すきま腐食は, すきま内の溶液の塩化物あるいは水素イオンの濃度が, それ以上であれば不働態金属が脱不働態化される臨界レベルを上回った際に発生する. したがって, 純水をすきま内に浸透性のガスケットを通して浸透させれば, それらの濃度は臨界レベル以下に保たれるかもしれない. 本研究では, この純水浸透法の, 製塩工場のフランジのすきま腐食防止への適用性について検討した. 10mmの有効すきま長さをもつ316鋼試験片のすきま腐食感受性を, 腐食すきま再不働態化電位 (
ER, CREV) から評価した. 浸透性ガスケットとしてろ紙円盤をすきまに挿入した. 試験液には70℃の模擬濃縮かん水を用いた. 純水を浸透させた時のER, CREVは, 浸透しないで測定されたものと比較し80mV貴であった.
ER, CREVが貴側へ80mV移行することは, 理論的には, 溶液のpHを1.2増加することと等価である. この結果は, 純水浸透を適用することにより, すきま腐食が効果的に抑制されることを示唆している.
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