日本海水学会誌
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58 巻, 2 号
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  • 岩元 和敏, 妹尾 学
    2004 年 58 巻 2 号 p. 142-149
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    白金電極間に充填されたNa形陽イオン交換樹脂に高純度水を循環させながら測定したインピーダンスのCole-Coleプロットで, 高周波数領域は電極表面の電気二重層の充放電によるが, 600Hz付近で拡散律速となり, さらに低周波数にな ると不連続な変化とヒステリシスが現れる.不連続が出現する周波数領域 について詳細な実験を行 い, 測定日数と関連することを見出した.ヒステリシス現象は正のフィードバ ック機構が関与する協同現象であり, 水の電離過程を非平衡状態の観点から明らかにすることは重要である.
  • 高橋 洋平, 中西 収, 秋山 徹, 藤原 邦夫
    2004 年 58 巻 2 号 p. 150-159
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    放射線グラフト重合技術により合成したイオン交換体を用いた電気式脱塩装置 (GDI) の脱塩効率の向上について検討を行った. 一般的な電気式脱塩装置 (EDI) はイオン交換樹脂を混床充填したものであり, これまでイオン交換樹脂の電気再生に対する最適な充填および脱塩シミュレーションの構築は困難であった. 放射線グラフト重合技術は様々な形状の高分子にイオン交換基の導入が可能であり, その技術を利用したイオン交換体を用いたGDIは, イオン交換体の独自な設計および充填が可能である.我々は放射線グラフト重合法によって合成したイオン交換不織布とイオン伝導スペサを開発し, さらに再生剤と考えられる水素イオンおよび水酸化物イオンがカチオン交換体とアニオン交換体の接点で生成しているというモデルによるシミュレーションを行った. さらにシミュレーションに基づき水解場独立型電気式脱塩装置を考案し実験検証を行った. その検討の結果, 水解場独立型電気式脱塩装置による脱塩実験において当量電流の4.1倍の電流値ではナトリウムイオン濃度が通常のGDIの10分の1に低減される事が示され, シミュレーション結果と相関が得られた.
  • 宮松 徳久, 谷岡 明彦
    2004 年 58 巻 2 号 p. 160-166
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    電気再生式脱塩装置 (EDI) を, 被処理水のイオンを捕捉する「脱塩機能」と電気エネルギーが関与する「電気再生機能」の二機能より成り立つ装置と考え, 両機能を共に最善状態で両立さすために, 脱塩室内のイオン交換樹脂の配列に着目した研究を行った.
    まず, 電気再生機能と脱塩室内のイオン交換樹脂の配列との関係を把握するために, イオン交換樹脂の代替材料としてイオン交換繊維よりなるアニオン交換シートとカチオン交換シートを用い, 脱塩室内で位置を変えて求めた電流電圧曲線の比較より, 電気再生機能をエネルギー的に最も効率的にするのは, 「膜間でただ1ケ所の逆バイアス界面を有する樹脂配列」であることを確認した.次いで, 「脱塩機能」を最も強力にするアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の分布状態 (配列) を, 純水製造において唯一最大の技術知見である「混床」と捉え, 上記樹脂配列の特徴を維持したまま, 両樹脂の近接状態を多くする検討を行った. その結果, 樹脂をアニオン交換樹脂群とカチオン交換樹脂群に分け, これらが脱塩室内で膜に垂直な薄層状となり交互に積層された「薄層積層構造」が最適であることが明らかとなった. さらにこの構造を脱塩室内に形成する方法についても論じた.
  • 野口 幸男
    2004 年 58 巻 2 号 p. 167-173
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    Electrodeionization (EDI) is a membrane desalination process that is used in the production of ultrapure water (UPW). Unlike ion-exchange resin demineralization, EDI is a continuous process which does not require acid or caustic regeneration. Also EDI is a fairly simple process which requires little operator attention and little maintenance.
    One of the successes of EDI is the high removal ratio of weakly ionized species. Weakly ionized species such as boron and silica break through ion-exchange resin relatively earlier but it is hard to detect the breakthrough by observing conductivity, and moreover, boron monitor and silica monitor are relatively expensive especially for small UPW production. For these reasons, management of leakage of weakly ionized species from ion-exchange resin is always an issue. On the contrary, it does not the case in EDI operation since it can operate continuously.
  • 金澤 直也, 元木 敏
    2004 年 58 巻 2 号 p. 174-179
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    EDI system has been widely used for usual D. I. water, boiler feed water, ultrapure water, or water for pharmaceutial production due to chemicals free/continuous operation and easy management.
    On this report, the applicability of EDI system for pharmaceuticals production water is evaluated from actual test data. It is concluded that the EDI systems which are durable for hot water sterelization are applicable for this purpose.
  • 菊地 賢一, 高橋 博
    2004 年 58 巻 2 号 p. 180-188
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    電気再生式脱塩装置 (EDI) の効率良い設計や運転のためには, 適切なシミュレーションモデルが必要である.しかしながら, EDIプロセスで生じている反応や輸送現象が複雑なため, そのようなモデルは確立されていない.本研究では, 著者等及びNeumeisterらの研究の紹介を通し, EDIプロセスのシミュレーションモデルを構築する際の問題点について論じる.著者等の研究はイオン交換樹脂の電解再生に関するもので, 樹脂の再生と吸着操作が同時に行われるEDIプロセスを理解するための手がかりを与えた.本研究では, 比較的大型の透析器を用いて行われ, イオン交換樹脂の再生システム設計のための基礎的情報をあたえるいくつかのモデルが初めて提出された.Neumeisterらの研究は超純水製造用EDIプロセスの開発に関するものである.彼等は, 実験結果をシミュレートするために二次元モデルを提出した.このモデルは境膜内拡散律速を基礎にしたものであり, EDIプロセス中のイオンの挙動を説明することに成功した.彼等のモデルは, プロセス中の複雑な現象を巧妙に単純化したものであり, EDIプロセスのモデルを構築する際の方向性を示唆したといえる.著者等及びNeumeisterらの情報を踏まえ, EDIプロセスの適切なモデルを確立するための検討を行った.
  • 森部 隆行
    2004 年 58 巻 2 号 p. 189-191
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    Continuous Electrodeionization (CEDI) has been used in the microelectronics industries since the beginning of 1990s. The recent field is becoming to require ultrapure water (UPW) at very low concentration of silica and boron. Whereas, it is difficult to remove such weakly ionized substances up to the required level by conventional CEDI. We have developed a CEDI technology, KCDITM-UP, which makes it possible to be new UPW system. This paper will describe the performance and the system advantage compared to the conventional systems.
  • 橋本 壽夫
    2004 年 58 巻 2 号 p. 192-198
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 一紘
    2004 年 58 巻 2 号 p. 199-208
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    平距離60mに相当する潮位 (実験1) と, 模型が完全に水没し水面が河口に至る潮位 (実験II) の2通りである.この2通りの潮位について4通りの実験を行った.それは (1) 模型を置かない,(2) 水平水路にマングローブ植栽平坦面を1段配置する,(3) 植栽平坦面を2段配置する,(4) 2段の平坦面にマングローブを想定する粗度を与える, の4通りである.波や流れは与えていない.供給する基底流量, 赤土懸濁水濃度及び供給時間は全て同一条件となるよう努めたが, 実験毎に若干の差異を生じた・
    測定は条件に関する水槽水温, 塩分濃度, 供給開始前の赤土懸濁濃度及び拡散状況を把握するために水槽の底に配置した49枚のシャーレに沈殿した赤土の乾燥重量, 模型の水平水路・第1段平坦面・第2段平坦面に沈殿した赤土の乾燥重量である: また, 水槽内の赤土の流動・拡散状況を固定カメラで定時に, 移動カメラで適宜撮影した.
    濁水流入量や水槽内の流動条件が同一であれば, 49枚のシャーレに沈澱する量の各実験の平均値は実験1でもIIでも,(1)≧(2)≧(3)≧(4) の順に多いと予想される.しかし結果は, 実験1では (1)≧(2)≧(4)≧(3) の順に, 実験Hでは (3)≧(4)≧(1)≧(2) の順になった.実験1の (1) の平均値は格段に大きく,(4) と (3) との逆転も数値の差は小さい事から, 水平水路及びマングローブ植栽平坦面の効果は明らかに示されている.模型が完全に水没する実験IIでは, 流入する濁水は直接塩水中に拡散するので, 水平水路及びマングローブ植栽平坦面の効果が不明瞭である.
    水平水路及びマングローブ植栽平坦面の模型の各部位に沈澱・捕捉された赤土の総量と単位面積当りの量及び計算で求めた赤土流入量に対する百分率は, ほぼ (4)≧(3)≧(2) の順になっており, 実験I条件下で効果は大きく, いずれの条件下でも植栽平坦面を増やしマングローブに相当する粗度が加わる方が効果的な事は明確に示された.
  • Keiichi FUKUSHI, Nobuhiro ISHIO, Jun-ichi TSUJIMOTO, Kuriko YOKOTA, Te ...
    2004 年 58 巻 2 号 p. 209-217
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    近年, 沿岸海域において大量に発生しているクラゲ (ミズクラゲ及びアカクラゲ) の野菜の肥料としての潜在的有用性について検討した.クラゲを吸光光度法, 炎光光度法, ICP発光分光分析法により分析した結果, クラゲには肥料としての五要素 (窒素, リン, カリウム, マグネシウム, カルシウム) が以下の濃度で含まれていた.ミズクラゲ及びアカクラゲ中の全窒素濃度は, それぞれ336mg/kg (新鮮重量), 954mg/kg (ミズクラゲの2.8倍), 全リン濃度は, 46mg/kg及び153mg/kg (ミズクラゲの3.3倍) であり, カリウム濃度は501mg/kg, 667mg/kg (ミズクラゲの13倍) であった.ナトリウム, カリウム, マグネシウム, カルシウム濃度は, 海水中のそれら濃度とほぼ同程度であった.クラゲ中のクロム及びカドミウム濃度は, 定量限界以下であった.クラゲ懸濁溶液を肥料として, チンゲンサイ, エダマメ, シソを栽培した.その結果, クラゲは, 野菜, 特にチンゲンサイの生長促進に効果があることがわかった.
  • 今田 克, 歌津 洋一, 古後 正博, 藤尾 良也, 橋本 真幸
    2004 年 58 巻 2 号 p. 218-223
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本報告では, 経済性を重視した海洋深層水取水の試みとして, 取水管に第3世代硬質ポリエチレン管を採用した鹿児島県こしき海洋深屑水を紹介し, この実績から取水設備費を推定した. さらに大量取水利用を水産養殖に求め, 海水温度によりアワビを対象として企業化を想定し, 採算性のあることを推論した.
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