蒸発法海水淡水化装置での揮発性汚染物質の挙動を推測するために, 亜硝酸, シアン, アセトン, メチルアルコール, エチルアルコール,
n-プロピルアルコール,
i-プロピルアルコール,
n-ブチルアルコール,
i-ブチルアルコール,
i-アミルアルコール, アルキルベンゼンスルホン酸塩に対して種々の条件下で気液平衡関係を測定し, さらに亜硝酸, シアンに対しては単蒸留実験を行なった.
実験結果より, 亜硝酸は蒸発法海水淡水化プラントの運転時のpHがほぼpH7~7.5付近なので生成淡水中にはほとんど移行しないであろう. シアンに関しては, 原料海水中のシアン濃度が環境基準の0.1ppmをかなり超えている場合には, その気液平衡比が大きいため生成淡水中への移行を考慮する必要が生ずるかもしれないが, 環境基準の0.1ppm以下であるなら, 海水中の金属イオンのマスキング作用によりCN-は固定され, 生成淡水中にほとんど濃縮されないであろう.
アセトン, アルコール類のような低級な有機物質については, その気液平衡比がかなり大きく, さらに塩析効果を受けるため, 生成淡水中に濃縮される可能性が大きく, 生成淡水に活性炭吸着等の処理が必要となるかもしれない.
中性洗剤の主成分であるアルキルベンゼンスルホン酸塩に関しては, 蒸発法海水化において生成淡水への移行を考慮する必要はないであろう.
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