膵臓
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35 巻 , 6 号
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追悼企画
ガイドライン
原著
  • 佐藤 英昭, 石田 晶玄, 元井 冬彦, 大塚 英郎, 水間 正道, 林 洋毅, 森川 孝則, 中川 圭, 正宗 淳, 内藤 剛, 亀井 尚 ...
    2020 年 35 巻 6 号 p. 551-558
    発行日: 2020/12/28
    公開日: 2020/12/28
    ジャーナル 認証あり

    背景:慢性膵炎は内科治療が困難な際に手術適応があるが,その至適時期については,明らかにされていない.

    目的:慢性膵炎手術症例において術前の有病期間と術後成績を解析し,手術の至適時期を検討する.

    方法:2005年1月~2016年4月に当科で慢性膵炎に対し,膵管ドレナージ術を施行した50症例を,発症から手術までの期間が5年未満の早期群と5年以上の晩期群に分け,その成績を検討した.

    結果:患者背景,手術成績,周術期成績は両群間で有意差は認めなかった.疼痛は両群ともに有意に改善した.手術前後で栄養状態は両群ともに改善を認め,両群間で有意差は認めなかった.新規の糖尿病や膵癌発症は認めなかった.

    結論:膵管ドレナージ術は罹患期間に関わらず有用であった.手術成績に差がないことから,内科的治療に抵抗性となった場合,早期手術は有病期間を減じ,QOLを改善することが可能と思われる.

症例報告
  • 福家 拓郎, 須藤 広誠, 西浦 文平, 伊吹 英美, 鎌田 英紀, 岡野 圭一, 臼杵 尚志, 鈴木 康之
    2020 年 35 巻 6 号 p. 559-567
    発行日: 2020/12/28
    公開日: 2020/12/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は83歳の男性.血清アミラーゼ値の上昇を認めたため,腹部造影CTを施行した.膵鈎部に40mm大の内部不均一な造影効果を伴う腫瘤性病変を認めEUS-FNAでsolid pseudopapillary neoplasm(SPN)が強く疑われたが鑑別診断として腺房細胞腫瘍の可能性も考慮し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術ならびに領域リンパ節郭清を施行した.切除標本の肉眼所見としては境界やや不明瞭で内部に出血,嚢胞性変化や壊死を伴っていた.病理組織学的に腫瘍細胞の偽乳頭状所見,充実性増殖所見を認めた.免疫組織学的にβ-catenin,vimentinは陽性,chromograninは陰性であった.以上よりSPNと最終診断した.現在術後2年を経過し,無再発生存中である.男性SPNは稀であり,また80歳を超える高齢男性に認めた報告はない.文献上記録すべき症例として報告する.

  • 吉住 有人, 羽鳥 隆, 宮崎 勝, 板野 理, 加藤 厚, 今井 俊一, 樋口 肇, 相田 真介
    2020 年 35 巻 6 号 p. 568-574
    発行日: 2020/12/28
    公開日: 2020/12/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は70歳代,男性.検診で血清エラスターゼ1の高値,主膵管拡張を指摘され,精査加療目的に当科紹介となった.Dynamic CTおよびMRIで淡く不均一に造影される20mm大の腫瘤を膵鉤部に認め,通常型膵癌,膵腺房細胞癌,膵神経内分泌腫瘍などを鑑別診断として考え,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理検査では狭窄部の主膵管にクロマチンの増量を伴った核腫大と乳頭状増殖を認めた.膵管外への浸潤は認めず,高異型度膵上皮性腫瘍性病変(high-grade PanIN)と診断された.CTで認めた腫瘤は腫瘍周囲の脂肪組織の侵入と腺房の萎縮・著明な線維化であった.術後経過は良好で20日目に退院,血清エラスターゼ1は基準値となった.早期の膵癌の特徴として限局性の脂肪変性や膵実質の萎縮が指摘されており,本例における脂肪組織の侵入と腺房の萎縮・著明な線維化による腫瘤形成との関連も含め,文献的考察を加えて報告する.

  • 中村 直人, 甲津 卓実, 松林 潤, 中山 雄介, 北口 和彦, 浦 克明, 豊田 英治, 大江 秀明, 廣瀬 哲朗, 白瀬 智之, 土井 ...
    2020 年 35 巻 6 号 p. 575-582
    発行日: 2020/12/28
    公開日: 2020/12/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は59歳女性.人間ドックで嚢胞性膵病変を指摘され当院へ紹介された.腹部造影CTで膵尾部に50×30mmの多房性嚢胞性病変を認めた.中心部の嚢胞には早期相で濃染する充実成分を認め,周囲をより大きな嚢胞が取り囲む分葉状形態をとっていた.MRIではT2強調画像で高信号を呈する多嚢胞性病変として描出された.EUSでは嚢胞内結節,蜂巣状構造を認め,ERPにより主膵管と交通する嚢胞を認めた.膵液細胞診はClass IIであった.以上よりSCN(microcystic type)あるいはIPMN(gastric type),またその併存の術前診断のもと,膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的検査はSCNとIPMNの併存であった.本例は異なった種類の嚢胞性腫瘍が隣接併存した非常に稀な症例と考えられた.嚢胞性膵腫瘍の診療では異なる腫瘍の併存も念頭におき,精度の高い診断と適切な治療を行うことが肝要である.

  • 與那嶺 圭輔, 越田 真介, 菅野 良秀, 小川 貴央, 枡 かおり, 楠瀬 寛顕, 酒井 利隆, 宮本 和明, 村林 桃士, 小堺 史郷, ...
    2020 年 35 巻 6 号 p. 583-591
    発行日: 2020/12/28
    公開日: 2020/12/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は47歳,男性.他院健診の腹部超音波にて脾門近傍に腫瘤性病変を指摘され当院紹介となった.造影CT検査では膵尾部に15mm大の内部に点状の石灰化を伴う遅延性濃染を示す腫瘤を認めた.MRIではT1WIでやや低信号,T2WIでやや高信号を示した.EUSでは内部を中心として大部分が高エコー,周囲が低エコーを示す腫瘤を認めた.超音波内視鏡下穿刺吸引法を施行し,HE染色では偽乳頭状構造を認めたが,免疫染色ではβ-カテニンは核内陰性でsolid-pseudopapillaly neoplasm(SPN)の確定診断には至らなかった.手術を施行し,切除病理組織ではβ-カテニンは核内陽性であったため,SPNと最終診断した.SPNは若い女性に好発する比較的まれな膵腫瘍であり,典型例では厚い線維性被膜を有する球形腫瘍で,充実部分と嚢胞部分が共存することが多く,超音波では内部は不均一となる.今回我々は超音波画像で高エコー主体の腫瘤像を示し,鑑別に苦慮した小型SPNの1例を経験したので報告する.

  • 砂子阪 肇, 宇都宮 まなみ, 川瀬 翔太郎, 田邉 陽邦, 清水 吉晃, 川崎 梓, 内藤 慶英, 波佐谷 兼慶, 海崎 泰治, 青柳 裕 ...
    2020 年 35 巻 6 号 p. 592-600
    発行日: 2020/12/28
    公開日: 2020/12/28
    ジャーナル 認証あり

    症例40代,女性.不正性器出血を主訴に受診.婦人科領域に腫瘍や妊娠所見は認めず,造影CTにて膵,肺,肝および腰椎に多発腫瘍を認めた.膵腫瘍は造影早期相で低吸収,平衡相で淡く造影される海綿構造様腫瘍で,内部に結節性の強い濃染を伴うものも散在した.腰椎病変組織より絨毛癌多臓器転移と診断し,EMA/CO療法を開始した.経過中,腫瘍内結節性濃染部に一致して腫瘍性膵動脈瘤が形成され,コイル塞栓術を施行し化学療法を継続した.EMA/CO療法継続にて血中hCGは感度以下となり,膵および多臓器病変と膵動脈瘤も消失し完全寛解が得られた.絨毛癌の膵転移は稀ではあるが腫瘍性動脈瘤を形成することがある.造影CT/MRI早期相において,絨毛癌膵転移病変内に強い造影効果を伴う領域を認めた場合には膵動脈瘤の萌芽を念頭に置き,膵動脈瘤形成時には処置適応を検討しつつ積極的に化学療法を導入,継続すべきと考えられた.

  • 石井 政嗣, 奥脇 興介, 山岸 徳子, 星川 竜彦, 中村 威, 次田 正, 仲丸 誠
    2020 年 35 巻 6 号 p. 601-606
    発行日: 2020/12/28
    公開日: 2020/12/28
    ジャーナル 認証あり

    症例1は50代男性,遠位胆管癌に対し,膵頭十二指腸切除術が施行された.術後19か月に発熱,肝機能異常があり,受診した.DIC-CTでは左肝管に造影欠損像がみられ,結石が疑われた.禁食,抗菌薬投与で軽快し,他院にて小腸内視鏡を使用し採石,更に迷入したロストチューブを抜去した.症例2は50代女性,IPMAに対して,膵頭十二指腸切除術が施行された.術後6か月に心窩部痛で受診した.腹部造影CTでは膵管内にロストチューブ,膵腫大を認め,更に周囲に炎症を認めた.禁食,蛋白分解酵素阻害薬投与により軽快したが,同様の症状を繰り返すことから,ロストチューブによる流出障害と考えた.他院にて小腸内視鏡を使用し,ロストチューブの抜去を行った.我々の経験ではロストチューブは時に晩期合併症を引き起こすことがある.膵頭十二指腸切除術ではロストチューブの使用が大半を占めるが,この様な合併症への配慮も必要と考えられる.

  • 黒木 直美, 井上 陽介, 野村 亮介, 髙橋 祐
    2020 年 35 巻 6 号 p. 607-614
    発行日: 2020/12/28
    公開日: 2020/12/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は81歳女性で心窩部痛を主訴に発覚した膵頭部腫瘤である.造影CT検査上,中心部造影効果不良で辺縁が淡く造影される1.5cm大の膵頭部腫瘤を認めた.切除可能膵頭部癌の術前診断の下,亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行.病理所見では悪性所見なく,膵頭部黄色肉芽腫性炎症性腫瘤の診断であった.黄色肉芽腫は泡沫状組織球を主体とし,様々な炎症性細胞の浸潤,肉芽形成,線維組織増生を特徴とする炎症性病変である.胆嚢に発症するものが大半を占め,膵臓での報告は非常に稀である.本症例は膵頭部癌を第一に疑い切除を行ったが,膵頭部原発の黄色肉芽腫性炎症性腫瘤であった.既報をまとめると,年齢中央値は60歳,男:女=21:6,大きさ中央値2.9(1.5~14.5)cm,初発症状は腹痛が19例,術前診断は膵癌が13例と最も多かった.本疾患に典型的画像所見は確立されておらず,術前に膵癌との鑑別は非常に困難であるといえる.

  • 山中 雅也, 杉本 博行
    2020 年 35 巻 6 号 p. 615-621
    発行日: 2020/12/28
    公開日: 2020/12/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は54歳男性.膵体部癌に対する脾合併膵体尾部切除後の局所再々発および遠隔転移の2次治療としてoxaliplatin・irinotecan・fluorouracil・levofolinate calcium併用療法(以下,FOLFIRINOX)を施行中であった.4コース目施行中,全身の水疱と腹痛,背部痛を主訴に緊急受診した.水疱を伴う皮膚所見より水痘と診断した.入院後に発熱と肝障害,意識障害が出現し髄液検査で水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus:VZV)―PCRが陽性であったことから,播種性VZV感染症と診断した.抗ウイルス療法とステロイド薬の投与,血小板輸血,γグロブリン製剤等の支持療法で救命し得た.本症例のように固形癌に対する化学療法中の重症水痘の報告は稀である.膵癌では強力な化学療法が行われるようになり,水痘感染が重症化し得ることを念頭において治療をする必要がある.

  • 菅原 元, 久留宮 康浩, 水野 敬輔, 世古口 英, 井上 昌也, 加藤 健宏, 秋田 直宏, 南 貴之
    2020 年 35 巻 6 号 p. 622-629
    発行日: 2020/12/28
    公開日: 2020/12/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は77歳男性.69歳時に膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に対し,他院で膵尾部切除+脾摘出術を施行されている.術後1,2年目CT検査では異常所見を認めず,術後5年目CT検査で,主膵管は拡張し多発する嚢胞性病変を認めた.IPMN異時性再発を疑い,手術適応と診断したが,患者の希望により経過観察とした.術後6,7年目CT検査では嚢胞性病変の増大を認めた.術後8年目CT検査で嚢胞性病変はさらに増大し,超音波内視鏡検査で膵体部に壁在結節を認め,残膵全摘を施行した.術後経過は良好で第28病日に退院した.病理組織学的にはIPMN high-grade dysplasiaであり,前回病変との連続性はなく,多中心性発生による異時性再発と診断した.IPMN切除後,異時性再発に対し手術適応と診断してから3年間画像検査をもとに経過観察したことが本症例の特徴であり報告する.

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