膵臓
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原著
  • 新田 挙助, 渡邉 雄介, 奥田 翔, 遠藤 翔, 小薗 真吾, 植田 圭二郎, 水内 祐介, 末原 伸泰, 阿部 祐治, 西原 一善, 中 ...
    2019 年 34 巻 5 号 p. 195-205
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    【目的】80歳以上の高齢膵癌患者に対する膵切除術の短期・長期成績の検討.【対象と方法】膵癌切除141例を後ろ向きに検討し,80歳以上群(n=17)と未満群(n=124)を比較した.【結果】80歳以上群は未満群と比較して有意に併存疾患頻度が高く,パフォーマンスステータス(PS)は不良であったが,米国麻酔科学会術前状態分類(ASA-PS)は2群間に差を認めず,80歳以上群の82%はEastern Cooperative Oncology Group performance status(ECOG-PS)が1以下であった.術後合併症や在院日数は2群間で差を認めず,周術期死亡例はなかった.単変量解析では無再発生存期間(RFS),全生存期間(OS)ともに2群間に差を認めず,多変量解析では,80歳以上であることはRFS,OSに関する独立したリスク因子ではなかった.【結論】PSやASA-PSを参考に手術適応を判断することで,80歳以上の高齢膵癌患者に対しても膵切除術は安全に施行可能であり,長期成績も非高齢者と同等であった.

  • 古川 正幸, 杉本 理恵, 久野 晃聖, 橋本 理沙, 安森 翔, 野口 達矢
    2019 年 34 巻 5 号 p. 206-213
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    腹部超音波,造影CT,MRCPを用いて行なった膵がんドックを受診された92症例を検討した.受診者の概要は,男性58例,女性34例,年齢の中央値が62.5歳(33~86歳),県外からの受診が14%であった.「膵がんの家族歴」を動機として受診した方が37%と多かった.胆あるいは膵に異常を認めた症例は66%を占め,診断された悪性腫瘍は,膵神経内分泌腫瘍,胆嚢がん,腎細胞がん再発の3例で,膵がんは認めなかった.膵病変の検出率に関しては,MRCPが概して優っていた.膵がんの家族歴を認めた症例では,年齢中央値が54歳と若く,他のリスクファクターでは,喫煙歴,糖尿病,膵炎の既往などは少ない傾向にあった.「膵癌に罹患した2名以上の第一度近親者がいる家系」からの受診者は2家系2症例で,それぞれ慢性膵炎と膵管癒合不全が認められた.ハイリスク群に対するサーベイランス構築に向け,この結果が役立つことを願う.

症例報告
  • 小橋 優子, 松井 淳一, 瀧川 穣, 財部 紗基子, 矢ケ部 浩之, 佐々木 文
    2019 年 34 巻 5 号 p. 214-221
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    症例は74歳,女性.他院の腹部超音波検査(ultrasonography:US)で胆嚢周囲の腫瘍性病変を指摘されて当院消化器内科へ紹介受診となった.CTおよびMRIで膵頭部の腹側に造影早期に濃染する楕円形腫瘤を認め,神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)のリンパ節転移が疑われた.EUS-FNA下穿刺吸引細胞診によってもNETが疑われた.ソマトスタチン受容体シンチグラフィー(somatostatin receptor scintigraphy:SRS)で腫瘍に一致した集積を認めた.血清膵ホルモン値は正常範囲内であった.非機能性NETのリンパ節転移を最も考えたが膵十二指腸に原発巣と思われる病変は術前に同定出来なかった.開腹により膵十二指腸に病変がないことを確認し腫瘍切除術が施行され傍神経節腫(paraganglioma:PG)と病理診断された.腫瘍が膵頭部前方という稀な部位に存在し,膵十二指腸NETのリンパ節転移と酷似していること,EUS-FNAでの生検検体で両者の鑑別がしきれなかったこと,非機能性のPGであったことなどが術前診断を困難にしたと考えられた.

  • 藤本 武利, 加藤 洋, 小原 邦彦, 煎本 正博
    2019 年 34 巻 5 号 p. 222-231
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    膵腺扁平上皮癌は予後不良とされるが,術後補助化学療法を施行せず5年以上生存中の特異な1例を認めたので報告する.症例は60歳男性.軽度の左下腹部痛を主訴に来院した.CA19-9(232U/ml),SPan-1(96U/ml)の上昇を認めたが,SCC抗原は正常内であった.腹部超音波検査上,膵尾部に4×3×3cm大の楕円体低エコー腫瘤を認め,辺縁は充実性で内部が嚢胞変性を示した.Dynamic CTの門脈相~遅延相で病巣辺縁充実部が軽度濃染した.MRI/MRCPで膵尾部に径2cmの嚢胞部がみられ,内部の壁在小結節と尾側主膵管の拡張を伴っていた.開腹し,リンパ節郭清を伴う膵体尾部切除術を行った.病理組織学的診断は,腺扁平上皮癌(T2N0M0 Stage IB)であった.腫瘤は厚い偽被膜に包まれており,多くが中心壊死による空洞を伴う扁平上皮癌成分から成っていた.腺癌成分は腫瘤の一部と隣接膵の膵管内にあり,carcinoma in situ(CIS)成分が目立った.術後17年経過して再発徴候はなく健存である.

  • 室屋 大輔, 谷脇 慎一, 小嶋 聡生, 新井 相一郎, 名嘉眞 陽平, 北里 雄平, 久下 亨, 安永 昌史, 岡部 正之
    2019 年 34 巻 5 号 p. 232-238
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome:TLS)は,腫瘍の急速な破壊により細胞内容物が大量に血中に放出されることで惹起される致死的な代謝異常である.また,悪性腫瘍に合併する播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC)は病態の予後を大きく左右し,腫瘍細胞・組織の崩壊に伴う凝固促進物質の血中への放出がその一因とされる.症例は74歳,男性で,肝転移を伴う切除不能膵癌の診断でゲムシタビン塩酸塩・ナブパクリタキセル療法を施行した.投与後3日目に呼吸苦で受診し,肝機能障害,高尿酸血症,高カリウム血症,血小板減少および血液凝固異常を認めた.TLSおよびDICと診断し,入院加療を行ったが7日目に死亡した.DICとTLSを併発した膵癌の報告は極めて稀であり,文献的考察を含めて報告する.

  • 小澤 真希子, 渡邉 貴之, 芦原 典宏, 倉石 康弘, 中村 晃, 金井 圭太, 松本 有機, 小林 実喜子, 田中 榮司
    2019 年 34 巻 5 号 p. 239-246
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    症例は68歳,女性.2009年にIgG4関連涙腺・唾液腺炎と診断され2011年にステロイドを導入し症状が改善したため中止となり,2017年7月に血清IgG4上昇を指摘された.CTで膵尾部に類円形で周囲に遅延性濃染を伴う嚢胞を認めた.MRI T1強調像で嚢胞内部は低信号,周囲は膵実質よりも軽度低信号を呈し,T2強調像で内部は高信号,周囲は低信号を呈していた.超音波内視鏡で嚢胞と膵実質の間に一層の低エコーを認め膵管造影で嚢胞と主膵管に交通はなかった.粘液性嚢胞腫瘍,嚢胞変性を伴った膵神経内分泌腫瘍を考え腹腔鏡下膵体尾部切除を施行した.病理組織学所見で嚢胞周囲に炎症細胞浸潤と線維化を認め,炎症細胞の多くはIgG4陽性細胞であり自己免疫性膵炎と診断した.嚢胞周囲の限局型自己免疫性膵炎で他疾患との鑑別は困難であったが,IgG4関連疾患の既往からステロイド投与を検討すべきであった1例を経験したので報告する.

  • 高岡 雄大, 明石 哲郎, 高松 悠, 佐々木 将, 野田 律矢, 市野 功, 関口 直孝, 落合 利彰, 藤森 尚, 大野 隆真, 小川 ...
    2019 年 34 巻 5 号 p. 247-253
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    症例は42歳,男性.20XX年アルコール性急性膵炎に対し前医で保存的加療を行ったが,症状改善せず,歩行困難となったため,当院へ転院となった.予後因子6点,造影CT Grade 2の重症急性膵炎と診断した.また,CK,Cre,LDH,ミオグロビンは高値であることから,横紋筋融解症,急性腎不全の合併を認めた.保存的加療を開始するも全身状態の改善が乏しかったため,持続血液濾過透析を中心とする集学的治療にて上記の改善を認めた.リハビリテーションを行った後,第37病日当院退院となった.重症急性膵炎に横紋筋融解症,急性腎不全を合併した場合の成因はアルコールが考えられ,また合併例は予後が不良である可能性があり,早急かつ積極的な集学的治療が必要であると考えられた.

  • 谷川 朋弘, 浦田 矩代, 中村 純, 笹井 貴子, 川中 美和, 高岡 宗徳, 浦上 淳, 物部 泰昌, 河本 博文
    2019 年 34 巻 5 号 p. 254-261
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    症例は70歳代女性,前医のCTで膵体部に嚢胞性病変を認めたため精査目的で紹介となった.血液検査で腫瘍マーカーは正常域であり,CTで嚢胞性病変の尾側に遅延性に造影される10mm大の腫瘤像を認め,EUSでは腫瘤像の周囲に少量の液体貯留を認めた.約17か月の経過観察中,画像上明らかな変化は認めなかった.しかし鑑別に苦慮したため,確定診断目的にEUS-FNAを施行したところ,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の診断であった.膵体尾部切除を施行したところ,病理組織は嚢胞内に充満するように発育した胃型形質を示す分枝型IPMNで,悪性所見はみられなかった.術前の画像所見に一致する所見であったものの,典型的な分枝型IPMNとは異なる形態を示していた.今回,非典型的な画像所見を呈し,術前の鑑別診断に苦慮した胃型粘液形質を示す分枝型IPMNを経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.

  • 髙橋 誠, 羽鳥 隆, 首村 智久, 加藤 厚, 池田 佳史, 似鳥 修弘, 加藤 亜裕, 中太 淳平, 宮崎 勝, 大塚 将之
    2019 年 34 巻 5 号 p. 262-269
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    症例は40代女性.膵尾部に10mm大の単房性嚢胞性病変を指摘され,経過観察となった.24ヶ月後,嚢胞性病変は増大し多房性となり,内部に明瞭な石灰化を認め,30ヶ月後に当科受診紹介となった.造影CTでは,嚢胞成分が減少し病変全体は縮小したが,内部に若干の造影効果を伴う充実成分を認めた.膵実質への浸潤所見は認めなかったことから,腹腔鏡下尾側膵切除術を施行した.病理組織所見では,異型の乏しい嚢胞上皮下にプロゲステロンレセプター,エストロゲンレセプター陽性の卵巣様間質を認め,膵粘液性嚢胞腺腫(mucinous cystadenoma:MCA)と診断したが,cyst in cyst様の所見を認めず,共通の被膜様構造も認めなかったことから,膵粘液性嚢胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm:MCN)の発育過程を考える上で興味ある症例と考えられた.また,腫瘍は主膵管に近接し,両者の交通を示唆するような膵管の介在を認めたことから,両者の交通が推測され,このことが腫瘍が縮小した一因と考えられた.

  • 益子 太郎, 田島 康平, 矢澤 直樹, 増岡 義人, 中郡 聡夫
    2019 年 34 巻 5 号 p. 270-278
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    症例は67歳,男性.上部消化管造影検査で異常を指摘され,前医受診.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部から十二指腸下行脚にかけてType 3病変を認め,生検で低分化腺癌と診断された.腹部造影CT検査で前庭部,十二指腸,膵頭部に一塊となった境界不明瞭な腫瘍を認め,門脈腫瘍栓もあり,切除不能十二指腸癌と診断され,S-1+Oxaliplatin(SOX)療法を6コース施行された.終了後のCT検査で腫瘍と門脈腫瘍栓の縮小を認め,切除可能と診断され当院紹介となり,膵頭十二指腸切除,門脈合併切除を施行した.最終病理組織診断は膵腺房細胞癌の十二指腸浸潤であった.切除後4ヶ月で肝門部局所再発を認め,加療開始後13ヶ月現在,再発生存中である.現在膵腺房細胞癌の確立された化学療法のレジメンはない.今回,我々はSOX療法後に縮小して切除し得た切除不能膵腺房細胞癌の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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