日本海水学会誌
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67 巻, 4 号
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2013年度日本海水学会第64年会を終えて
巻頭言
特集:「ウメと塩」
解説
報文
  • 中山 由佳, 長谷川 正巳
    2013 年67 巻4 号 p. 202-207
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/17
    ジャーナル フリー
    塩を用いた代表的な加工食品である漬物について,製造工程における塩漬け操作方法による最終製品の品質制御方法を検討した.本報においては,ウメ干し製造工程を対象に,塩の添加量および種類による塩化ナトリウム量の制御方法,立て塩法によるクエン酸量の制御方法について検討した.その結果,塩化ナトリウムは,ウメと漬け液との塩化ナトリウム濃度差により移動しており,塩の添加量および種類(粒径,苦汁成分量)を変化させて漬け液の塩化ナトリウム濃度を調節することにより,製品の塩化ナトリウム量を制御できることが示された. 一方,クエン酸については,ウメと漬け液とのクエン酸濃度差により移動するが,塩化ナトリウムと比較して移動速度が低いため,ウメと漬け液とのクエン酸濃度差を拡大させる操作を適用することにより,良好に制御できることが示された.
解説
総説
  • 小竹 佐知子, 乙黒 親男
    2013 年67 巻4 号 p. 212-218
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/17
    ジャーナル フリー
    “Kari-kari ume” is a product of Japanese apricot (ume fruit) brined mixing with calcium compounds, and its crispy texture is very unique. Ume fruit should be harvested in the early stage of maturation. It means the content of citric acid is low, and the ratio of hydrochloride acid soluble pectin to water soluble pectin is high. The concentration of calcium ions should be more than 0.16% to the fresh fruit weight to attain sufficient crispness, but not more than 0.32% to avoid bitterness. It is necessary for calcium ions to uniformly disperse from the peel to the end of the flesh. Polysaccharides of cell wall bounded to each other by the linkage of calcium ions provide appropriate hardness (crispness) of fruit flesh. Calcium reagents such as calcium hydroxide, calcium lactate, calcium oxide are utilized, and calcium carbonate shows less effect on hardening flesh. Various materials such as egg shell incinerated at more than 720℃ and oyster shell incinerated at more than 1000℃, which contain calcium oxide, are also utilized. The concentration of sodium chloride reached 20% after brining, and the fruit is desalting once and then seasoned using a sodium chloride solution at a lower concentration (about 9%).
報文
  • 石川 匡子, 高橋 美子, 遠藤 由香, 佐藤 史奈, 小笠原 美穂, 奥山 慧一, 熊谷 昌則, 秋山 美展, 松永 隆司
    2013 年67 巻4 号 p. 219-223
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/17
    ジャーナル フリー
    塩味と酸味物質による相互作用を利用した塩味増強について,クエン酸ならびに梅を用いて,水溶液および固体の両面から検討を行った. 水溶液においては,クエン酸添加により塩味が強く感じられ,その作用は食塩水およびクエン酸の濃度により異なっていた.自作した梅干しおよび梅酢を用い,梅パウダー添加塩,梅酢添加塩を調製した.2種類の塩をそれぞれ直接口に含み,食塩と塩味の強さを比較した結果,梅パウダー添加塩,梅酢添加塩は,塩味増強が確認された.
ノート
  • 野田 寧
    2013 年67 巻4 号 p. 224-228
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/17
    ジャーナル フリー
    道路用融雪塩(塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム)中の全シアン分析法について,迅速で簡便な方法を検討した.ヘッドスペース用バイアルに試料水溶液を密封し,加熱することで塩化ナトリウム試料溶液中の金属シアノ錯体より,シアン化物イオンを遊離させた.本方法は公定法と同等以上の回収率が得られた.遊離したシアン化物イオンは,クロラミンTにより塩化反応させ,塩化シアンとしてガスクロマトグラフィー質量分析計により定量した(検出下限0.001 mg/L).本法を塩化カルシウム試料へ適用したところ,回収率が低下した.そこで,試料中のカルシウムを水酸化カルシウムとして沈殿除去したところ,シアン化物イオンの回収率が向上した.本方法により,道路用融雪塩中の全シアンについて,迅速で簡便な分析が可能となった.
  • 熱分解法による全窒素測定方法の検討
    中山 由佳, 野田 寧
    2013 年67 巻4 号 p. 229-231
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/17
    ジャーナル フリー
    道路用融雪塩の効率的な検査方法を確立することを目的に,有害物質の検査項目の一つである全窒素について測定方法の簡便化を検討した. その結果,全窒素分析計を用いた熱分解法により道路用融雪塩中の全窒素量を良好に測定できることが示された.これを適用することより,現行法である総和法と比較してより簡便で迅速な全窒素量の測定が可能になると考える.
報文
  • 麻田 拓矢, 野田 寧
    2013 年67 巻4 号 p. 232-236
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/17
    ジャーナル フリー
    食用塩中のアフラトキシンを分析するため,水で食用塩を溶解した調製試料を,LC/MSを用いて直接定量する直接測定法,およびイムノアフィニティカラムを用いて脱塩した後にLC/MSを用いて定量する脱塩測定法を検討した.このうち脱塩測定法は,塩化ナトリウムの影響を受けず,良好に分析可能であった.脱塩測定法を市販食用塩へ適用した結果,pHが高い試料では,アフラトキシンは分解することがわかった.不溶解分が多い試料では,アフラトキシンが不溶解分へ吸着した.不溶解分への吸着を防止するため,20%アセトニトリル水で試料を溶解することで,吸着を抑制できた.本法により食用塩中のアフラトキシンを良好に分析することが可能となった.
  • 眞壁 優美
    2013 年67 巻4 号 p. 237-240
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/17
    ジャーナル フリー
    鶏肉,豚肉および牛肉を用いて,食肉の食感に及ぼす塩分濃度および市販塩の種類の影響について基礎的な検討を行った.塩分濃度の影響については,塩分濃度の増加に伴うゲル強度の変化は食肉によって異なったが,いずれの食肉においても塩分濃度が増加するにつれて保水性は増した.市販塩の種類の影響については,牛肉において,ゲル強度および収量に対する塩の塩化ナトリウム純度の影響が見られたが,鶏肉および豚肉においては影響が小さかった.従って,いずれの食肉においても,塩を添加することにより,脂肪の分離や肉汁の溶出を防ぐことが分かった.また,塩を添加することにより,牛肉は食感の変化があまりないのに対し,鶏肉については,かまぼこのような弾力性のある食感を,豚肉については柔らかい食感を得られることが示唆された.
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