ステンレス容器を反応器として製造したチタン酸が, ガラス容器を反応器としたチタン酸よりも優れたウラン吸着性能をもつことを見いだし, 鉄イオンが共存するチタン溶液から製造したチタン酸がウラン吸着性能が優れていることがわかった.
電子顕微鏡でみると, ガラス容器のチタン酸はガラスの破片状をしており, これに対してステンレス容器, 結晶性チタン酸および?化チタンメーカー中間工程品は, 球状の外形であった.
X線回折では, 各種チタン酸はいずれもアナターゼ型であった. 結晶性チタン酸ではウランの吸着・脱着に使用前後のX線回折図は同じであるのに, 不定形チタン酸ではウランの吸着・脱着に使用前と使用後ではX線回折図が異なっているので, 結晶性と不定形チタン酸とではウランの吸着・脱着機構が異なるように思われる. チタン酸の加熱によって600℃ までは結晶構造にほとんど変化はなく, 800℃ ではアナターゼとなり1,000℃ 以上ではルチルとなった.
ウランの吸着性能は, 200℃ で常温乾燥品よりも低下するが, 400℃では200℃と変わらず600℃より低下して結晶構造が変わる800℃では急激に低下して1,000℃以上ではまったくウランを吸着しなくなる. この事実よりウランの吸着に関与する水の状態に2種類が考えられる. 200℃までに失われる水分と600℃以上で失われる水分とがあり, 前者はウランの吸着能の約1/3を, 後者はウラン吸着量の約2/3を支配しているものと考えられる.
熱分析では, TGおよびDTAともに水分の蒸発による大きな吸熱および重量減少が見られる. B社チタン酸では, 550℃から725℃までと900℃ 以上において大きな重量減少があるが, これは三酸化イオウの離脱によるものと考えられる.
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