日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
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63 巻, 1 号
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巻頭言
特集「海水資源の有効利用を考える」
総説
資料
報文
  • 榎田 和彦, 佐藤 義夫, 成田 尚史, 加藤 義久
    2009 年 63 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    熱水の移動・循環の指標であるマンガンと鉄の挙動を明らかにするため,明神海丘カルデラの東部(H3)と西部(H2),伊豆小笠原海溝のH1および四国海盆のH4から2004年の4月に海水および懸濁粒子を集め,マンガン,鉄およびリンについて分析を行った.その結果,明神海丘カルデラの水深1,000m以深における溶存態MnおよびFeの極大層における濃度は,それぞれ70~100nmol L-1および2.6~8.0nmol L-1と非常に高いことがわかった.溶存態MnおよびFe濃度は,H3に比べてH2で高く,その濃度比(Fe/Mn)も後者が高かった.H2およびH3への熱水の影響には,差があることが推察された.また,懸濁態MnおよびFe濃度は,熱水の影響が考えられる水深1,000m以深で高いことがわかった.懸濁態Fe濃度に占める酸化物態Fe濃度の割合はH3で高い.このことから,熱水活動により供給された二価Feが水和酸化物から酸化物へ変化し除去される過程が推察された.
  • 中口 譲, 北畑 謙一, 藤田 昭紀
    2009 年 63 巻 1 号 p. 39-48
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    本論文は西部北太平洋における亜セレン酸,セレン酸,有機態セレンの鉛直分布について記述したものである。亜セレン酸とセレン酸は栄養塩型の分布を示した。有機態セレンは全ての採水点において表層から深層にかけて検出された。亜セレン酸濃度とケイ酸濃度との間に直線性のある相関性関係が認められた。亜セレン酸とケイ酸の相関係数は亜セレン酸とリン酸の相関係数よりも高い値を示した。クロロフィルaと3つのセレン化学種との間には有意な相関関係は認められなかった。セレンと栄養塩との関係からは,西部北太平洋のセレンの分布および挙動はケイ酸により制御されていると考えられた。亜セレン酸/ケイ酸比は2つの北部採水点で表層から深層にかけて一定の値を示した。一方,南部採水点においては表層から亜表層にかけて高い値を示した。これらの結果は,ケイ酸は亜セレン酸に比べ表層から効率的に除去されるか,または,亜セレン酸の再イオン化がケイ酸より早く行われること示していた。2,000 m以深の総セレン濃度および亜セレン酸/セレン酸比はそれぞれ1.81-1.95 nmol/l,0.73-0.93であった。この結果はBO採水点の深層水年齢がほぼ同じであることを示唆するものであった。
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