目的イオンを均一に液相に供給可能なマイクロバブル法を炭酸カルシウムの晶析・溶解現象に応用した. マイクロバブルのガス供給源としてCO
2, NH
3, N
2ガスを用いた. 供給溶液として蒸留水とTris-HCl (pH 7. 8), Ca(NO
3)
2, およびCa(NO
3)
2/Tris-HCl (pH 7.8) の3種類の溶液を用いた. 4種類の供給溶液に種種のマイクロバブルを連続供給し, 液相物性を制御することで炭酸カルシウムの晶析・溶解・再析出を行った. この際, 溶液特性 (pH, 電気伝導度) および固体生成物の性質 (SEM, XRD) に関して様々な物理化学的測定を行った. 気-液反応における気泡のマイクロ化が気相の溶解性に及ぼす影響および気-液-固反応での炭酸カルシウムの晶析・溶解・再析出現象について検討を行った結果, 以下に示すことが明らかとなった; 1) 気-液反応では供給溶液によらず気泡のマイクロ化によってCO
2ガス吸収効率が増大する, 2) Caを含む溶液のpHをCO
2にNH
3を混合したマイクロバブルおよびTris-HClによって7以上に制御することで, 炭酸カルシウムが反応晶析する, 3) pHが7以上で二酸化炭素供給モル数の増加に応じてバテライトが高選択的に生成する, 4) CO
2/NH
3マイクロバブルによる反応晶析 (CO
2/NH
3=1/2,
FCO2=0.28mmol/(
l・min),
QCO2=4.2mmol/
l) では, 平均粒径2.4μmの微粒な球状晶のバテライトが生成する, 5) CO
2マイクロバブルでは, 二酸化炭素のガス溶解にともなうpHの低下により炭酸カルシウムの溶解が生じる, 6) NH
3マイクロバブルでは, アンモニアのガス溶解にともなうpHの上昇により炭酸カルシウムが再析出する.
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