膵臓
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30 巻 , 1 号
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会長講演 2014年膵臓学会
特集 自己免疫性膵炎のup-to-date
  • 川 茂幸
    2015 年 30 巻 1 号 p. 41-42
    発行日: 2015/02/25
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
  • 岡崎 和一, 内田 一茂
    2015 年 30 巻 1 号 p. 43-53
    発行日: 2015/02/25
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎(AIP)は,本邦より発信された疾患概念であり,しばしば閉塞性黄疸で発症し,時に膵腫瘤を形成する原因は不明の膵炎であり,ステロイドに劇的に反応することを治療上の特徴とする.わが国のAIPの殆どはリンパ球とIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化(lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis:LPSP)を組織学的特徴とし,高IgG4血症,しばしば全身各臓器の膵外病変を認めることより,今ではIgG4関連疾患(IgG4-related disease)の膵病変と考えられている.一方,欧米では組織学的にidiopathic duct-centric chronic pancreatitis(IDCP)と呼称され,ステロイドの奏功する好中球上皮病変(granulocytic epithelial lesion:GEL)もIgG4とは無関係ながらAIPとして報告されてきた.LPSPが高齢男性に多いのに比し,IDCPは比較的若年者に見られ,男女差がなく,しばしば潰瘍性大腸炎を合併する.両者は臨床像も組織像も異なる別の病型であるが,膵画像所見,ステロイド反応性,膵癌と鑑別されるべき腫瘤形成などから,いずれもAIPとし,LPSPを1型,IDCPまたはAIP with GELを2型に分類する国際的コンセンサスが得られた.
  • 菅野 敦, 正宗 淳, 下瀬川 徹
    2015 年 30 巻 1 号 p. 54-61
    発行日: 2015/02/25
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    Yoshidaらにより疾患概念として自己免疫性膵炎(Autoimmune pancreatitis:AIP)が提唱されてから約20年が経過するが,その全体像については未だ不明な点が少なくない.我が国では厚生労働省の「難治性膵疾患に関する調査研究班」により,全国疫学調査がこれまでに3回行われている.最新の2011年の受療患者を対象として行われた第3回AIP全国調査では,年間推計受療者数は5,745人(95%信頼区間:5,325~6,164人),有病率は人口10万人あたり4.6人,罹患率は人口10万人あたり1.4人であった.2次調査により,大部分の症例において血清IgG4が高値であることや,8割以上にステロイド治療が行われているなど,我が国におけるAIP診療の実態が明らかとなった.全国調査から得られたAIPの全体像をもとに,AIPの診断,治療,研究に関して今後さらなる展開が期待される.
  • 神澤 輝実, 来間 佐和子, 千葉 和朗, 岩崎 将, 田畑 拓久, 小泉 理美
    2015 年 30 巻 1 号 p. 62-69
    発行日: 2015/02/25
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎の国際調査は今までに3回施行された.第1回のアジア地区の調査では,アジア諸国の症例の特徴は,多少の違いはあるが日本の自己免疫性膵炎と類似していることが明らかになった.第2回の世界8ヵ国における調査では,世界各国で種々の診断基準により自己免疫性膵炎が診断されていることが分かった.またLPSP例とIDCP例では,多くの臨床像が異なっていた.ドイツやイタリアの自己免疫性膵炎は発症年齢が若く,男性の比率が低く,急性膵炎での発症例が多いことより,かなり多くのIDCP例を含んでいることが示唆された.さらに,ステロイド治療後の再燃率は,比較的長期間にわたりステロイドの維持療法を行う日本に比べて,維持療法をほとんど行わないアメリカ,イタリア,イギリスで著しく高く,ステロイドの維持療法は自己免疫性膵炎の再燃予防に有効な可能性が示唆された.第3回の調査は,世界10ヵ国において国際コンセンサス診断基準によって診断された自己免疫性膵炎1064例が集計された.自己免疫性膵炎2型はアジアに少なく,若年発症で,男性の比率が低く,急性膵炎と炎症性腸疾患の合併率が高かった.ステロイド治療は自己免疫性膵炎1型も2型も奏効したが,再燃率は1型で高く,再燃例はステロイドの再投与や免疫抑制剤の投与によりコントロール可能であった.今後,自己免疫性膵炎における小量のステロイドによる維持量の有用性,再燃の予測因子や再燃例の治療法等を検討し,治療法の国際的なコンセンサスを作る必要がある.
  • 廣田 衛久, 下瀬川 徹
    2015 年 30 巻 1 号 p. 70-77
    発行日: 2015/02/25
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    2010年に公表された自己免疫性膵炎の国際診断基準(ICDC)は,優れた診断能を有した診断基準であるが,専門家用につくられており,一般医家が使用するには若干複雑である.自己免疫性膵炎臨床診断基準2011(JPS2011)はICDCに準拠しながらも,2型自己免疫性膵炎が稀である日本の実情を考慮し,1型自己免疫性膵炎を診断する診断基準として作成された.日本の自己免疫性膵炎の臨床現場では,一般医家がJPS2011を用いて診断する場合と,専門家がICDCを用いて診断する場合の両方が想定される.今回提示するアルゴリズムは,一般医家が診断できる範囲と,専門家へ紹介すべきタイミングを明記し,両者を橋渡しするように作成した.
  • 水野 伸匡, 原 和生, 肱岡 範, 今岡 大, 山雄 健次
    2015 年 30 巻 1 号 p. 78-84
    発行日: 2015/02/25
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎は膵の病理像よりlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitisとidiopathic duct-centric chronic pancreatitisが存在し,それぞれ1型と2型に分類される.臨床的に膵癌との鑑別が困難なことが多く,膵癌との鑑別診断には超音波内視鏡下穿刺吸引法(以下EUS-FNA)が有用である.1型,2型ともに膵病変の病理診断がゴールドスタンダードである.1型の診断には,膵癌診断で汎用されている22G針を用いたEUS-FNAによってでも十分な組織検体が採取でき,診断が可能であることが多いが,2型の診断には限界がある.組織採取を目的に22Gコア生検針等が開発されたが,自己免疫性膵炎自体の診断に対する有用性に関しては今後の検討課題である.
  • 李 倫學, 伊藤 鉄英, 五十嵐 久人, 肱岡 真之, 植田 圭二郎, 藤山 隆, 立花 雄一, 橋本 理沙, 高松 悠, 安永 浩平, 高 ...
    2015 年 30 巻 1 号 p. 85-93
    発行日: 2015/02/25
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎(AIP)はステロイドが著効することが知られているが,長期経過とともに再燃をきたす症例も少なくない.再燃例に対しては,ステロイドの再投与・再増量に加え,近年はアザチオプリンをはじめとする免疫調節薬や,抗CD20抗体であるリツキシマブの有用性が多数報告されているが,未だその安全性や有効性は確立していない.AIPの診療に際しては,常に再燃の可能性を念頭に置き,治療開始初期から長期予後を見据えた治療戦略を立てることが重要である.
  • 新倉 則和, 丸山 真弘, 渡邉 貴之, 伊藤 哲也, 金井 圭太, 小口 貴也, 浅野 純平, 浜野 英明, 川 茂幸
    2015 年 30 巻 1 号 p. 94-100
    発行日: 2015/02/25
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎(AIP)は長期経過中に膵石を形成するなど,非アルコール性慢性膵炎へと進展しうる病態の一つである可能性が高い.膵石は慢性膵炎の診断において最も特徴的な画像所見であり,膵管内の膵石ないし膵全体に分布する複数ないしびまん性の石灰化は自己免疫性膵炎の経過中に時折認める.膵石の形成についてはこれまで4~17%程度のAIP症例に合併し,AIPの再燃例,アルコール多飲者に多いと報告されている.われわれの3年以上経過観察が可能であった73例の自己免疫性膵炎症例の検討でも,16例22%に著明な膵石灰化を認め,AIPの再燃例,コントロール不良が膵石の形成および慢性膵炎への進行と関連していた.また,今回の検討ではAIPの再燃とともに膵石形成に関わる危険因子として膵頭部腫大と,膵体部主膵管の非狭細による膵液のうっ滞が抽出された.膵内外分泌能の長期経過については今後の検討課題である.
  • 塩川 雅広, 児玉 裕三, 千葉 勉
    2015 年 30 巻 1 号 p. 101-106
    発行日: 2015/02/25
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎autoimmune pancreatitis(AIP)患者に各種の悪性腫瘍が合併することが報告されてきた.AIPにおける悪性腫瘍合併リスクについては,未だ報告が少なく議論を残すところである.我々のAIP患者108例の検討では,AIP診断から一年以内に悪性腫瘍のリスクが高い,またAIPの罹患臓器以外からの悪性腫瘍の発生が多いなど,一部のAIPがparaneoplastic syndromeとして発症している可能性が示唆された.AIPと悪性腫瘍の関連についての研究は始まったばかりであり,その合併リスクや因果関係についてはさらなる検討が望まれる.
  • 中沢 貴宏, 大原 弘隆
    2015 年 30 巻 1 号 p. 107-115
    発行日: 2015/02/25
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎には様々な膵外合併症を伴うが,それらはIgG4関連疾患と呼称されるようになり,個々の名称も国際的に統一された.自己免疫性膵炎に合併するIgG4関連疾患は縦隔リンパ節腫脹(77~84%),硬化性胆管炎(74~84%),涙腺唾液腺炎(9.1~39.1%),後腹膜線維症(7.3~16%)の順に高率に合併した.また膵外にIgG4関連疾患を合併する症例は疾患活動性が高いと考えられた.我が国よりIgG4関連硬化性胆管炎の診断基準が発信された.さらに新たなカットオフ値作成が試みられたり,最近では自己免疫性膵炎を合併しないisolated IgG4-SCが話題になっている.
  • 植木 敏晴, 松村 圭一郎, 丸尾 達, 畑山 勝子, 土居 雅宗, 永山 林太郎, 伊原 諒, 野間 栄次郎, 光安 智子, 松井 敏幸
    2015 年 30 巻 1 号 p. 116-122
    発行日: 2015/02/25
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis:AIP)の国際分類における2型(type 2)の頻度は,北アメリカ(14%)やヨーロッパ(13%)に比し,アジア(4%)では低値である.本邦における炎症性腸疾患に合併するtype 2 AIPは,国際調査によるtype 2 AIPと異なり,黄疸がなく,腹痛の頻度が高かった.膵頭部腫大例は約半数で,下部胆管狭窄例は10%程度であった.膵管狭細化は多くが全膵管の2/3以上の長さで,膵石の合併はなかった.炎症性腸疾患以外の膵外病変の頻度は低かった.ステロイド投与例は約半数で,約1/3が保存的に経過観察されていた.切除例は少なかった.本邦のtype 2 AIPは,膵のコア生検による十分な膵組織と,臨床医と病理医との緊密な連携によりさらに解明されるであろう.
原著
  • 廣田 衛久, 下瀬川 徹, 正宗 淳, 濱田 晋, 菊田 和宏, 辻 一郎
    2015 年 30 巻 1 号 p. 123-136
    発行日: 2015/02/25
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    (目的)日本における急性膵炎診療の実態を明らかにすること.(方法)2011年1年間の急性膵炎患者を対象とした全国疫学調査の2次調査票を解析した.(結果)2694例分の2次調査票を用いて入院時における重症度の評価および日本の病院で行われている急性膵炎発症早期の治療である,初期輸液療法,経腸栄養療法,予防的抗菌薬治療,蛋白分解酵素阻害薬,蛋白分解酵素阻害薬・抗菌薬膵局所動注療法(動注療法),血液浄化療法,胆石性急性膵炎に対する内視鏡治療,さらに急性膵炎の晩期合併症であるwalled-off necrosis(WON)および仮性嚢胞に対する治療の実態について明らかにした.(結論)日本で現在行われている予後因子スコアと造影CT Gradeを用いた,発症から48時間以内の重症度評価は,急性膵炎症例の予後予測に有用である.個々の介入治療は今後客観的に評価される必要がある.
症例報告
  • 出先 亮介, 新地 洋之, 前村 公成, 又木 雄弘, 桑畑 太作, 上野 真一, 迫田 雅彦, 飯野 聡, 高尾 尊身, 夏越 祥次
    2015 年 30 巻 1 号 p. 137-143
    発行日: 2015/02/25
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,女性.膵頭部に15mm大の辺縁不整な腫瘤像を認め,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を予定した.術中に大動脈周囲リンパ節領域(No.16)にリンパ節腫大を認め,迅速病理診断で膵癌のリンパ節転移と診断されたためStage IVbと判断し,Gemcitabine(GEM)+TS-1療法(GS療法)を施行した.12コース施行後の評価でSDであったため,切除の方針とし試験開腹手術より14か月後にSSPPDを施行した.現在初回診断時より2年11か月が経過している.術後肺に結節影を認めており,肺結節は軽度増大しているが健常な日常生活を送っている.大動脈周囲リンパ節転移陽性膵癌は予後不良であり,術前・術後化学療法と手術を組み合わせる集学的治療を行うことで長期生存が得られることが示唆された.
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