膵癌,とくに膵管癌は依然として予後不良であり,高リスク群の同定と早期診断体制の確立が重要である.近年,膵内脂肪沈着(intrapancreatic fat deposition:IPFD),いわゆる脂肪膵が膵発癌との関連で注目されている.観察研究では脂肪膵と膵癌リスク上昇との関連が報告されているが,因果関係は確立していない.基礎的研究からは脂肪関連炎症や微小環境変化が腫瘍進展に関与する可能性が示唆されているものの,その臨床的意義は十分に整理されていない.
脂肪膵は肥満や代謝異常と関連し,CTやMRIで評価可能であることから,将来的なリスク層別化の指標となり得る可能性がある.一方で,脂肪膵の改善が膵癌発生抑制につながることを示す前向き研究は存在しない.本稿では,臨床医の視点から脂肪膵と膵癌の関連を整理し,リスク評価への応用の可能性と今後の課題を概説する.
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