日本海水学会誌
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65 巻, 4 号
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日本海水学会60周年記念2011年度第62年会を終えて
巻頭言
特集:「森−川−海との共存・共栄」
解説
報文
  • ―小櫃川流域の土地利用と栄養塩との関係―
    矢沢 勇樹, 濱田 綾子, 吉田 達也, 佐々木 恒治, 藤山 里香, 武田 弘
    2011 年 65 巻 4 号 p. 223-238
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/09/15
    ジャーナル フリー
    鉄は植物生育にとって必須な元素となるが,pHや酸化還元電位などの変化により不溶化する.しかしながら,森林や湿地帯で生産されたフルボ酸や低分子量有機酸などの天然有機物は地中鉱物を溶解するだけでなく,その鉄と錯形成することにより安定な水溶性を示すといわれている。その流域圈と海域での物質輸送を担っているのが河川であり,近年,オホーツク海域の水産資源の推移とアムール川流域の土地利用変化を広域調査している.一方,宮城県沿岸域において漁民による植林活動が行われ,その林床で生産されたフルボ酸による海域水産資源の向上を期待している.しかし,フルボ酸による陸域から海域への鉄輸送メカニズムについての定性的および定量的な知見が十分に得られていないことから,本研究では,蛍光分光スペクトル分析により千葉県小櫃川流域を対象に採水・採土し,分析を行い,正味物質生産量と植物プランクトン生産量との関係を明らかにした.
  • 相澤 由花, 普久原 朝之, 川岸 悠, 鈴木 亨, 秋本 航平, 江口 俊彦, 矢沢 勇樹
    2011 年 65 巻 4 号 p. 239-249
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/09/15
    ジャーナル フリー
    本研究は千葉県に位置する谷津干潟を実験対象地区とした,富栄養化干潟におけるリン酸除去と機能性材料の合成を試みた.
    第一に,旋回型エアレーターを用いて谷津干潟海泥水のイオン動向を測定した.リン酸は海水pHが低い条件において底泥から海水中に放出され,一方,嫌気条件においても硝酸および亜硝酸が存在する系においては,リン酸は底泥中に取り込まれた.このことから微生物によるリン酸の放出と蓄積が示唆された.また,牡蠣殻を用いたリン酸の吸着能評価を行い,最大で溶液リン酸濃度を0.1~0.4 mg/Lまで減少させた.
    また,微生物を用いたリン酸の除去と機能性材料の合成を行った.proteus mirabilisを鋳型として用いた系では,初期カルシウム濃度17mmol/L,Ca/P比3.33の条件において球状粒子が得られた.klebsiella pneumoniae H12を鋳型として用いた系においては同様の結果が初期カルシウム濃度1.0×10−1mol/Lにおいて得られ,余剰のアンモニウムイオンの発生は固液界面における局所的は晶析を阻害することが示唆された.
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