膵臓
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31 巻 , 2 号
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総説
  • 佐藤 典宏
    2016 年 31 巻 2 号 p. 128-134
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2016/04/29
    ジャーナル フリー
    細胞外マトリックスの中心的コンポーネントであるヒアルロン酸は多くの癌で重要な役割を果たしている.大部分の膵癌はデスモプラジアと呼ばれる豊富な線維性間質を有し,ヒアルロン酸の著明な蓄積を伴っている.したがって,ヒアルロン酸は膵癌の治療標的として注目されている.これまでにヒアルロン酸を標的にした膵癌の治療戦略として,①ヒアルロン酸産生の阻害,②ヒアルロン酸シグナル伝達経路の阻害,および③間質のヒアルロン酸除去といったアプローチ法が報告されている.中でも,ヒアルロン酸を分解する酵素製剤であるPEGPH20は,ゲムシタビンをはじめとした化学療法の効果を高めることが証明され,米国での臨床試験においても有望な結果が報告されつつある.本論文では膵癌の進展におけるヒアルロン酸の役割に関する最新の知見およびヒアルロン酸をターゲットにした治療戦略について概説する.
原著
  • 秋元 悠, 加藤 博也, 原田 亮, 内田 大輔, 關 博之, 友田 健, 松本 和幸, 山本 直樹, 堀口 繁, 堤 康一郎, 室 信一郎 ...
    2016 年 31 巻 2 号 p. 135-144
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2016/04/29
    ジャーナル フリー
    当院および当院関連施設における膵Solid pseudopapillary neoplasm(以下,SPN)20例の臨床病理学的特徴につき,男女別に比較検討を行った.男性は4例(20%),女性は16例(80%)であった.男性の年齢中央値は39歳と女性(年齢中央値29歳)より年齢が高い傾向にあり,男性が全例無症状であったのに対して女性では約半数で腹痛を認めた.画像所見は,男性で嚢胞を伴う症例が1例(25%),石灰化を認める症例が1例(25%)であったのに対して,女性では嚢胞を伴う症例が13例(81%),石灰化を認める症例が8例(50%)であった.FNAの正診率は男性で50%であったのに対して女性では92%であった.男性1例女性1例で血管浸潤を認めたが,リンパ節転移や遠隔転移は男女ともに認めなかった.全例で術後無再発生存しており男女間で臨床経過に差を認めなかった.
症例報告
  • 森 治樹, 金岡 祐次, 前田 敦行, 高山 祐一, 深見 保之, 尾上 俊介
    2016 年 31 巻 2 号 p. 145-149
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2016/04/29
    ジャーナル フリー
    症例は24歳男性.繰り返す意識消失発作で救急搬送され,著明な低血糖を認めた.CTおよびMRIにて膵尾部に11cm大の内部不均一で充実性成分を伴う巨大な腫瘤を認めた.精査の結果,インスリノーマと診断し,腹腔鏡下膵体尾部切除を施行した.病理組織学的には腫瘍の広範囲でインスリン産生性を示し,一部でグルカゴン産生を示す領域が確認され,グルカゴン産生成分を伴う膵インスリノーマと診断した.術後3年2か月経過した現在,無再発生存中である.本例のようにインスリノーマにグルカゴン産生成分を伴い,かつ腫瘍径が11cm大の症例は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 南出 竜典, 和田 将弥, 谷口 洋平, 福島 政司, 森田 周子, 占野 尚人, 井上 聡子, 鄭 浩柄, 杉之下 与志樹, 今井 幸弘, ...
    2016 年 31 巻 2 号 p. 150-157
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2016/04/29
    ジャーナル フリー
    症例は19歳女性.発汗過多,高血圧を主訴に当院を受診し,精査の結果両側副腎褐色細胞腫だけでなく多発する膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor;PNET)を認めた.多臓器腫瘍,家族歴を踏まえてvon Hippel-Lindau病(VHL病)の診断に至った.膵病変に対しては,膵機能温存の観点から膵全摘を回避し,膵体尾部切除術,膵頭部腫瘍核出術を施行した.病理組織学的検討では,切除標本内に術前に指摘しえたPNETに加えて複数のPNETが認められたが,これらは病変サイズが小さいことからも診断困難であったと考えられる.VHL病においては,膵病変を含めて同時性・異時性に腫瘍が多発しうることに留意し,慎重な術式選択,経過観察が重要である.
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