日本海水学会誌
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32 巻, 3 号
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  • 磯 舜也, 乾 政秀
    1978 年 32 巻 3 号 p. 117-127
    発行日: 1978年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    海水利用施設の適切な立地計画および環境影響評価への参考資料を提供するため, 最近4力年間に日本沿岸域で調査した水質を整理し, 各海域における水質の特徴について次の結論を得た.
    1) 水温は親潮の影響する東北地方以北では最高水温は低く, 夏季でも20℃ を超えることは少ない. 一方九州地方では暖流の影響で最低水温は12℃ 以下になることはない. 内湾や瀬戸内海は大気温の影響を受け, 水温変動の幅が大きい.
    2) 塩素量は対馬暖流の影響下にある九州西岸および日本海沿岸で19%前後と高く周年変動は少ない.親潮系の影響を受ける太平洋東北岸, 北海道南岸では平均18%前後で海流の消長により1%程度の年変化がみられた.一方, 瀬戸内海では中央部で低く, 豊後水道にかけて高くなり, 季節的変動の幅は1%程度であり, 秋季に最も低下する. 内湾域では季節変化は著しく, 変動幅は4%にも及ぶ.
    3) CODは内湾域を除いて1ppm以下であった.
    4) DOは夏季の内湾域では, 成層条件下で表層で過飽和, 下層で貧酸素となり, 生産と分解の両極の現象がみられた.その他の海域では年間を通じてほぼ飽和状態にあった.
    5) 透明度は開放的な海域で一般に高かつたが, なかでも, 日本海は15mを超え最も高く, つづいて九州西岸で10mであり, 親潮の影響を受ける海域では暖流域にくらべて低い. 瀬戸内海や内湾域ではさらに低下する.
    6) 栄養塩類は内湾域で高く, 富栄養化した海域が多い. つづいて瀬戸内海中央部で高く, また, 親潮影響域でも同レベルであり, 豊富であった. 一方, 対馬海流の影響を受ける九州西岸では最も貧栄養であつた. 栄養塩類の季節変化は九州西岸を除いて顕著な傾向がみられ, 一般に秋季~冬季に増加する傾向にあつた. 窒素化合物のうち, 内湾や瀬戸内海ではNH4-Nを主体とし, 噴火湾, 東北岸ではNO3-Nを主体としていた.
    7) クロロフィルσは栄養塩類の濃度におおむね比例し, 内湾域で高く慢性的な赤潮状態にあり, つづいて瀬戸内海と親潮影響域で比較的高かった, 対馬海流の影響を受ける九州西岸や日本海西部は最も低い海域であった.
  • 六串 俊巳, 高橋 燦吉, 和泉 健吉
    1978 年 32 巻 3 号 p. 128-140
    発行日: 1978年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    多段フラッシュ蒸発式海水淡水化装置伝熱管の汚れ防止法として, スポンジボール洗浄法の開発を計画し, 種々の基礎実験を行なった. それら実験結果と実機における汚れ防止と付着状況から考察し, 以下の結論を得た.
    1) 汚れは2層になって積層しており, 第1層の汚れはスラッジで, 第2層はスケールである.
    2) スラッジがある程度付着した後に, スケールが析出する. したがって, 伝熱管の汚れ防止にはスラッジの付着防止と除去が必要である.
    3) スポンジ・ボール洗浄効果は汚れの組成によって異なり, 汚れの中のスケール成分に対してスラッジ成分が2倍以上存在する場合は洗浄効果が高く海水淡水化装置の汚れ防止法として有効である.
    4) 汚れ防止には, 伝熱管内径よりやや大きい直径 (たとえば管内径13.2mmではボール径13.5mm) を間隔10分以内で流通すれば汚れ防止効果が得られる.
    5) ボール洗浄による伝熱管表面の損傷はないことを確認した.
  • 複合吸着剤を用いる海水からウランの採取に関する研究 (第8報)
    宮井 良孝, 北村 孝雄, 高木 憲夫, 加藤 俊作, 宮崎 秀甫
    1978 年 32 巻 3 号 p. 141-149
    発行日: 1978年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    粉末状の亜鉛-活性炭系複合吸着剤について, ウラン吸着性に影響する諸因子と, その影響の度合について検討した. その結果, 複合吸着剤中の亜鉛含有率が最も大きい影響を示し, ついで海水量, 吸着時間の順序に影響は小さくなった. 亜鉛含有率と海水量, 亜鉛含有率と吸着時間との間には交互作用効果が認められ, 各亜鉛含有率に対応して, 海水量と吸着時間にそれぞれ最適値があることが明らかになった. 亜鉛含有率約40%の吸着剤では, 海水量15l, 吸着時間25時間でウラン吸着量は最大値を示した. また海水温度の影響は, 15~35℃ の温度範囲では, 低温ほどウラン吸着量が大きいことを認めた.
    次に粉末状で得られる複合吸着剤を造粒体に成形し, 充填カラムによる連続通水試験を行なうため, 粒状吸着剤の調製条件と得られた造粒体の強度およびウラン吸着性などとの関係を検討した. 造粒時のバインダーとしてPVAを用い, 重合度1,700以上のものを粉末吸着剤に対して6%以上加えると, 市販粒状活性炭に匹敵する強度をもった粒状吸着剤が得られることを明らかにした. ウラン吸着性に及ぼすPVAの重合度, 添加量の影響を天然海水を用いて検討した結果, それらの影響は小さいことがわかった. 粒径1~4mmの粒状吸着剤について, ウラン吸着速度に及ぼす粒径の影響を検討した結果, ウラン吸着速度は球体の表面積とほぼ比例的に変化することを認めた. 実用的耐用試験の一種として, 同一の粒状吸着剤について5回の吸着一脱着の反復試験を行なった.その結果, ウラン吸着性の低下は認められず, むしろ反復回数の増加につれて増加する傾向が認められた. ウランの脱着率はほぼ一定で91~93%であった. 1回の吸着-脱着に伴う粒状吸着剤の重量減は約3%であった.
  • 重松 恒信
    1978 年 32 巻 3 号 p. 150-157
    発行日: 1978年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 横山 晴一
    1978 年 32 巻 3 号 p. 158-166
    発行日: 1978年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 後藤 藤太郎
    1978 年 32 巻 3 号 p. 167-168
    発行日: 1978年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
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