日本海水学会誌
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68 巻, 2 号
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巻頭言
特集:「非破壊検査技術の現状と今後」
解説
報文
  • 長 秀雄, 藤代 和史, 高谷 一哲, 松尾 卓摩, 伊藤 寛明
    2014 年 68 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/14
    ジャーナル フリー
    断熱材下の配管の腐食は,局所的に発生し,沿岸部に存在する設備において問題の一つである.塩化物イオンを含む雨水や海からのしぶきが保温材内に侵入した場合,保温材下は塩化物イオンの濃縮と高い湿度という腐食が促進される環境になる.保温材を外せば目視検査によって腐食を検出できる.しかし,保温材のはく離や再設置はとても時間と手間のかかる.それゆえ,保温材をはがすことなく腐食を評価できる方法が必要とされている.アコースティック・エミッション法は,配管に発生した腐食生成物(錆)の破壊によって放出される弾性波を検出できる.そこで本研究では,腐食体積を評価するためにAE法をMgCl2溶液を滴下した高湿環境における鉄鋼材料の腐食に適用した.AE活性は,MgCl2溶液を低下数日後から増加した後に低下した.その後,AE活性はMgCl2溶液を与えると再び高くなった.AE活性が高い期間は腐食部の厚さは大きく変化した.一方,腐食部厚さが変化しない期間ではAE活性はとても低かった.腐食体積とAE数には,腐食初期とそれに続く期間で異なる直線関係を示した.
解説
報文
  • 高橋 智輝, 山口 雄也, 澤井 淳, 小林 大祐, 庄野 厚, 松山 秀人, 大竹 勝人
    2014 年 68 巻 2 号 p. 81-88
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/14
    ジャーナル フリー
    海水淡水化の前処理に用いられる分離膜において,バイオファウリングによる膜性能の劣化は深刻な問題である.本研究では,分離膜の抗菌活性を強化することを目的とし,無機系抗菌剤である銀を含有したキトサン/銀ハイドロゲル膜を浸漬法と混合法の2つの膜作製方法により創製した.膜の諸特性,透水性能,並びに抗菌特性に及ぼす膜作製方法の影響について検討を行った.フーリエ変換赤外分光法,X線回折法,熱重量分析を用いて膜の構造解析を行った結果,浸漬法調製膜では銀イオン(Ag (I))として,混合法で調製した膜では金属銀粒子(Ag (0))として存在していることが明らかとなった.また,膜含水率は銀含有率の増加に伴い低下し,水透過流束は含水率の増加に伴い増加した.一方,コンダクタンス法を用いてゲル膜の抗菌活性を評価した結果,浸漬法と混合法の2つの方法で作製したゲル膜は,何れも大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対して顕著な増殖抑制効果を示した.また,粒子として銀が含有された混合法調製膜と比べて,銀イオンとして含有されている浸漬法調製膜が強い抗菌活性を示した.
  • 海野 理, 河野 通尭, 藤原 邦夫, 須郷 高信, 河合(野間) 繁子, 梅野 太輔, 斎藤 恭一
    2014 年 68 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/14
    ジャーナル フリー
    福島第一原発港湾内の海水に含まれる放射性ストロンチウムを除去するため,2種類のチタン酸ナトリウム(ST)担持繊維を作製した.一つは6-ナイロン繊維にスチレンスルホン酸ナトリウムをグラフト重合して得られたカチオン交換繊維にSTを担持した繊維(SSS-ST繊維)である.もう一つは6-ナイロン繊維にジメチルアミノエチルメタクリレートをグラフト重合して得られたアニオン交換繊維にSTを担持した繊維(DMAEMA-ST繊維)である.海水からのストロンチウム除去を回分法によって評価し,市販のチタン酸ナトリウム粒子(SrTreat)に比べて,作製した2種類のST担持繊維は吸着速度が大きいことを示した.ST担持繊維に対する海水の重量比が100のとき,SSS-ST繊維およびDMAEMA-ST繊維の海水中でのストロンチウム除去率は,それぞれ86および83 %であった.担持の経路でのアルカリ条件下での耐性を考慮すると,SSS-ST繊維の方が大量製造に適していることを示した.
  • 安川 政宏, 比嘉 充, 松山 秀人
    2014 年 68 巻 2 号 p. 94-101
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/14
    ジャーナル フリー
    本研究では中空糸正浸透膜の透水性能解析手法の開発を目的とし,内部濃度分極と各位置におけるDSの希釈を考慮したICP-dilutionモデルを提案した.膜の固有パラメータとして,水透過係数 (A) =0.227 LMH/bar,塩透過係数 (B) =0.035 LMH,構造パラメータ (S) =900 μmを用いた解析値は,様々な運転条件(初期DS濃度,DS供給流量,膜の向き)における実験結果と良好に一致した.本手法を用いることで,各運転条件における全透過水量,出口DS濃度,希釈割合,浸透圧効率,中空糸の各位置におけるフラックスおよびDS濃度などを予測することが可能となった.さらに大型モジュールの性能試算を行い,目標透過水量を達成するための必要条件(モジュール長さ,供給流量,DS濃度など)を得ることに成功した.
Short Paper
  • Mitsuru Higa, Masafumi Shibuya, Yuriko Kakihana, Masahiro Yasukawa, Hi ...
    2014 年 68 巻 2 号 p. 102-103
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/14
    ジャーナル フリー
    This study evaluated the fouling of a forward osmosis membrane in a pressure retarded osmosis (PRO) system using Aldrich humic acid (AHA) as a model foulant. Fouling behaviour was evaluated quantitatively by observation of the decline in water permeability in the fouling tests: when AHA and CaCl2 were added to the feed solution (FS), severe fouling (51 % decline) occurred; when only AHA was added to FS, moderate fouling (23 % decline) occurred. Photographs of the membrane surfaces after fouling tests indicate that the severe fouling is due to the formation of a dense layer of cross-lined AHAs with Ca2+ on the membrane surface of the FS side.
リレーエッセイ(6)
研究会だより
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