キトサンはβ-1,4結合したD-グルコサミンからなるポリマーであり,一般にキチンを脱アセチル化して得られる.キチンは代表的な廃海産資源である海老や蟹の外骨格の主成分である.著者らはこのような廃海産資源の有効利用について研究している.本研究ではピリジン基を有するキトサン誘導体を調製し,PdおよびPtの吸着特性について検討している.
まずキトサンをエチレングリコールジグリシジルエーテルで架橋し,これをピコリンアルデヒドで修飾した.さらに水素化臭素ナトリウムで還元してピコリン修飾キトサン(APC)を得た.この樹脂を用いて回分法およびカラム法により金属の吸着実験を行った.APCはPdおよびPtに対して優れた吸着剤であり,その吸着能はPd>Ptであることがわかった.また金属の吸着挙動はラングミュアーの吸着等温式でよく説明することができた.APCを充填したカラム実験により,PdとPtは分離可能であることがわかった.
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