食品中の臭素の含有量の問題に関連して最近のイオン交換膜かん水の濃縮過程における臭素の挙動の調査と, 多成分系における臭化物イオンの平衡を検討した. また, 食塩中の臭化物イナンおよび臭素酸イオンの定量を行い, 以下の結果を得た.
(1) 新膜によるイオン交換膜かん水は従来膜かん水に比べて臭化物イオン濃度, 選択透過係数T
BrClともにやや高く, 新膜では臭化物イオンが透過しやすい傾向を示した.
(2) 蒸発濃縮過程においては臭化物イオンはカリウムより早く析出し, 食塩結晶中に存在しているものと考えられた.
(3) 75℃におけるNa
+, K
+, Mg
2+, Ca
2+||Cl
-, Br
--H
2O系の平衡実験結果から, 通常の缶内液中の臭化物イオン濃度 (約1%) では, 臭化物イオンは未飽和域であることが明 らかとなった.
(4) 各社食塩中の臭化物イオンと臭素酸イオンを定量した結果, すべてが臭化物イオンでその濃度は400~700mg/kgで, 食品衛生上問題となる量ではなかった.
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