症例は54歳女性で,左乳癌の術後でホルモン治療中であった.経過観察中のCTにて膵尾部に嚢胞性病変が出現し,1年間で急激な増大を認めたため,膵腫瘍性嚢胞を否定できず膵体尾部切除術を施行した.切除断端の術中迅速病理診断にて腺癌が検出されたため,追加切除を施行され完全切除となった.
膵尾部嚢胞はEpidermoid Cystと診断された.1回目の切除断端には微小浸潤癌,その周囲には膵上皮内腫瘍性病変(PanIN)が数か所認められた.これらは術前に造影CT,超音波内視鏡(EUS),MRCP,PET-CTを施行していたが,指摘不能であった.画像と病理像の詳細な対比を行ったところ,MRCPでは病変の部位に一致して極僅かな膵管の不整と,EUSでは微小な低エコー領域を指摘可能であった.本症例における微細な画像変化は,今後の早期診断に有用な所見と考えられた.
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