炭酸リチウム晶析残液からのリチウムを溶媒抽出法で分離回収することを検討した.
β-ジケトンに属するXI51と中性有機リン酸TBPの新しい組み合せの混合抽出剤を用いた.
リチウムの抽出条件および他のアルカリ金属元素との分離, 抽出剤のくり返し使用による劣化, 晶析残液からの回収試験などについて検討した, その結果を以下のように要約する.
XI51あるいはTBP単独ではリチウムの抽出率は低く, 混合抽出剤を用いると, pH10~12.5の範囲で定量的に抽出できる. 抽出種はLi・XI51・2TBPで, 抽出剤にはXI51:TBP=1:2の濃度比で用いた.
抽出時間は10分で平衡に達し, 定量的抽出にはリチウム水溶液濃度の6倍の抽出剤濃度が必要である.
他のアルカリ元素とはpH9.1で抽出するとき分離効率が高く, 抽出溶媒相を0.08M塩酸で2回洗浄すると有効である. 1M塩酸溶液で40分以上逆抽出するときリチウムは定量的に回収できる.
混合抽出剤は安定で, 抽出-逆抽出を7回くり返しても抽出率の低下は小さい.
晶析残液から, 2段抽出処理で97%のリチウム, 約1%のナトリウムが抽出され, リチウムの分離回収に極めて有効であり, リチウム関連工業における含リチウム溶液からのリチウム回収法として利用できる.
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