子宮頸部小細胞癌由来の転移性膵癌の1切除例を経験したので報告する.症例は40歳代女性.子宮頸癌フォロー中にCTにて膵腫瘍を指摘された.血液生化学検査では,Pro GRP 54.8 pg/m
lと上昇を認めた.MRIでは膵頭部にT1でlow intensity, T2では淡いhigh intensityを示す2.5 cm大の腫瘤がみられ,PET-CTでも同部位に軽度の集積を認めた.転移性膵腫瘍ないしは膵管癌を疑い開腹術を施行した.膵頭部に弾性硬の腫瘤を認め,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行.子宮頸癌術前には膵病変を認めずに急速に出現し膵切後は全身に再発を来した臨床経過や,両病変の病理組織学的類似性などから,子宮頸癌膵転移と診断した.転移性膵腫瘍は稀な疾患で,原発巣としては腎癌が最も多い.手術適応については,原疾患の治療指針をもとに転移巣切除が予後延長に寄与するかを慎重に検討する必要がある.
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