直径3mm)のみであった.今回,上腹部痛が出現し,再精査となった.US,CT,MRCPにて主膵管径の増大(直径4~5mm)を認めたが,明らかな腫瘤性病変を指摘できなかった.EUSでは体部主膵管内に長径12mm大の低エコー腫瘤を認めた.内視鏡的に十二指腸主乳頭より粘液排出を認めた.ERPでは主膵管内粘液及び体部主膵管の不整狭窄を認めた.狭窄部のIDUSでは主膵管及び拡張分枝膵管内に充満する表面乳頭状の低エコー腫瘤を認めた.混合型IPMNと診断し,膵体尾部切除術を施行した.組織学的には腺腫であった.
    画像の再検討では,初回精査のEUSで体部主膵管内に長径4.5mmの低エコー腫瘤を認識可能であり,doubling timeは212日であった.
  • 櫻井 克宣, 塚本 忠司, 清水 貞利, 高台 真太郎, 金沢 景繁, 山本 訓史, 山下 好人, 有本 裕一, 西口 幸雄
    2011 年 26 巻 4 号 p. 563-568
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は34歳,男性.腹痛を自覚し近医を受診した.腹部超音波検査,腹部CT検査にて膵鈎部尾側に4cm大の腫瘤と多発肝腫瘍を認めた.同病院にて試験開腹術を施行し,術中診断は膵腫瘍及び多発肝転移であった.術中に施行した肝生検の組織診断は高分化型膵内分泌細胞癌であった.術後軽快退院後,当院を紹介受診した.血液検査所見では血中インスリン値,ガストリン値,グルカゴン値は正常範囲内であった.以上より,非機能性膵内分泌細胞癌の多発肝転移と診断し,etoposide(ETP)とcisplatin(CDDP)による化学療法を行った.化学療法後の腹部CT検査では膵腫瘍と肝転移巣の増大はなく,新たな肝転移巣も認めず,肉眼的に切除可能と判断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術,横行結腸部分切除術及び肝部分切除術を施行した.切除標本の病理組織診断は高分化型膵内分泌癌であり,免疫組織学的にはsynaptophysin(+), chromograninA(-),glucagon(+),serotonin(-),insulin(-),SSTR2a(+)であった.術後14カ月後の現在,残肝再発を認めるも健存中である.
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