膵臓
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36 巻 , 2 号
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学会報告
原著
  • 高田 良司, 池澤 賢治, 清田 良介, 今井 俊裕, 阿部 友太朗, 甲斐 優吾, 山井 琢陽, 福武 伸康, 上原 宏之, 蘆田 玲子, ...
    2021 年 36 巻 2 号 p. 120-127
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル 認証あり

    【背景】標準治療が無効となった高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する固形癌に対してペムブロリズマブが2018年12月に日本で保険承認されたが,希少であるため日本におけるMSI-H膵癌の報告は少ない.【方法】当院でMSI検査を行った切除不能膵癌184例の結果とMSI-H膵癌に対するペムブロリズマブの成績について後方視的に検討した.【結果】MSI-Hは4例(2.2%)に認め,3例に対してペムブロリズマブの投与が行われた.1例においてPRが得られ,同症例はG-CSF産生腫瘍であった.【結語】当院におけるMSI-H膵癌の頻度は2.2%と既報とほぼ同等であった.MSI-H膵癌に対するペムブロリズマブは生存期間の延長に寄与しうることから,MSI検査およびMSI-H症例に対するペムブロリズマブ療法は積極的に行うことが望ましいと考えられた.

症例報告
  • 白井 大介, 村田 哲洋, 清水 貞利, 高台 真太郎, 三浦 光太郎, 金沢 景繁
    2021 年 36 巻 2 号 p. 128-134
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル 認証あり

    症例は78歳,女性.近医にて膵頭部腫瘤を指摘された.前医での造影CT検査にて膵鉤状突起に30mm大の強く造影される腫瘤を認め,超音波内視鏡下針生検にて膵神経内分泌腫瘍と診断され,手術目的に当院紹介となった.膵頭十二指腸切除術を施行する際,門脈直上で膵切離し,腫瘍を含めた膵鉤状突起を門脈から剥離していくと膵は門脈左背側から膵体部に癒合することが確認され門脈輪状膵と診断した.門脈背側の膵は自動縫合器で離断し,主膵管が走行する腹側の膵は膵空腸吻合を施行した.術後合併症はなく術後17日目に退院となった.術前CTを再検討しても膵鉤状突起に腫瘍があるため,門脈輪状膵を指摘することは困難であった.門脈輪状膵は非常に稀な膵形態異常であるが,膵切除の際は術後膵液瘻発生のリスクとなり注意が必要である.術前診断が困難な場合もあり,普段から門脈輪状膵の形態異常を念頭におき手術に臨むことが重要と考えられた.

  • 赤羽根 綾香, 元井 冬彦, 渡邊 利広, 高橋 利真, 安次富 裕哉, 高橋 良輔, 蘆野 光樹, 菅原 秀一郎, 樺澤 崇允
    2021 年 36 巻 2 号 p. 135-141
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル 認証あり

    症例は40歳代,男性.3年前に淡明細胞型腎細胞癌に対し左腎摘出術が施行された.残存する肺転移に対する化学療法が開始されたが,術後2年以降に急性膵炎を3回繰り返した.CTで膵尾部に径20mm大の腫瘤性病変が3ヶ所認められ,膵周囲の局所再発が膵炎の原因と考えられた.治療継続のために膵炎制御が必要であり,脾合併膵体尾部切除を施行した.組織学的には淡明細胞型腎細胞癌の局所再発に矛盾しない所見であった.腫瘍は主膵管内を塞栓状に進展しており,尾側膵には慢性炎症像を伴っていた.以上から,繰り返す膵炎は腫瘍による主膵管閉塞が原因と考えられた.腎細胞癌はしばしば下大静脈内へ進展する特徴的な臨床像を呈するが,本症例での主膵管内進展では,被膜形成などの病理学的特徴は認めなかった.本症例では膵炎制御により原発巣の治療を再開・継続することができ,局所再発切除の相対的適応の意義があると考えられた.

  • 髙橋 礼, 笹沼 英紀, 池田 恵理子, 三木 厚, 森嶋 計, 吉田 淳, 遠藤 和洋, 佐久間 康成, 堀江 久永, 細谷 好則, 北山 ...
    2021 年 36 巻 2 号 p. 142-149
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル 認証あり

    症例は37歳,女性.25歳で偶発的に膵体尾部に嚢胞性病変を指摘され,精査目的に当院消化器内科に紹介された.腹部造影CTとMRI検査では膵尾部に約5cmの嚢胞性腫瘤を認め膵粘液性嚢胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm:MCN)が疑われたが,経過観察の方針となった.32歳時の第2子妊娠を契機に経過観察が一時中断となり,5年後の37歳に再診した.嚢胞性腫瘤は多房化し,大きさ6cmへの増大を認め,血清CA19-9の上昇を伴ったことから手術目的に消化器外科紹介となった.腹腔鏡下膵体尾部脾摘術を施行し,術後経過は良好で術後11日目に退院した.病理組織像では卵巣様間質を認め,微小浸潤を伴った膵粘液性嚢胞腺癌の診断であった.MCNの自然史を解明するには長期経過観察例の集積が必要である.

  • 津山 高典, 戒能 聖治, 藤本 祐子, 天野 彰吾, 播磨 博文, 末永 成之, 戒能 美雪, 坂井田 功
    2021 年 36 巻 2 号 p. 150-157
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル 認証あり

    症例は33歳男性.上腹部痛を主訴に前医へ入院となった.血液検査,造影CTで急性膵炎と診断された.血清トリグリセリド(triglyceride:TG)値6,225mg/dlと著明高値であることから,高TG血症が膵炎の成因と考えられた.入院翌日に膵炎の増悪が疑われ,集学的治療目的に当院へ転院となった.同日より膵局所動注療法を開始し,高TG血症に対してLDLアフェレシスを施行した.施行後,血清TG値は479mg/dlまで低下を認めた.臨床症状,血液検査所見は改善傾向となり,第5病日に膵局所動注療法を終了した.膵炎の増悪や合併症は認めず,第21病日に退院となった.高TG血症による急性膵炎に対しては膵炎の標準治療と並行して速やかに血清TG値を低下させることが有用である可能性がある.LDLアフェレシスは脂質のみを選択的に吸着・除去することが可能であり,副作用の発現頻度も少ないため,安全性に優れた有用な治療法と考えられた.

  • 坂本 明優, 船水 尚武, 岩田 みく, 永岡 智之, 田村 圭, 坂元 克考, 高井 昭洋, 小川 晃平, 高田 泰次
    2021 年 36 巻 2 号 p. 158-162
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル 認証あり

    症例は76歳,女性.17ヶ月前に膵癌(fStage IV)に対して膵頭十二指腸切除術を受け,nab-パクリタキセルとゲムシタビン,その後S-1による化学療法を施行された.術後12ヶ月目のCTで腹膜播種を認め,マイクロサテライト不安定性(MSI)検査でMSI-highであったため,ペムブロリズマブ(PEM)を開始した.PEMの開始から5ヶ月後に食欲不振が出現し,血液検査で高血糖とケトン体の上昇を認め,PEMによる急性発症1型糖尿病,および糖尿病性ケトアシドーシスと診断した.補液とインスリン投与で軽快し,第24病日に退院した.近年,免疫チェックポイント阻害薬の適応の拡大に伴い,その副作用である免疫関連有害事象が報告されている.抗PD-1抗体による1型糖尿病の頻度は稀ではあるが,致死的となることがあり,迅速な対応とともに定期的な血糖測定が必要である.

  • 山根 秘我, 藤野 泰宏, 北濱 卓実, 毛利 康一, 吉田 俊彦, 山岸 農, 後藤 裕信, 大坪 大, 松本 拓, 柿木 啓太郎, 梶本 ...
    2021 年 36 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/04/30
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    症例は60歳代男性.遠位胆管癌に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除術施行.再発なく経過していたが,術後66ヶ月目に背部痛・体重減少を認め,近医で残膵に腫瘤を指摘され来院.CTで膵尾部に漸増性に不均一な造影効果を呈する30mm大の腫瘤あり.PET-CTにて同部位に異常集積あり.残膵癌の診断にて,残膵全摘術施行.病理組織では腺扁平上皮癌1病変と浸潤性膵管癌2病変を認めた.遠位胆管癌術後の残膵癌はこれまでに6例しか報告がなく,残膵に腺扁平上皮癌と膵管癌の同時性多重癌を認めた報告例はない.遠位胆管癌術後の残膵に腺扁平上皮癌及び浸潤性膵管癌を併発した同時性膵癌の非常に稀な1切除例を経験したので報告する.

  • 小川 智也, 良沢 昭銘, 水出 雅文, 谷坂 優樹, 藤田 曜, 鈴木 雅博, 野口 達矢, 勝田 景統, 永田 耕治, 川崎 朋範, 合 ...
    2021 年 36 巻 2 号 p. 169-176
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル 認証あり

    症例は65歳男性.検診で膵体部に腫瘤性病変を指摘され,精査加療目的で当院に紹介された.腹部造影CTで膵体部に動脈相で周囲膵組織より濃染される10mm×7mm大の腫瘤性病変を認め,病変近傍の主膵管狭窄および尾側の拡張を伴っていた.膵神経内分泌腫瘍(pNET)が疑われたが,主膵管の狭窄を伴う点が非典型的であり,超音波内視鏡下穿刺吸引術を施行した.病理結果はpNET G1であり,膵体尾部切除術が施行された.術後病理組織学的所見でchromogranin Aおよびsynaptophysinが陽性であったほか,serotoninが陽性であり,pNETと診断した.腫瘍は狭窄した主膵管を半周程度接して位置しており,腫瘍内部には強い線維化を認めた.膵管狭窄についてはserotoninの関与が疑われた.

  • 山田 翔, 寺田 卓郎, 野村 佳克, 三井 毅
    2021 年 36 巻 2 号 p. 177-187
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル 認証あり

    症例は70歳,男性.近医で急性膵炎にて入院加療.その後のMRIで膵尾部に腫瘤を認め,精査目的に当科に紹介.PET-CTで膵尾部の腫瘤に集積は認めず,病理診断も陰性であったため,良性病変と判断し,短期での経過観察とした.半年後の精査でも,膵尾部の腫瘤に大きな変化はなかった.1年後には膵尾部の腫瘤は緩徐に増大し,PET-CTでも軽度集積を認めたため,膵尾部癌疑いにて開腹膵体尾部脾臓合併切除術を施行した.術後病理診断は膵粘液癌pT2N0M0 Stage IBであった.

    急性膵炎発症であること,腫瘍マーカーは陰性で,EUS-FNAにより細胞診4回とERPでの膵液擦過細胞診1回,連続膵液細胞診2回の病理診断は全て陰性であったため,悪性と診断するのに苦慮した.膵粘液癌であることが悪性と診断する上でさらに難しくした症例であり,文献的考察を踏まえ報告する.

  • 田中 秀治, 今井 寿, 東 敏弥, 村瀬 勝俊, 酒々井 夏子, 田中 善宏, 奥村 直樹, 松橋 延壽, 高橋 孝夫, 吉田 和弘
    2021 年 36 巻 2 号 p. 188-194
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル 認証あり

    症例は68歳,男性.水腎症の精査中に膵腫瘍を指摘された.腹部CT検査では膵頭体部移行部に腫瘤を認め,門脈・脾動脈浸潤を伴うcT3 cN0 cM0 cStage IIA切除可能境界(borderline resectable:BR)膵癌(BR-PV)と診断し,術前化学療法ゲムシタビン+nab-パクリタキセル(GnP)療法を2コース施行した.治療効果判定では,原発巣が21%縮小し,CA19-9は正常化したため,脾動脈・門脈合併膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的診断はinvasive ductal carcinoma,ypT3 ypN1b M0 ypStage IIB,化学療法の効果判定はGrade 1bであった.術後補助化学療法S-1を6カ月施行するも,術後2年に門脈周囲局所再発を来し,GnP療法を再導入し,術後2年4カ月現在,生存中である.

  • 北見 智恵, 河内 保之, 五十嵐 俊彦, 牧野 成人, 西村 淳, 川原 聖佳子, 新国 恵也
    2021 年 36 巻 2 号 p. 195-201
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル 認証あり

    嚢胞変性を伴う膵神経内分泌腫瘍(PNET)は比較的まれである.今回われわれは単純性嚢胞を呈したPNETの1例を報告する.症例は61歳女性で,下腹部痛を主訴に受診した.CTで膵頭部に30mm大の単房性嚢胞腫瘤を認め,内部に結節は認めず,壁が尾側で造影された.嚢胞内部が単純CTで軽度高濃度,MRI T2強調画像で高信号,背側に液面形成あり,出血性変化が疑われた.EUSで嚢胞壁が2mmと軽度肥厚あり,ソナゾイドで壁が早期に造影された.以上から嚢胞型PNETの診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本は被膜を有する32mm大の単房性嚢胞で血性内容物を認めた.腫瘍細胞は免疫染色でchromogranin Aとsynaptophysin陽性,各種内分泌ホルモンは陰性,Ki67は2%未満でPNET,G1と診断された.

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