陰イオン交換膜の両側に塩化カリウムとヨウ素酸カリウムをおいたときに発生するbi-ionic potentialの測定を行い, 膜組成とbi-ionic potentialの関係について検討した. 陰イオン交換膜は, 2, 2'-アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤として, 4-ビニルピリジンとスチレンを共重合させ, その後, ヨウ化メチルあるいは1, 6-ジブロモ-n-ヘキサンで4級化することにより作製した. このとき, 4-ビニルピリジンとスチレンの混合比や重合条件を変化させて, 膜組成の異なる様々な陰イオン交換膜を作製した. bi-ionic potentialの絶対値は, 対イオンにたいする膜の輸率がほぼ1であるにもかかわらず測定溶液濃度の増加とともに大きくなった. 測定されたbi-ionic potentialの値は, 膜の含水量が小さいほど, また, 疎水性炭化水素の膜母体の割合が大きいほど, 大きくなる傾向を示した. これらの結果から, bi-ionic potentialの外部溶液濃度依存性は, 外部溶液濃度が増加することにより膜内の膨潤圧が減少し, これによって膜中の含水量が減少するためではないかということがわかった.
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