食塩の流動性について検討するために粉体工学上重要な各種の流動現象を総合的に評価可能なCarrの総合評価法と, いくつかの簡便的な方法とをとりあげ, これらの測定法の相互関係を検討するとともに, 現状の市販食塩の流動性を測定した.また, これらの測定結果から, 食塩の流動性に及ぼす水分, 塩化カルシウム, 塩化マグネシウムなどの不純物の効果についても検討を行った.
(1) 食塩は流動性の変化幅が小さく, Carrの流動性指数のみで流動性を完全に表示することは困難であった.
(2) Carrの流動性指数と4種の実測値との関係で, 相関が高く寄与率が最も高かったのは圧縮度であるため, 食塩の場合も圧縮度のみでCarrの定義する流動性の概略の評価が可能であった.
(3) Carrの流動性指数と4種の指数との関係では圧縮度, 均一度については相関性が認められなかった.
(4) 各社食塩の中で流動性がCarrの流動性指数で架橋防止対策不要範囲であると判断されたものは, 約71%であった.
(5) 水分は, 多くの測定法と有意差が認められ, とくにフリーフローイング, 動的, 静的安息角, Carr指数との相関が高いが, 水分値から直接流動性を推定することは危険である.
(6) フリーフローイング法は流動性として異質の測定法であり, Carrの流動性指数, 圧縮度, 安息角など本報で検討した他の方法と相関関係が認められなかった.
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