スプレーフラッシュ蒸発の非平衡温度差の経験式を用いて, 最小電力量で最大造水量を得るための最適化プログラムの計算式の詳細を示すとともに, 1日当たり造水量1000トンのスプレーフラッシュ蒸発式海水淡水化システムの計算結果について示した. 主な結果を次にまとめた.
(1) 1時間に得られる淡水の量当りの消費電力, すなわち, 最小評価関数γ
minは, 式 (64) で近似できる.
(2) 温冷海水入口温度差が大きくなると, 全てのポンプ動力は減少する. また, 温海水ポンプ動力P
WSは, 総ポンプ動力P
Tの約40%を占める. 冷海水ポンプ動力P
CSは, 総ポンプ動力P
Tの約50%を占める. 排出ポンプ動力P
BDは, 総ポンプ動力P
Tの約10%を占めている. 真空ポンプ動力P
Vは, 約10kWにこなる.
(3) 温冷海水流量は, 温冷海水入口温度差が大きくなれば減少する.
(4) 放出溶存空気容量は, 冷海水入口温度T
CSIの変化による影響が大きい.
(5) 淡水化比は, 温冷海水入口温度差が大きくなると増加する. これは, 温冷海水入口温度差が大きくなるにつれて, スプレーフラッシュ室内の過熱度が大きくなるためである. 温冷海水入口温度差(T
WSI-T
CSI)が15.0℃~29.0℃の範囲では, 淡水化比は, 0.96~1.93%となる.
(6) 造水用凝縮器伝熱面積A
DCは, 式 (72) で近似できる. 温海水入口温度T
WSIが28.0℃, 冷海水入口温度T
CSIが5.0℃の時, 造水用凝縮器伝熱面積A
DCは, 約600m
2必要である.
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