膵臓
Online ISSN : 1881-2805
Print ISSN : 0913-0071
ISSN-L : 0913-0071
28 巻 , 1 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
会長講演 2012年膵臓学会
特集 通常型膵癌の治療戦略
  • 柳澤 昭夫
    2013 年 28 巻 1 号 p. 11
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
  • 吉富 秀幸, 清水 宏明, 吉留 博之, 大塚 将之, 加藤 厚, 古川 勝規, 竹内 男, 高屋敷 吏, 久保木 知, 岡村 大樹, 鈴木 ...
    2013 年 28 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    膵癌に対しては外科切除が第一選択の治療法であるが,その成績は十分とは言えない.そこで,我々は第2相試験を中心とした臨床試験を通して外科切除,化学療法を組み合わせた集学的治療法の開発を行っている.本稿では我々の施行している新規術後補助療法の開発を目指したCAP-001(ゲムシタビン療法 vs. ゲムシタビン/UFT併用療法),CAP-002(ゲムシタビン療法 vs. S-1療法 vs. ゲムシタビン/S-1併用療法),および,切除不能,困難症例に対する術前治療後外科切除の有効性を検討するCAP-003(局所進行膵癌に対する術前術後ゲムシタビン/S-1併用療法)を中心に,その背景とともに解説する.
  • 中郡 聡夫, 古川 大輔, 矢澤 直樹, 加野 将之
    2013 年 28 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    2005年4月から2011年10月の間における膵癌切除190例の術後補助化学療法の効果を検討した.
    術後1,3,5年生存率は,GEM群(67例):80%,37%,25%,GS群(60例):81%,44%,20%,S-1群(20例):85%,39%,31%で,各群間には有意差を認めなかった.手術単独群(41例)の生存率は54%,19%,19%で,GEM群・GS群・S-1群と比べて不良であった.
    同期間に,動脈に180度以下接触したBorderline resectable膵癌46例の中で切除可能であったのは16例(35%)で,R0切除となったのは6例であった.切除不能の原因は,腹膜転移3例,肝転移2例,上腸間膜動脈浸潤16例,総肝動脈浸潤6例,腹腔動脈浸潤3例,上腸間膜動脈浸潤および総肝動脈浸潤が2例であった.切除16例の1,3,5年生存率は74%,43%,16%であった.
  • 元井 冬彦, 片寄 友, 江川 新一, 海野 倫明
    2013 年 28 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    切除膵癌の標準治療は術後補助化学療法だが,切除企図例には回復遅延や癌遺残も含まれる.切除企図膵癌を手術先行(S群)と化学療法先行(N群)に分け,術前治療の意義を考察した.切除企図例を対象とし,術後補助療法除外基準として,遠隔リンパ節,腹腔洗浄細胞診,癌遺残,治療遅延,血清マーカー高値を設定,両群から,適格例を抽出した.切除率は両群とも80%以上で,適格例はS群47%,N群53%であった.生存期間中央値(MST)は全例,補助療法例で,各々S群17.1,21.4ヶ月,N群21.2,31.6ヶ月であった.N群でレジメン別に比較すると術前GS療法(NAC-GS)のMSTは全例,補助療法例で25.2,35.8ヶ月で,いずれもゲムシタビン単剤(NAC-G)より有意に良好な成績を示した(p<0.05).術前治療は,切除・術後補助療法の機会を減じることなく,生存期間を延長することが示唆された.
  • 高橋 秀典, 大東 弘明, 後藤 邦仁, 丸橋 繁, 矢野 雅彦, 石川 治
    2013 年 28 巻 1 号 p. 34-41
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    術前CRTを施行したJPS-T3・T4切除可能膵癌250例を検討対象とした.術前CRTとしては50Gy/5週の放射線治療に加え,1000mg/m2のgemcitabineを3回投与/4週×3クール施行した.250例を,T3-R(T3症例:n=64),T4-R(T4症例で主要動脈周囲(SMA,CA,CHA)への腫瘍進展を認めないもの:n=125),T4-BR(外周180°以下の主要動脈周囲進展を認めるもの:n=61)に分類した.T3-R,T4-R,T4-BRの切除率はそれぞれ92%,85%,74%であり,それぞれのR0切除率は98%,100%,98%であった.切除例の5年生存率は70%,52%,37%であった.T3・T4切除可能進行通常型膵癌に対するgemcitabine併用術前CRTは良好な治療成績が期待できるが,動脈周囲進展陽性T4症例の治療方針については更なる検討を要する.
  • 今岡 大, 水野 伸匡, 清水 泰博, 原 和生, 肘岡 範, 田近 正洋, 近藤 真也, 田中 努, 永塩 美邦, 長谷川 俊之, 大林 ...
    2013 年 28 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    局所進行切除不能膵癌に対する化学放射線療法の意義については議論が分かれるところであり,その意見の統一をみない.今回我々は,2001年4月~2011年6月の間に当科で化学療法あるいは化学放射線療法が行われた局所進行切除不能膵癌症例計154例を対象に,治療成績について後ろ向きに比較検討を行った.生存期間中央値は化学療法単独施行群(103例)と化学放射線療法群(51例)でそれぞれ13.8ヶ月と12.7ヶ月であり,有意差は認められなかった(p=0.825).Cox比例ハザードモデルによりリンパ節転移,年齢について調整を行った後の,化学放射線療法群の化学療法単独群に対する死亡ハザード比は0.94(p値0.997,信頼区間0.60~1.50)であった.当院における局所進行切除不能膵癌に対する治療において,化学放射線療法の化学療法に対する優越性は認められなかった.
  • 中井 陽介, 伊佐山 浩通, 伊地知 秀明, 佐々木 隆, 伊藤 由紀子, 松原 三郎, 八木岡 浩, 内野 里枝, 有住 俊彦, 木暮 宏 ...
    2013 年 28 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    癌に対する治療標的として注目されているレニン・アンギオテンシン系抑制による,進行膵癌の予後改善の試みについて概説する.最初に後ろ向きに検討した,gemcitabine単独療法の検討では,降圧剤としてACE阻害薬やアンギオテンシンレセプター阻害薬(ARB)の使用症例で,無増悪生存・全生存期間が長いという結果が得られた.続いて,ARBの上乗せ効果を前向きに検証するため,用量設定のためのgemcitabine・candesartan併用療法第1相試験と,安全性・有効性を検討する多施設共同第2相試験を行った.第1相試験では治療効果も期待できるものであったが,第2相試験では,candesartanの上乗せ効果は証明されなかった.しかし,基礎研究の結果からもレニン・アンギオテンシン系の抑制は,膵癌治療成績向上につながる可能性はあり,今後治療効果が期待できる症例を選択した臨床試験を検討中である.
  • 久野 晃聖, 藤山 隆, 杉本 理恵, 奥村 幸彦, 古川 正幸
    2013 年 28 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    Gemcitabine(GEM)およびS-1ともに使用され,病変の進行(PD)後も,経過を確認できた切除不能膵癌症例107例について,追加化学療法群(追加治療群)とBSCのみ(BSC群)との間で,PD後の生存期間をレトロスペクティブに比較し,追加化学療法の有効性について検討した.BSC群の生存期間の中央値が39日に対し,追加治療群では120日と有意に延長が認められた(P<0.0001).また両薬剤に対しPDとなった時点で,全身状態良好なグループ(ECOG:PS≤2)では,追加治療群の中央値が143日に対し,BSC群の47.5日に比較し有意に長く(P<0.0001),さらにPS 2以下では,GEMやS-1の継続グループにおける中央値が113日に対し,他の薬剤に変更や2薬剤に他の薬剤を併用されたグループでは225日と,さらなる有意な延長(P<0.0001)が認められた.両薬剤にPDとなった場合でも,PSが良好であれば,化学療法を継続することで生存期間の延長が期待できること,また,GEM,S-1以外の薬剤の使用によりさらなる生存期間の延長が期待できることが示唆された.
原著
  • 松田 正道, 渡邊 五朗, 橋本 雅司, 佐々木 一成
    2013 年 28 巻 1 号 p. 62-66
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    【目的】十二指腸閉塞を伴う膵癌に対する消化管バイパス術の適応を検討した.【対象と方法】バイパス術を施行した39例を対象とし,3群(good:十分な経口摂取ができ退院できた,poor:術後一度も満足に食べられず退院もできない,fair:術後一度は食べることができた,あるいは補液を併用し退院できた)に分類した.【結果】21例(54%)が術後一度は1000kcal/日以上摂取できた.7例(18%)は一度も経口摂取ができず,これを含めた12例(31%)が在院死した.判定は,good 14例(36%),poor 10例(26%),fair 15例(38%)であった.局所進行例に比して遠隔転移例にはpoorが有意に多く認められた(p=0.028).【結論】消化管閉塞を伴う遠隔転移例はバイパス術を行っても満足な結果が得られない.局所進行例ではバイパス術の効果が期待できると考えられた.
症例報告
  • 長谷川 圭, 渡辺 英二郎, 久保 浩一郎, 小林 亮介, 濱田 眞彰, 高濱 龍彦, 佐藤 晋一郎, 梅木 清孝, 齋藤 隆明, 大村 光 ...
    2013 年 28 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    症例は23歳男性で,心窩部痛にて受診しUSで膵頭部に径13cmの嚢胞部を含む充実性の円形腫瘤を指摘された.CT/MRIよりsolid pseudopapillary neoplasm(以下,SPNと略記)を疑い膵頭十二指腸切除術を施行した.術中,横行結腸間膜への浸潤を認め合併切除した.腫瘍は被膜を有し,出血・壊死を伴う充実部と嚢胞部が混在していた.組織学的には,好酸性胞体をもつ小型腫瘍細胞が充実性に増生し,一部に偽乳頭構造を認めた.免疫組織化学染色ではCD10陽性,β-cateninで核に陽性反応を認めた.細胞異型や核分裂像,結腸間膜への浸潤性などからmalignant potentialをもつSPNと診断した.SPNは予後良好な腫瘍であるが,その10~20%に悪性例を認め長期経過後の再発も報告されている.若年女性に多いとされるが本例のごとく成人男性にも発症することがあるので注意を要する.
  • 荒木 吉朗, 里井 壯平, 豊川 秀吉, 柳本 泰明, 山本 智久, 廣岡 智, 道浦 拓, 井上 健太郎, 權 雅憲
    2013 年 28 巻 1 号 p. 74-79
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    症例は飲酒歴のある49歳の男性.急性膵炎で近医にて入院加療して軽快したが,増大傾向のある脾嚢胞を認め,当院に紹介となった.自覚症状はなかった.腹部超音波,CTならびにMRI検査にて脾門部から脾内に進展する直径7cmの嚢胞を認めた.手術は脾摘・膵尾部切除を施行した.病理診断の結果,脾嚢胞に内皮は存在せず,仮性嚢胞であり,嚢胞に近接して膵組織を認めた.急性膵炎に由来した脾内膵仮性嚢胞であると考えられ,原因は膵尾部仮性嚢胞の脾内穿破等が考えられた.脾内膵仮性嚢胞は慢性膵炎由来のものが多く,自験例のように急性膵炎由来のものは少ない.直径7cmの大きさにも関わらず,無症状であり,急性膵炎後の定期的な画像診断による経過観察が重要であると考えられた.
  • 山田 元彦, 藤井 雅邦, 齋藤 玄哲, 山本 久美子, 伊藤 守, 石山 修平, 藤原 明子, 仁熊 健文, 吉岡 正雄, 塩出 純二, ...
    2013 年 28 巻 1 号 p. 80-85
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    症例は50歳代,男性.近医で膵石を伴ったアルコール性慢性膵炎,糖尿病加療中であった.腹痛を主訴に近医受診.腫瘍マーカーCA19-9が3228U/mlと上昇を認めたため,精査目的に当科紹介となった.腹部造影CT検査では,膵頭部に20×14mm大の造影効果の乏しい腫瘤を認めた.腫瘤近傍には20×10mm大の膵石を認め,末梢の主膵管は拡張していた.PETCTでは,腫瘤に強いFDG集積を認め,膵癌と診断し手術を施行し,浸潤型膵癌(fStage III)であった.本症例のように,膵石近傍に膵癌が発生した場合は,間接所見として得られる膵管拡張を膵石によるものと判断しやすく,膵癌早期診断が困難な可能性がある.膵石患者を経過観察する際には,その近傍に発生する膵癌に特に留意することが重要と考えられた.
  • 童 仁, 庄 雅之, 國重 智裕, 赤堀 宇広, 木下 正一, 長井 美奈子, 田中 利洋, 吉川 公彦, 中島 祥介
    2013 年 28 巻 1 号 p. 86-91
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    正中弓状靭帯圧迫による腹腔動脈起始部狭窄を伴った膵頭部癌の2切除例を経験した.症例1は75歳,男性.心窩部痛の精査で膵頭部癌を指摘され,術前精査で腹腔動脈起始部の狭窄を認めた.正中弓状靭帯による腹腔動脈起始部狭窄を伴う膵頭部癌と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.正中弓状靭帯切離にても狭窄の解除がみられなかったため,胃十二指腸動脈-下膵十二指腸動脈吻合術を同時に行った.症例2は47歳,女性.心窩部痛,背部痛にて近医受診.精査で膵頭部癌を認め,腹腔動脈起始部狭窄を伴っていた.正中弓状靭帯切離のみで,腹腔動脈の血流の改善を認めたため,血行再建を行うことなく,膵頭十二指腸切除術を施行した.腹腔動脈起始部に狭窄や閉塞を伴う症例は稀ではなく,本邦ではその原因として正中弓状靭帯による圧迫が多いとされる.膵頭十二指腸切除術を行う際には,肝血流確保のための慎重な術前診断および術中精査が肝要である.
  • 河合 隆之, 安近 健太郎, 河本 和幸, 伊藤 雅
    2013 年 28 巻 1 号 p. 92-97
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    症例は45歳の男性.直腸癌に対して2007年7月に直腸切断術を施行しpA,N1,M0,Stage IIIaと診断した.術後テガフール・ウラシル,ホリナートによる補助化学療法を半年間施行した.2008年7月に肺転移を指摘され切除術を施行し,半年間mFOLFOX6による化学療法を行った.以後再発なく経過していたが,2011年5月にCTにて45mm大の膵体部腫瘤を指摘され,原発性膵癌cT3,N0,M0,Stage IIIの術前診断の下,膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的検査にて既往の直腸癌に類似した組織像を認め,免疫染色にてCK7陰性・CD20陽性であったことから直腸癌膵転移と診断した.術後XELOXによる化学療法を半年間施行し,無再発経過観察中である.大腸癌膵転移は比較的稀であり切除症例はさらに少ないが,厳密な画像評価を行った上での根治切除術は選択されるべき治療方針であると考える.
  • 木村 俊久, 小畑 真介, 佐藤 嘉紀, 竹内 一雄, 片山 寛次, 山口 明夫
    2013 年 28 巻 1 号 p. 98-103
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    症例は42歳の男性で,他院で数年前よりアルコール性慢性膵炎を指摘されていた.食欲不振の精査目的で紹介され,腹部CTで膵仮性嚢胞を認めた.その5日後に発熱を主訴に再来院し,再度胸腹部CTならびにMRI検査を施行したところ,膵仮性嚢胞の急速な増大と縦隔内への進展を認めたため,緊急開腹下に縦隔ドレナージと腹腔内膵嚢胞ドレナージを施行した.縦隔内貯留液のアミラーゼ値は高値であり,膵仮性嚢胞が食道裂孔を経て縦隔内進展したことによる縦隔炎と診断した.25病日に軽快退院し,術後2年の現在も再燃なく外来にて経過観察中である.
feedback
Top