膵臓
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29 巻 , 1 号
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会長講演 2013年膵臓学会
特集 膵基礎研究:膵疾患の病因・病態解明に挑む
  • 大西 洋英
    2014 年 29 巻 1 号 p. 12
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 賢一, 濱田 晋, 下瀬川 徹
    2014 年 29 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
    我々は,EMT関連分子であるMSX2の膵腫瘍における役割を解析し,その悪性化への関与を検討した.MSX2は膵癌細胞のEMTを誘導し膵癌の転移を促進していた.膵癌細胞におけるMSX2の発現亢進は膵癌幹細胞数を増加させ,化学療法耐性能に関与していた.また,MSX2はmiR126の発現を低下させEMTを誘導していた.MSX2はIPMNの癌部と浸潤部に高頻度に発現しており,IPMNの進展に関与していることも明らかとなった.さらに,ERCP時に採取した膵管擦過細胞におけるMSX2 mRNA量を測定すると,膵癌において慢性膵炎に比べ有意に高いことが確認された.以上のことから,膵腫瘍の進展にMSX2の発現と,それによって誘導されたEMTが重要な役割を果たしていること,並びにEMT誘導分子の発現量測定による臨床応用の可能性が示唆された.
  • 真嶋 浩聡, 酒井 利隆, 大西 洋英
    2014 年 29 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
    I型インターフェロンシグナルは抗ウイルス作用をはじめ,免疫調整作用や抗腫瘍効果など多彩な生物学的活性を有する.インターフェロン制御因子(IRF)はインターフェロン誘導遺伝子の転写を制御する遺伝子として発見されたが,免疫関連遺伝子の転写調節に留まらず,細胞増殖・アポトーシスの制御,癌化などに関与することが明らかになってきた.膵臓においてIRF2は調節性外分泌に関与しており,IRF2ノックアウトマウスは急性膵炎の初期像を呈する.また,膵臓癌においてIRF1は癌抑制遺伝子,IRF2は癌遺伝子としての機能を有している.これらの分子メカニズムの解明をすすめることによって,急性膵炎や膵臓癌の新たな治療に結びつく可能性がある.
  • 大村谷 昌樹
    2014 年 29 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
    オートファジーとは,二重膜構造のオートファゴソームが細胞質の一部または細胞内小器官を取り囲み,リソソームと融合することでその内容物をリソソーム酵素によって分解する系である.遺伝子改変マウスを用いた研究から,急性膵炎だけでなく慢性膵炎の発症にもオートファジーが深く関与していることが判ってきた.慢性膵炎では,飢餓で誘導される正常なオートファゴソームよりも巨大な空胞の出現とオートファジーの選択的基質p62/SQSTM1(p62)タンパク質の異常蓄積が見られることから,オートファジー不全がその発症に深く関わっている可能性がある.p62はオートファジーの選択的基質であるだけでなく,シグナル伝達,細胞増殖,細胞死,炎症,腫瘍形成および酸化ストレス応答など多彩な機能を有しているため,p62タンパク質の異常蓄積が慢性膵炎発症のメカニズムとして注目されている.
  • 重川 稔, 竹原 徹郎
    2014 年 29 巻 1 号 p. 38-44
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
    急性膵炎において,障害を受けた膵腺房細胞からTNF-αやIL-6,IL-1βなどの炎症性サイトカインやMCP-1などのケモカインが産生されることが知られている.これらの液性因子により局所へ炎症細胞が遊走・浸潤しおよび活性化され,さらに局所における炎症が増悪する.活性化した炎症細胞から過度に炎症性サイトカインが産生されると全身性炎症反応症候群や,多臓器不全に至ることもある.膵炎発症早期に腺房細胞内で生じる複雑な炎症ネットワークを制御しているNF-κBやSTAT3などの炎症に深く関わる転写因子の役割を明らかにすることは,急性膵炎の病態解明のみならず,急性膵炎に対する効果的な新薬を開発する上で重要なアプローチの一つであると考えられる.
  • 渡邉 智裕, 辻 喜久, 千葉 勉
    2014 年 29 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
    膵臓腺房細胞におけるTrypsinogenを中心とする膵酵素の過剰な活性化とそれに引き続く膵組織の自己消化が急性膵炎の発症に中心的な役割を果たすと考えられてきた.しかしながら,Trypsinogenの発現が極めて低い状況下においても,急性膵炎が誘導されることが報告され,急性膵炎の発症にはTrypsinogenの活性化に加えて,様々な免疫反応が関与することが示唆されている.膵炎発症モデルマウスを用いた最近の研究により,急性膵炎の発症には自然免疫反応が関与することが示唆されている.急性膵炎の発症に伴い,膵組織へ移行する腸内細菌や膵組織の壊死に伴って放出される内因性自己抗原が自然免疫活性化分子として機能し,宿主の自然免疫反応受容体を活性化し,急性膵炎の病態形成に重要な役割を果たすことが明らかになっている.
  • 正宗 淳, 中野 絵里子, 粂 潔, 新堀 哲也, 青木 洋子, 下瀬川 徹
    2014 年 29 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
    1996年,遺伝性膵炎の原因としてカチオニックトリプシノーゲン(PRSS1)遺伝子変異が同定されて以降,種々の膵炎関連遺伝子異常が報告されてきた.これまでは膵分泌性トリプシンインヒビター(SPINK1)遺伝子など,トリプシンの活性化・不活性化に関わる遺伝子異常が中心であった.最近,遺伝子異常の結果,膵腺房細胞内に小胞体ストレスを起こすことが,新たな膵炎発症機序として注目されている.家族歴の濃厚な遺伝性膵炎でさえ約30%の家系で原因遺伝子は不明である.次世代シークエンサーは,従来型に比較し一度に膨大なDNAデータの処理・解析が可能であり,新規膵炎関連遺伝子同定に有用なツールと考えられる.今後,次世代シークエンサーを用いた網羅的解析により新たな膵炎関連遺伝子が同定され,膵炎のさらなる病態解明が進むことが期待される.
  • 春田 郁子, 清水 京子, 古川 徹, 柳沢 直子, 八木 淳二, 白鳥 敬子
    2014 年 29 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
    IgG4関連性疾患の膵病変と考えられる自己免疫性膵炎(AIP)の病因はいまだに解明されていない.しかしAIPの病因・病態に自然免疫,獲得免疫の両者が関与する可能性を示す知見が積み重ねられている.AIPと自然免疫系の関係に着目すると,微生物,特に環境因子としての共生細菌がAIPの病因に関係する可能性が推測された.腸内細菌をはじめとする共生細菌の意義を再考すると,これらの微生物が自己免疫疾患の病因になり得る可能性が示唆された.
症例報告
  • 伊関 雅裕, 水間 正道, 坂田 直昭, 林 洋毅, 中川 圭, 岡田 恭穂, 森川 孝則, 吉田 寛, 元井 冬彦, 内藤 剛, 片寄 友 ...
    2014 年 29 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
    症例は47歳男性.体重減少と心窩部痛がみられ精査を行った.腹部CTで上腹部に径21cm大の被膜で覆われた膵原発腫瘍を認めた.辺縁に多血性の充実成分を有し,中心性壊死・腫瘍内出血・石灰化を認めた.確定診断には至らなかったが,この腫瘍に対して,亜全胃温存膵全摘術・結腸合併切除術・門脈合併切除再建術を施行した.切除標本では,径26cm大の線維性の被膜に覆われた膵腫瘍を認め,内部に中心性壊死・出血を認めた.病理組織学的所見では類円型の核と好酸性細胞質を有する異型細胞が偽乳頭状配列を有し,免疫染色でCD10陽性,vimentin陽性,β-catenin陽性であり,SPNと診断された.
    SPNは比較的稀な膵腫瘍であり,多くが若年女性に発症するとされる.術前診断に苦慮した中年男性に発症した本邦最大級の巨大なSPNの1例を経験したので報告する.
  • 毛利 輝生, 佐々木 民人, 芹川 正浩, 南 智之, 岡崎 彰仁, 行武 正伸, 石垣 尚志, 小酒 慶一, 石井 康隆, 吉見 聡, 清 ...
    2014 年 29 巻 1 号 p. 74-82
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
    症例は50歳代,女性.心窩部痛,下痢を主訴として受診した前医で,難治性十二指腸潰瘍,高ガストリン血症を指摘され,当院入院となった.ガストリノーマを疑い画像検査を行ったが,膵頭部周囲にリンパ節腫大を認めた以外には,十二指腸・膵臓に明らかな腫瘤は指摘できなかった.局在診断のため選択的動脈内カルシウム注入試験を行い,胃十二指腸動脈からの刺激で有意なガストリンの上昇を認め,十二指腸・膵頭部領域のガストリノーマと診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的診断は十二指腸水平脚に存在する腫瘍径1mmのガストリノーマであった.他の画像検査では指摘できない微小なNETにおいても,選択的動脈内カルシウム注入試験は腫瘍の局在診断に有用であった.
  • 築山 吾朗, 田中 浩史, 矢吹 賢, 棚橋 千里
    2014 年 29 巻 1 号 p. 83-90
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
    52歳女性.CTで膵尾部と縦隔に腫瘤を確認し,膵切除.病理組織診断でNeuroendocrine tumor(NET)G1と診断,病理組織検査でMultiple endocrine neoplasia I型(以下MEN-I型)を示唆.それを機に,頭部MRI,下垂体・副甲状腺ホルモン検索,下垂体ホルモン負荷試験を施行し,下垂体腫大,PTH・TSH・ガストリン高値を確認.MEN-I型と診断.高Ca血症のため副甲状腺全摘後に自家移植を施行.下垂体腫瘍は随伴症状を認めず経過観察,縦隔腫瘤はフォローの胸部CTなどで自然消失し経過観察とした.MENは小中病院では,頻繁に経験する症例とは言えず,当院でも初診の段階で高Ca血症を呈しているにも関わらず,MEN-I型を鑑別診断に列挙できなかった.この症例の経験を機に,今後遭遇する可能性がある類似症例への対応を円滑にする目的でこの症例を報告することとした.
  • 岡田 健司郎, 村上 義昭, 上村 健一郎, 首藤 毅, 橋本 泰司, 近藤 成, 中川 直哉, 末田 泰二郎, 有廣 光司
    2014 年 29 巻 1 号 p. 91-97
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
    症例は54歳女性.検診で施行したCT検査で膵頭部の嚢胞性膵腫瘍を指摘され経過観察していたが,3か月後のCT検査で増大傾向を認めたため,精査目的で当院受診した.CT検査では膵頭部に10cm径で辺縁整球型の嚢胞性腫瘤を認めた.EUS検査,ERCP検査にて確定診断には至らなかったが,粘液性嚢胞腫瘍,膵神経内分泌腫瘍などの疑いにて,手術適応と判断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では膵頭部に厚い被膜で覆われた黄色の内容液を有する10cm径の嚢胞性病変を認め,免疫染色にてchromogranin A陽性,synaptophysin陽性,Ki-67 labeling indexは5%で,非機能性膵神経内分泌腫瘍G2と診断した.嚢胞性病変が主体となる膵神経内分泌腫瘍は比較的稀であり,他の嚢胞性膵腫瘍との鑑別も念頭におき治療方針を決定する必要がある.
  • 西 正暁, 河崎 秀樹, 藤井 正彦, 大畠 雅義, 長橋 美弥, 山本 幸司, 原田 雅光
    2014 年 29 巻 1 号 p. 98-104
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
    症例1は70歳,男性.膵嚢胞性病変を疑われ紹介された.CTで膵頭部に17mm大の充実性腫瘤を,膵体尾部に多房性嚢胞状病変を認めた.膵管内乳頭粘液性腺癌を疑い,膵全摘術を施行した.病理診断は粘液癌が主体で,膵頭部には通常の管状腺癌を認めた.膵粘液癌(muc>tub)T4N0M0 fStage IVaであった.術後補助化学療法(S-1)を行い,術後28カ月無再発生存中である.進展機序としてはIPMC内の粘液の過剰産生が示唆された.
    症例2は63歳,女性.急性膵炎を契機に膵嚢胞性病変を指摘された.CTで膵体尾部に石灰化を伴う嚢胞性病変を認めた.膵粘液癌もしくは膵管内乳頭粘液性腫瘍を疑い,膵体尾部切除を施行した.病理診断は膵粘液癌T2N0M0 fStage IIであった.術後補助化学療法(GEM)を行い,術後19カ月無再発生存中である.進展機序としては管状腺癌の粘液変性が示唆された.
  • 上田 樹, 菊山 正隆, 黒上 貴史
    2014 年 29 巻 1 号 p. 105-111
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性.急性膵炎の精査加療目的に入院.Magnetic resonance cholangiopancreatographyにて膵管非癒合が疑われ第2病日にEndoscopic retrograde cholangiopancreatography(ERCP)にて経副乳頭的膵管ステント留置術を実施.第3病日に腎下極に炎症の波及する重症膵炎を発症.膵管ステント抜去にて軽快せず,経鼻膵管ドレナージチューブを留置.第4病日に症状軽減し,第6病日に症状消失し,CTにても炎症所見はほぼ消失した.ERCP後重症急性膵炎治療に経鼻膵管ドレナージが有効な症例がある.
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