日本海水学会誌
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26 巻, 3 号
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  • イオン交換膜透析装置に関する試験 (第22報)
    畦地 昭二, 永塚 敏, 伊丹 良夫, 中静 素子
    1972 年 26 巻 3 号 p. 122-140
    発行日: 1972年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    膜群および膜セルの構造を合理化した有効膜面積115dm2・300対の水槽型電気透析装置を設計し, その特性を試験するため, 10000時間にわたる長期試験を実施した. 結果は次のとおりであつた.
    1) 改良した膜群構造, 膜セル構造には特に問風点は見出されず, 取扱いも容易であつた.
    2) かん水取出しの信頼性を高めるため, 膜セルの下端にかん水取出しホースを取付けた結果, 膜セル内にはかん水の滞留および空気泡の滞留はみられず, したがつてこれらの滞留に基因するトラブルは発生しなかつた.
    3) 電流密度3.5amp/dm2にて, NaClに対する脱塩率を30%に増大してもトラブルは発生しなかつた.
    4) 給液添加剤α液の添加により, 上記の運転条件の下で (Cl-Ca-Mg)(N)×100/Cl (N) で示した純塩率をほぼ95%以上に維持することができた. たとえば, 原料海水温度21~25℃, α 液の添加濃度0.15ppmのときの平均値は約95.5%, 原料海水温度約17℃, α 液の添加濃度0.2~0.3ppmのときの最大値は98.8%であつた.
  • イオン交換膜の選択処理に関する研究 (第6報) 給液添加剤による選択処理 (その2)
    畦地 昭二, 永塚 敏, 伊丹 良夫, 中静 素子
    1972 年 26 巻 3 号 p. 141-149
    発行日: 1972年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    陽イオン交換膜に, 2価陽イオン難透過性を与えるために給液に添加するα液の効果を, 膜セル数300対, 有効膜面積115dm2の水槽型装置により, 種々な運転条件のもとで試験した. 結果は次のとおりであつた.
    1) 給液へのα液の添加量が大きい程, 高い純塩率が得られた.
    2) 給液のpHを低下させると, 純塩率は直線的に増大した.
    3) 給液の脱塩率 (NaClの利用率) を増大すると, 純塩率はわずかに低下した.
    4) 脱塩室内に空気を吹込み溶液を攪拌しても, 純塩率への影響はわずかであつた.
    5) 膜面の付着物を除去すると, 純塩率が増大するのが認められた. また, セル電圧は減少した.
    6)(Cl-Ca-Mg)(N)×100/Cl (N) で表わした純塩率が95%以下のときは, 純塩率の増大に伴ないセル電圧が減少し, 95%以上のときはセル電圧はかえつて増大した.
    7) 脱塩室に0.1Nの塩酸液を循環して膜面を4~24時間程洗浄すると, α 液む効果が増大するのが認められた.
  • 越智 正, 岡市 友利
    1972 年 26 巻 3 号 p. 150-155
    発行日: 1972年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    瀬戸内海の海水中の溶存有機物を鉄共沈法により分離し, 共沈物の除鉄と分画をイオン交換樹脂で行ない, 回収有機物の化学的諸性質を検討した. その結果, 溶存有機炭素量1.16mg/lの供試海水100lから44%の有機炭素51mgを回収した. 回収有機物のC/N率は6.3~9.7の範囲にあり, 平均8であつた. ゲルろ過法により分子量分布を求めた結果は比較的低分子量のものが多く, 1,500以下のものが約50%, 10,000以上のものは21%にすぎなかつた. 赤外線吸収スペクトルからは中・酸性, 塩基性, および腐植酸区分に共通して水酸基, 芳香環の共役二重結合, アルカングループの存在が認められた. 炉紙電気泳動 (pH6~9) で中・酸性区分は陰陽両極側に移動し, 塩基性区分は陽極側に検出された. また, 各区分に特有のけい光を示したが, なかでも中・酸性区分に最も強く認められた.
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