日本海水学会誌
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24 巻, 3 号
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  • 金属リン酸塩によるカリウムの採取 (第4報)
    松下 浩, 高柳 淑子
    1970 年 24 巻 3 号 p. 96-104
    発行日: 1970年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    縮合リン酸ジルコニウム (ZPP) と結晶性リン酸ジルコニウム (CZP) および非晶質のリン酸ジルコニウム (ZP) を使用してカリウムの選択性をしらべるための基礎試験と, カラム法による海水, かん水中のカリウム採取について検討した.
    1) 市販のトリポリリン酸ナトリウム, ピロリン酸ナトリウム, ヘキサメタリン酸ナトリウムと, NaH2PO4・2H2Oを550℃で3時間加熱したトリメタリン酸ナトリウム, および同様に650℃で加熱したトリメタリン酸ナトリウムとメタリン酸ナトリウム混合物, などとオキシ塩化ジルコニウムとの沈殿より縮合リン酸ジルコニウム交換体を調製した.
    2) ZPP交換体の最大置換容量は4~5meq/g・交換体, 中性溶液で1.3~2meq. ZP交換体は製造時のPO4/Zrモル比の増加とともに置換量も増加し, モル比が2.5: 1の時最大置換量は5meq, 中性溶液で1.9meq.
    3) 単独塩類溶液および海水, かん水いつれの場合も, ZP, ZPP交換体はカリウムの選択性がはつきり認められた.特にピロリン酸ナトリウムとヘキサメタリン酸ナトリウムとジルコニウムとの交換体は, いつれもカリウムの吸着量および選択性がすぐれている.
    4) CZPはカリウム選択性がみられない.
    5) 脱着液の濃度, 液量を変えることによりNa+とK+をさらに分離することができ, 純度の高いカリウム塩を採取できる.
    6) マグネシウム, カルシウム除去かん水の場合は, カリウム吸着量が14~17mg/g・交換体で, 普通のかん水の値 (9~10mg/g) にくらべ大きい.しかしアルカリを添加するとナトリウムを多量に吸着する.
  • イオン交換膜法による高温高濃度液の透析 (第1報)
    渡部 忠行, 畦地 昭二, 田中 良修, 永塚 敏, 柚木 法子
    1970 年 24 巻 3 号 p. 104-128
    発行日: 1970年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    多段フラツシユ法 (MSF法) 海水淡水化装置から排出されるかん水, または火力発電所のコンデンサーから排出される高温海水を電気透析法によつて濃縮した場合の有利性を検討するために小型装置を用いて海水および人工溶液の電気透析を行ない供給液濃度, 供給液温度, ならびに電流密度の濃縮成績に及ぼす影響を測定し, その結果を検討し, 次のような結論を得た.
    1. 高温海水を透析した場合, 次のような有利性が期待できた.
    (1) 供給液温度が高いのでセル電圧, 透析電力量が低減する.
    (2) 通常の海水透析に比べて水分解が起り難いのでスケール生成の危険性が減少する.
    (3)(2) の結果, 電流密度を増加させて最適値に近づけることができる.(現在, 通常の海水透析では水分解とそれに伴うスケール生成を防止するために最適電流密度以下での運転を余儀なくされている.)
    (4)(3) の結果, NaCl生産量は増加する.(このことはもしNaCl生産量を一定とするならば透析装置のスタツク数を縮少できることを意味する.)
    2 MSF装置から排出されるかん水のような高温高濃度液を透析すう場合には次のような有利性が期待できた.
    (1) 供給液の温度, 濃度が高いのでセル電圧, 透析電力量が減少する.
    (2) 水分解が起り難く, 2価イオン透過性が減少するのでスケール生成の危険性が減少する.
    (3)(2) の結果, 電流密度を増加させて最適値に近づけることができる.(MSF装置から排出されるかん水を透析する場合の最適電流密度は高温海水を透析する場合よりも高いと考えられる.)
    (4)(3) の結果, 濃縮液濃度, 量, およびNaCl生産量が増加する.
    (5) 濃縮液きる.このことはせんこうコストの低減をもたらす.
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